鯉浄土

著者 :
  • 講談社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062136808

感想・レビュー・書評

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  • 主人公はどうやらすべて終戦時に生まれた女性のようだった
    夫が動脈瘤なのが共通っぽい
    すべて2000年代に書かれた短編集
    雰囲気は良かったとおもうんだけど、内容よく覚えてない
    鯉浄土は、鯉こくの話
    鯉こく10時間煮込むと鱗も骨も柔らかくなるらしい、美味しいのか?
    最後は10時間煮込めなくて次の日に持ち越しになってたけど、冷えてまた煮込んで大丈夫なのか気になった

  • 2022.08.17 図書館

  • 読みたかった作家。

    思い出したはいいけど何で読みたかったのかは忘れた。メモにはあと『蕨野行』『龍秘御天歌』が記してあり、芥川賞受賞作品の『鍋の中』も加えてあった。

    読めばわかるかと思ったが、何で、というところは相変わらずはっきりせず、しかし久しぶりで純文学を味わったので良いかな。

    「からだ」「庭の鶯」「薔薇体操」「力姫」「科学の犬」「残害」「鯉浄土」「二十五年の妹」「惨惨たる身体」の9短編集。

    短編の語り手がすぺて年配の女性の「私」という特徴がある、のは珍しい。「である」調ばかりではなく「です、ます」調もあり、おやと思う。端整な文章で、現実味があるのに、するりと幻想の世界に入っていく不思議、ファンタジーのにおいがうるさくなくうまい。

    「庭の鶯」のぞわっとするところが好き。

  • 九篇から成る短編集。「生命」や「身体」ををめぐる連作、という感じ。それらの主題は当然「死」を引き寄せ、幾つかの短篇には時に冷ややかに、時にひっそりと影を落としている。
    「庭の鶯」の、お伽噺や昔話が孕む淡々とした残酷性を織り交ぜながら、物語では不安は解消された筈なのに、何とも不穏な締め括りがもやもやとした落ち着かない感じを胸に残す。
    「力姫」は生後間もない赤ん坊が登場するせいか、愉しく明るい空気感にほっとする。
    「惨惨たる身体」では身体の部位を用いた比喩から立ち上がる生々しさに、流石言葉を商売道具にしている人だと思った。
    一番印象に残るのは、やはり「科学の犬」。眩しく哀しいラストの情景はズルい、ダメだろう、と心の中で文句を言うことで何とかやり過ごす。村田さんの幾つかの作品中で飼い犬が登場するが、犬好きなのだろうか?

  • この人の本は初めて。
    淡々とした短編集。ちょっと薄気味悪さを内蔵している感じ。

  • 人類の本能もまた、備わったものであり、その存在目的などわかるはずもない。ただ、それぞれの感情の中に生きるのみ。

  • ひと歳とった著者はしみじみと先逹の偉大さ、ひいては命の大切さを実感したんではなかろうか。さらには人間に捕らわれず愛犬、もっと進んで食材としての鯉の命からさえ自己との相互依存を強く意識したのだと思う。つかみどころがないようで、著者自身にとっては新境地を描いた自信作というわけだ。

  • 短編集。体について、命について、死についてがテーマになっている。とくに体。体と命は別物だ。「科学の犬」を読んで激しく頷く。分析しても命は見えない。
    しかし「科学の犬」はつらい話だった。動物実験の話は私には堪えた。
    あとは「二十五年の妹」。ずっと十一歳の妹を抱え続けながら生きていく兄の気持ちはどうなのか。

  • 短編集。淡々としているがどこか気味が悪い、読んでいる側が不安になるような話たち。「庭の鶯」が一番好き。

  • やっぱり短編の名手だと思う!

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著者プロフィール

1945(昭和20)年、福岡県北九州市八幡生まれ。1987年「鍋の中」で芥川賞を受賞。1990年『白い山』で女流文学賞、1992年『真夜中の自転車』で平林たい子文学賞、1997年『蟹女』で紫式部文学賞、1998年「望潮」で川端康成文学賞、1999年『龍秘御天歌』で芸術選奨文部大臣賞、2010年『故郷のわが家』で野間文芸賞、2014年『ゆうじょこう』で読売文学賞、2019年『飛族』で谷崎潤一郎賞、2021年『姉の島』で泉鏡花文学賞をそれぞれ受賞。ほかに『蕨野行』『光線』『八幡炎炎記』『屋根屋』『火環』『エリザベスの友達』『偏愛ムラタ美術館 発掘篇』など著書多数。

「2022年 『耳の叔母』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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