赤い指

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062135269

作品紹介・あらすじ

犯罪を越えたその先に、本当の闇がある。二日間の悪夢と、孤独な愛情の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 加賀恭一郎シリーズ7作品目。

    少女が庭で死んでいる。殺したのは中3の一人息子だった。

    夫の前原昭夫、その実母、実母と険悪な妻、息子の4人暮らしの平凡な家庭。
    家は妻に任せ切りで息子と関わりあう事も避けてきた昭夫。
    殺人について問い詰めても癇癪を起こすだけの息子。
    息子の将来を考えて!
    と妻にせがまれどうにか隠蔽することに。。。

    早々に息子が殺したことが判明します。
    夫である昭夫が隠蔽のため行動を起こしますが
    息子は協力するどころか
    子供の過ちは親の責任だと言い放ち
    そっちで何とかしてくれと我関せず。
    (親に対する口のききかたとその態度はなんや!!!とぶっ叩いてやりたくなりました。私が実家でそんな態度を取ったら生きて家を出れる保証はない。)

    どんな育て方をしたらこんなモンスターが出来上がるのか。
    と、同時に、こんな親元に生まれたのを可哀想に思います。
    最近の言葉を借りるのであれば親ガチャ失敗です。
    大切に護ることだけが親の役目ではないはず、
    導き、時には厳しく、痛みをわからせることも必要でしょう。
    そしてこんな子どもには大人の怖さも教えてあげて欲しい。

    終始、読んでいてモヤモヤ。
    東野圭吾さんの作品なので家族愛も散りばめられていて
    やっぱり東野圭吾さんだなと思わせられるのだけど
    新参者以降ほどの加賀恭一郎の魅力はなかった。。

    いつも穏やかな加賀刑事が松宮に
    この馬鹿ガキを連れて行けと投げ飛ばすのが唯一の救いでした。


    加賀恭一郎シリーズは新参者からしか読んでいなかったので
    こちらでも加賀恭一郎親子について触れられているとは!
    10年振りに再開した加賀恭一郎と松宮の距離感も見事です。

    ちゃんとさかのぼってシリーズを読めばよかったと後悔。。

  • 犯人は最初からわかっている倒叙タイプのサスペンス。殺人を犯した息子の犯行の隠蔽に奔走する両親。そのあまりにも身勝手な考えと行動は胸くそ悪いが、先が気になって気になってどんどん読み進めてしまう圧倒的リーダビリティはさすが東野圭吾。

    加賀刑事がその隠蔽工作をロジカルかつエモーショナルに打ち崩していくプロットが上手い。さらには、事件当事者家族と加賀刑事自身のヒストリーとがリンクし、上記胸くそ気分を綺麗さっぱり吹き飛ばしてくれるラストのおかげで読後感は晴れやか。家族の在り方に想いを馳せる一冊。

    週刊文春ミステリーベスト10 4位
    このミステリーがすごい! 9位
    本格ミステリ・ベスト10 14位

    《加賀恭一郎シリーズ》
    1.卒業
    2.眠りの森
    3.どちらかが彼女を殺した
    4.悪意
    5.私が彼を殺した
    6.嘘をもうひとつだけ
    7.赤い指
    8.新参者
    9.麒麟の翼
    10.祈りの幕が下りる時
    11.希望の糸
    12.あなたが誰かを殺した

  • 上手いなぁ!今から20年も前の作品だけど終盤は泣いてしまった。まさしく東野圭吾ここにあり、と言う作品でした♪
    偏り中学少年が小学少女を殺めると言うシチュエーションは好きじゃないけど、作り手の熱が伝わってくるみたいな作品で初めて読んだ彼の作品「手紙」で凄い!と感じたことを思い出しています。
    最近もヒット作品が多いし韓国でも人気の作者になっていますけど、やはり初心の頃の素晴らしさは良い❕

  • この作品は、「小説現代」1999年12月号に掲載された「赤い指」をもとに書き下ろされたものだとか。
    で、この本は2006年に発行されている。
    著者40代の作品ということで良いだろう。

    東野圭吾の作品に、「手紙」がある。
    犯罪者とその家族の心理状態が、非常に良く書かれている作品である。
    今回の「赤い指」も同様で、う~んと唸らされた。
    あまりに現実離れしていてはフィクションで納得していまうが、この作品は、ひょっとしたら現実に似たようなことがありそうなところが、考えさせられる。

  • 初めての加賀恭一郎シリーズを読みました。一番最初がこの本で良かったのか全く分かりませんが、内容は加賀恭一郎を知らなくても普通に楽しめました。
    なんとなく東野圭吾さんの作品にしては会話文や心理描写が多く、登場人物に感情移入することが読書の醍醐味と思っている私としてはこの本は好きでした。
    ただ登場人物達があまりにも無責任な人物が多すぎて、人間の業というかもはや無念に近い感情を抱きました。特に息子を庇う母親のヒステリーは読んでて痛々しいですし、父親も父親でこの場をやり過ごすことしか考えてないなともうどんまい…という感じでした。
    しかし、さすがの東野圭吾作品で最後の最後のどんでん返しには驚きました。
    認知症だった母親がまさかの演技という設定でしたが、自分が介護現場で働いていたこともあり、いやそれはやめてくれよ…という思いが強く出てしまいました。ケアマネとか知っていたのだろうか。だから施設入れなかったのか…。もはや職業病的な発想しか思い浮かびませんでした…。

  • 「作者の力量に感服」

    300ページ足らずでかくも語るか。自分如きがとやかく言えるもんではありません。降参です。ごくありふれた家族で起きた事件。そして子に対する普遍の愛の強さ。事件解決直前に小林が松宮に向かって言う一言が的を得ているだろう。「すごい状況に立ち会うことになるからな」

  • あっという間に引き込まれ
    あっという間に読み終えました!

    政恵おばあちゃんの計画は
    出来すぎやけど
    加賀恭一郎の推理は相変わらずでした。

    加賀父子は最期まで繋がっていたことを
    知ってジーンときました

  • 「祈りの幕が…」の前に読んでおいた方がよいらしいので読んだ。
    以前テレビドラマで観たことがあり、内容はだいたい覚えていた。
    とても読みやすく、あっという間に読めた。

    加賀恭一郎の洞察力の凄さと、ただ解明すればいいってもんじゃないというスタンスや人情はもちろんのこと。
    松宮の上司の小林主任がそれら全部ひっくるめた加賀の手腕をわかっているし全幅の信頼を寄せてもいて、それらを松宮によく見ておくようにと指示する部分が好き。

  • 少し現実にはありえないという不自然な展開を感じましたが、一家族の内面を描いているところは、最近の事件の多さを考えると大変リアルです。そして、「赤い指」という題名に隠された真実が、最後のどんでん返しにより、主人公が一気に入れ替わってしまったような、新しい世界が見えてきたような劇的効果を生んでいるように思います。現実に即してありうることを考えると、あまりにも悲しい小説です。

  • 引きこもりの息子が少女を殺害。
    息子をかばうため、死体遺棄にはじまり証拠隠滅作業。
    そして、“認知症”の母親に濡れ衣を着せるという恐ろしい計画を実行しますが、実は、家に居場所が無いが為に“認知症のふり”をしていただけだったという衝撃の事実。
    事件を犯した張本人である息子の横暴で反省の色が全く見えない態度に心底腹が立ちましたが、ふと思えば、現代の若者たちに増えつつある姿だと思いました。
    自分を守ることで精一杯、誰かの人生を台無しにしてしまっていることにすら気づけない。
    なによりも、婿夫婦の陰謀を知ったときの母親の気持ちを考えると胸が痛くなります。
    “犯人探し”のミステリーではなく、消えてしまった家族の愛の行方を探し出す、悲劇が更に悲劇を生んだ、そんな悲しいミステリーでした。
    全てが分かってしまった瞬間のラストは切なさで泣きそうになりました。
    ベテラン刑事さんと入院中の父親との関係性も、最後にグッときました。
    何か抱えている人ほど多くは語らない。
    子どもとして、子どもを持った親として、なによりも人として、とても考えさせられる作品。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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