- Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062136068
感想・レビュー・書評
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『蒼穹の昴』の続編。張作霖を描く。日本では馬賊の親玉程度の扱いしかないが、中華四億の人民の貧困や飢餓をなくそうとする志をもった人物と描かれる。日本軍の傀儡の軍閥というイメージがあるが、愛国者と描かれる。張作霖の印象が変わる。
『蒼穹の昴』では喪失されたままになっていた龍玉を手に入れ、息子の張学良に渡す。張学良は第二次国共合作実現の立役者である。皇帝にはならなかったが、中国の行く末に影響を与えた人物である。龍玉の持ち主の力があったとするならば興味深い。
愛新覚羅溥儀の継承は、当人が幼少であったことは別として、家系図から見れば順当に見える。しかし、当時の人々にとってはサプライズであった。
袁世凱は御都合主義者・権力亡者に描かれていたが、それだけでない面も出てくる。これが一貫性を持ったキャラクター造形になるかが問題である。史実では袁世凱は中華帝国皇帝を宣言した。まさか龍玉を手に入れたとは思えない。どう描くのか気になる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
浅田次郎さんの近代中国(清朝末期~張作霖爆殺事件あたり)もの。『蒼穹の昴』、『珍妃の井戸』、本作、『マンチュリアン・レポート』と続くが、ばらばらに読んでしまった。が、それぞれの作品単独でも面白さは十分に味わえる。
学校の歴史の授業での張作霖と言えば、たった一言『1928年張作霖爆殺事件』で終わるが、歴史の背後には、人をめぐる熱いドラマがあるということを感じさせてくれる。
もちろん、これはノンフィクションではないが、若き満州馬賊の総攬把(ツォランパ:大親分)張作霖を軸とする清朝末期のロマンが溢れている。
浅田さんの文章は、読んでいて心地よい。リズムがいいのだと思う。
全4巻のうち、まだ1冊を読了したばかり。じっくりと読み進めたい。 -
この巻は張作霖とその壮士である李春雷の馬賊として酷いことをしていた話である。人を殺すことをなんとも思わなくなるとはどういう感覚をしているのだろうか?中国人の人なりを淡々と描いているところは浅田氏の凄い筆力だ。官僚は権力をかさにして民衆を抑圧しているところは今の共産主義体制そのものだと思う。次巻では春児が活躍するのだろうか?人の好い登場人物が出てきてほしいと切に願う。
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素晴らしい作品です!!
馬賊の張作霖、西太后の死、袁世凱の野望、そして越過長城まで。特に第四巻後半の兄春雷が将軍という立場を弁えながら、弟春児、妹玲玲に再会する場面には落涙。蒼穹★5.0、珍妃★4.8、中原★4.9。次はマンチュリアンへ。シリーズが読了したら、すぐにでも蒼穹から読み返したい気分です。引用候補もたくさんありますが、厳選してUPします。【第42回吉川英治文学賞、おくダマ賞2015】 -
清の時代が終わろうとするとき、他国の植民地支配を避けるために西太后が秘密裏に策を講じていく。最後がかなりあっさり終わってしまうところが残念。龍玉がどこへ行ったのか書いてほしいなと思う。
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物語がここから始まる予感。
…いや、もうシリーズ9冊読んでますが…
この辺りの歴史は守備範囲外なので、どうなるのか全然わからないのが、面白い。
蒼穹の昴を読んだ時にも思ったのだけど、歴史を物語る部分と家族の情を描いた部分があまりにもテンションが違う気がして、戸惑います。
どちらも面白いんだけどね。
文秀と春児の今後が楽しみ。 -
学生時代、友人よんちゃんから進められてハマッた
「蒼穹の昴」「珍妃の井戸」の、続編。
やー・・・っと読めた!!!涙
四巻もある大作の壁は高く、心身ともに余裕がない・・・と
いままで手がつけられませんでした。
期日のある積み本たちが落ち着いたから、一気に読むぜー!
前作の主人公・李春雲の兄が主人公な時点で泣ける。
あと、張作霖がめちゃめちゃかっこいい。
キョウカショ的には正直存在の薄い彼が
しょっぱなでいきなり龍玉を手にするときは驚いた。
やはりこの清末期の中国史は本当に面白い。
二巻以降どうなっていくのか。
わくわく。 -
蒼穹の昴、珍妃の井戸に続く第三弾。張作霖が馬賊から重要人物に成り上がるまでの物語。
チュンルや占い婆が再登場して懐かしかった。
本物の張作霖がどのような人物か分からないが、本編では豪快な人物として活き活きと描かれている。 -
張作霖の話。マンチュリアンレポートの前によむべきだったか?続きがたのしみ。