バンギャル ア ゴーゴー 下

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 166
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062133692

作品紹介・あらすじ

ヴィジュアル系バンドに魂を奪われ、追っかけの世界に入った、えり、ノリコ、ユキ。えりは高校を中退し、退屈な北海道から憧れの東京へと向かう。えりの後を追うように上京するノリコとユキ。夢に見た東京でのひとり暮らしだったが、現実の影が三人に忍び寄る。お金、ドラッグ、セックス、三人の絆、そして音楽への思いはだんだんと引き裂かれていく-。90年代・バンドの世界を舞台に描かれた自伝的「ガールズ・ノヴェル」の最高傑作、渾身の書き下ろし大作、ついに完結。

感想・レビュー・書評

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  • あぁ・・・!
    胸が苦しい!
    本当に、本当に苦しい小説。

    バンドマンを追っかけて、
    いくら追いかけても、ファックしても、
    彼らは「あっち側」で、自分は「こっち側」
    どうして自分はこっち側なんだろう?

    そしてそんなキラキラ輝いて見えたバンドマンも、
    日の目を見ずに、他の何者になれず、
    他の人が「社会」で生きていく経験値を積んでいく時間を、
    すり減らしていく。

    この小説に書かれれるバンギャルは苦しい。
    そしてこれがバンギャルの本音に近いんだろう。

    けれど私はバンギャルにさえなれなかった。
    一瞬の、刹那の花火でも、
    バンドに夢中になり、バンドマンなら誰でもいいって感じで、
    なりふりかまわず媚へつらって、
    そういう時間が欲しかったと、思う自分がいる。

    きっと、本当にそうしていたらそうしていたで、
    そうしなかった自分になりたかったと後悔したのだろうけれど。

    結局、自分に「何もない」という現実と、
    煌きの中にいる「あちら側にいけない」という現実だけが残るんだ。

    それでもそう、煌きを見れただけでも、幸せだと思える瞬間も、あるんだ。

  • 懐かしいなぁ…なんでこんなに熱くなれたのかなぁ…。

  • 著者の社会的活動が世間的に認知されている(と思う)ので
    頭の固い人だと思われるかもしれませんが、本書を読むと「ああ、純粋な人なんだな」と思えてきます。
    とりあえず著者がゴスロリファッションを着続ける(意図的であろうとも)ルーツ的裏付けはバッチリ堪能できます!

  • 追っかけの世界に入ったえりは高校を中退し、退屈な北海道から憧れの東京へと向かう。夢に見た東京でのひとり暮らしだったが、現実の影が忍び寄り…。

    上巻ではひたすらにV系が好きで、純朴なえりでしたが、下巻では目を背けたくなるほど転げ落ちていきます。
    痛々しく、でも原点回帰するラストは少しの清々しさがありました。

  • ノンフィクションのようで、フィクションの物語。Xがメジャーデビューした頃からHIDEが自殺したであろう時代のことをベースに書かれたあの頃の物語。

    バンドマンと繋がってる話が多くて嫌なものを見せられたようですごくイライラはするんですけど、本の中の少女達の気持ちは、痛いほど刺さった。彼らは自分の救いであったりするし、黒い服を着るのは「過去の自分への喪に服するため」だったりする。最後の告別式のシーンは、感情移入して不覚にもうるっとしてしまった。

    消費する側でしかなくて、ステージ側に行けないもどかしさは、バンギャルじゃなくても通じる気持ちなのかなと思った。けど、主人公のえりがそこに対して何の解決策も見いだせてなくて、むしろそれが現実を突きつけられているようで残酷だった。

    読んでたら、目的は何であれ、その「夢中」さに自分ごときがバンギャなんていうのはおこがましすぎて、恥ずかしくて凹んだ。

    小説的には微妙だけど、その頃バンギャルをしていた作者にしか書けないような、心理描写。あまりにも言い表していて、こういう文化があるという貴重な文献になるんじゃないかと思う。

  • 誘惑に負けて先に終盤をチラ読み。
    あまりにノンフィクションなフィクションで
    うぁー読めねぇ!と空を仰いでしまった。
    と言いつつ結局これから全部読むんだけど。

  • いろいろ考えていたら不覚にも泣いてしまったけれど、主人公は何も成長していないし、今の状況から抜け出す努力もしていない。どんなに好きなバンドや曲があって、いい仲間がいても自分が投げやりに生きているのであればそれらがあっても自分は変われないし、彼女にとって彼の死は何の意味も持たないと思う。主人公はあのままかもっと堕落していったんじゃないかと不安になった。

  • 続いて下巻。

    正直、下巻よりも上巻の方がおもしろかった。
    下巻はさすがに引きました。
    上巻の様に、主人公視点に立つんじゃなくて、
    主人公の周り人視点で読んでしまった。
    東京に出てきた辺りからずっと周り視点で。

    上巻が汚い部分(汚いと言うと言葉悪いですが…)もチラホラ見せながら、夢見れる部分も多々書いてあるのに比べて、
    下巻はほぼ裏部分ばかり。知ってるけど、主人公達の行動の浅はかさに引いた。

    この時点では★1つだな、なんて思っていたけれど、
    やっぱり彼女達はバンギャル。
    最後の事象以降が凄くよかった。
    バンギャルの心に戻った彼女達に再び感情移入。
    すごく同感。気持ちが分かりすぎてうっかり泣いた小説。

  • 上巻を上回る転落人生・・・。容赦ないですね。
    この話は、素敵なバンドマンと結ばれてめでたしめでたしではないし、かと言ってえりたちが自分でバンドをやって成功する話でもない。
    えりがあんなにも行きたがった“向こう側”=“ステージの上”に行けないのはなぜでしょうね?答えは、わかりすぎるほどわかっていますが・・・。

    ちょっとだけ気になったのが、最後のほうでえりがまだ十代にして妙に老成?していること。これで結末が23歳くらいだったら更に救われない感があった気がしますが・・・。(それはそれで、嫌だけれど)

  • すげーイライラする(笑)
    人間失格読んでる時のイライラに似てる
    すごいやだ!なんであんなになるんかな
    上を読んじゃったので下も読んでみたけど、うーん
    この著者の日記読んでるみたい

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著者プロフィール

1975 年北海道生まれ。作家・活動家。「反貧困ネットワーク」世話人。フリーターなどを経て2000 年、『生き地獄天国』( 太田出版/ちくま文庫) でデビュー。主な著書に『生きさせろ! 難民化する若者たち』( 太田出版/ちくま文庫)、『相模原事件・裁判傍聴記 「役に立ちたい」と「障害者ヘイト」のあいだ』( 太田出版)、『コロナ禍、貧困の記録 2020 年、この国の底が抜けた』( かもがわ出版) など多数。

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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