しずかな日々

著者 :
  • 講談社
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感想 : 102
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062135870

作品紹介・あらすじ

講談社児童文学新人賞受賞作家のやさしく、すこやかな、感動作。そうか、少年って、こんなふうにおとなになるのか。

感想・レビュー・書評

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  • えだいちの夏。
    押野と一緒に過ごした夏。
    おじいさんの家で、おじいさんと初めて生活したあの夏。

    うるさいほど聞こえた蝉の声が一斉にやんだ一瞬の静寂。
    早朝の清らかな空気。庭に水を撒いた後の土の匂い。

    麦茶が喉を通るときの清涼感。
    縁側で食べた井戸水でキンキンに冷えたスイカ。
    おじいさんの手作りの漬物。
    ひんやりとした柱にぺったりつける熱をもった足の裏。

    目があききらないままのラジオ体操。
    学校のプールの喧噪。
    毎年苦戦する自由研究の宿題。
    自転車で遠出をする大冒険。

    やっぱり夏に読んでよかった。
    ずっとチャンスがなく、何年か待ってしまいました。
    主人公えだいちの小5の夏の物語なので
    私の思い出とは違っているのに…。

    私の記憶と重なり合い混ざり合い、
    いつもだったら鬱陶しい記録的な猛暑の日々を
    本を読んでいる間だけ、あの時に感じたキラキラした
    夏休みの時間に交換できました。

    えだいちってすごいです。
    今この瞬間が大事なかけがえのない時間だということに気が付いている…。

    押野の宇宙論もすごい。本当にそうなのかもしれない。

    大好きな本をまたひとつ見つけました。
    ドラマのようなことなんて起こらないけど、
    未来の自分へのエールとして、
    日々誇らしく思える自分を積み上げていきたいと
    決意する一冊です。

    夏も後半戦。折角キラキラしているのに。
    もわ~~っとした夏に、戻りたくない…。

    • 8minaさん
      なにぬねのんさん、こんにちは。
      外ではヒグラシが鳴きはじめ、ちょっぴり涼しい夕方でした。

      子供の頃の夏休み、一日中外で遊び、くたくた...
      なにぬねのんさん、こんにちは。
      外ではヒグラシが鳴きはじめ、ちょっぴり涼しい夕方でした。

      子供の頃の夏休み、一日中外で遊び、くたくたになって夕飯が終われば即就寝、だったような。暑さに負けない、眩しい夏休みでした。あのころを思い出して読んでみたいと思います。

      当然、昔の今頃は宿題!の追い込みでしたが・・・
      2015/08/13
    • なにぬねのんさん
      8minaさん、こんばんは。

      またまたコメント有難うございます。
      8minaさんはコメントまで詩的な感じで素敵だなぁといつも感心して...
      8minaさん、こんばんは。

      またまたコメント有難うございます。
      8minaさんはコメントまで詩的な感じで素敵だなぁといつも感心してしまいます。

      この物語、かなりおススメですよ。
      あまり存在感のない枝田くん(えだいち)が、
      5年生のクラス替えでお調子者で人気者の押野くんと友達になり、
      どんどんと自分の世界を広げていく…という物語なんです。

      えだいちの日常が淡々と書かれているだけなのに、
      本を開くとすぐに引き寄せられて、物語の世界から出たくなくなって困りました。

      今あの頃に戻れるのであれば…私はえだいちのように1日1日を丁寧に過ごしたい…。

      あ、8minaさんは、まだ宿題に取り掛かるのが早い方ですよ。
      私なんて23~24日あたりから泣きながらやっていたタイプですから。

      そんな雑な自分の思い出の反省を踏まえて、羨望のまなざしでえだいちを見ていました。

      私はきっと再読すると思います。
      最後の一行が、グッときました。
      読むなら夏がやっぱりおススメです。
      2015/08/14
  • 再読♪読んだことを忘れて読み始めたら止まらなくなった。夏の終わり。

  • 1時間ほどでさらさら読めてしまった。
    しずかな日々というタイトルとは裏腹に
    小学生の笑い声に満ちた楽しい思い出を回想する物語なんだけど
    セミの声が聞こえて縁側でスイカ食べて、塩素くさい学校プール行って、
    友達とくだらないことで笑って…
    みたいな小学生時代のことを、ずっと大人になってから思い返すと、
    しずかなゆっくりとしたかけがえのない時間だったな、と懐かしさで胸がいっぱいになります。
    子どもの時間は大人よりゆっくり流れる。これも一種の相対性理論だな。

    おじいちゃんが渋くていい。おにぎりとぬか漬け食べたい。

  • 忘れていたこと、忘れたふりをしてふたをした記憶の中にそっと入り込み、こどもだったことの悲しみを思い出させてくれるそんな小説。児童文学の中の魅力的な大人の存在が生きている。おじいさんと椎野先生、そしてぼくより少し上の半分大人の押野のお姉さん。こどもをこんな風に描けるなんてすごい。

  • 人との出会いによって人生はガラリと変わる事はある。でも、それを否定も肯定もせずに、「今の自分というのは、これまでの過去を全部ひっくるめた結果なのだ。」という一文に救われる。

  • 誰しもが哀愁を込めて胸にしまってある少年時代の感受性が語られている。
    とても心地よい、自分の少年時代に重ね合わせて共感できる作品であった。
    が、人は置かれた状況によって求めるものが違うのだろうと思う。
    今私が読みたいのはこういう児童文学的な者ではないのだと気がついた。
    湯本 香樹実さんの描く少年、少女目線の作品が大好きであるにもかかわらず。
    だからきっと、湯本 香樹実作品であっても今この瞬間には物足りない作品なのだろう。
    このままでは作者に失礼だと思う。
    心のコンディションが良い時に読み返してみよう。

  • タイトルの通り、しずかにゆっくりと時間が過ぎていきます。
    でもなんとも言えない懐かしい気持ちになって、胸がきゅっとなる。

  • 母子家庭で育った小5の少年が母の都合で田舎の祖父と暮らした楽しかった友達との生活が目に浮かぶような文章に引き込まれて少年が成人になってもその時に戻れる。最後の文章に色んな事がありこれからもあるだろうけど、どんなことがあっても静かに受け入れていくのが僕の人生の日常だ。人生は劇的ではない。僕はこれからも生きていく。と題のしずかな日々。まさしくそうだ。

  • 「誰かと一緒にいるっていうのは、
    こんなに楽しいって知ってしまったのに、
    ひとりぼっちに戻るのは大変な事なんじゃ
    ないのだろうか。」

    大人しくていつもひとりぼっちだった少年
    光煇だか、5年生になった初日にクラスメイトの
    押野少年に声をかけられる 「野球しようぜ」
    その日から孤独だった光煇の日常が変わる。

    しかし、母親の仕事の都合で引っ越しを迫られる
    光煇だったが、どうしても彼らと別れたくない。
    その気持ちを察した担任の椎野先生が
    光煇の母親を説得し、昔一度だけ会った事の
    ある祖父の家(母親の実家)に住む事に。

    光煇と押野少年、そしてじゃらしやヤマとの
    友情、おじいさんとの優しい時間が
    詰まった一年間の思い出。
    最後まで暖かい気持ちで読めた、最高のストーリー
    でした。

  • 誰かとの出会いで、
    人生が劇的に変わる。

    友人にしろ、先生にしろ、家族にしろ、
    小学生の頃にそうした貴重な出会いがあった主人公は
    幸せだよなぁとしみじみ思う。

    だって、大人になると、たくさんの人に会いすぎる。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2002年、第42回講談社児童文学新人賞を受賞した『十二歳』でデビュー。07年『しずかな日々』で第45回野間児童文芸賞、08年第23回坪田譲治文学賞、17年『明日の食卓』で第3回神奈川県本大賞、20年『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』で第69回小学館児童出版文化賞を受賞。『明日の食卓』は21年映画化。その他の著書に『消えてなくなっても』『純喫茶パオーン』『ぼくたちの答え』『さしすせその女たち』などがある。

「2021年 『つながりの蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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