中原の虹 第二巻

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062137393

感想・レビュー・書評

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  • 時系列的には第一部の『蒼穹の昴』が戊戌の変法・戊戌の政変、第二部の『珍妃の井戸』が北清事変、第三部の『中原の虹』が辛亥革命前後、第四部『マンチュリアン・リポート』が張作霖爆殺事件と続く。
    但し、物語としては『中原の虹』が『蒼穹の昴』の直接の続編と言ってよい。キャラクターのつながりは『蒼穹の昴』と『中原の虹』が濃く、『珍妃の井戸』は薄い。『蒼穹の昴』と『中原の虹』は視点人物の今の経験が語られる物語である。共に清朝の過去の物語が挿入される点も重なる。
    これに対して『珍妃の井戸』は後から過去に起きた事件を明らかにしていく形式である。これは張作霖爆殺事件をテーマとする第四部『マンチュリアン・リポート』と共通する。

  • 「蒼穹の昴」第三部。女帝・西太后の死。
    清朝・光緒帝、西太后が亡くなり、宣統帝溥儀即位が即位するまで。
    西太后(老仏爺)が、自ら悪役になって、西洋・文明から中国を民を守る。そのために、衰退した王朝の象徴となり、次の王朝(中国人の)が立ち上がっる契機となるという。史実かどうか不明ではあるが、一理あるかな、って感じさせられる。
    西太后の以下が印象的。また、なぜ、「老仏爺」って呼ばれるかというくだりも。
    ★天子に天命がないのなら、誰がかわって政を行おうがかまやしない。…。欲も野望もなかった。はっきりした目的があった。どこの国でも世界地図の中心は自分の国。地球はおのおのの国の主観と利欲にって動いている。文明の進んでいる国がそうでない国を乗っ取って、民を奴隷にし、産物を奪った。それは人間の尊厳を冒す。だから、この国を彼らの手に渡さない
    張作霖に関しては、下記のフレーズが、
    ★「鬼でも魔物でもねえ。俺様は張作霖だ」
    光緒帝の毒殺のくだりは、本当かと思わせる。史実だと思いたい。

  • この巻では西大后、光諸帝が老いのために亡くなり、張作霖・袁世凱が徐々に力をつけて台頭してくる話だ。張作霖は馬賊の悪者だがその人となりで仲間を増やしていく。中国の100年前の歴史そのままでとても面白い。春児の母を思う気持ちはとても心打たれる。第三巻では権力を持った者がどう国をまとめていくのか興味がある。次巻が待ち遠しい。

  • 話が進むにつれ、どんどん面白くなってきた。
    西太后はいわゆる「定説」とは違う感じで描かれているのだが、本当はこうだったのかも…と感じさせられる。続きを早く読みたくなる。

  • 第一巻にて

  • 『西太后、死す』――ついに、来てしまった。

    天命の尽きた王朝を支え、病に蝕まれながらも最期まで堂々たる威厳を見せつけた女傑。
    苦しみ抜きながらもあれだけ矍鑠と国政を回してきた彼女が、こんなにも急速に命の灯を弱らせていくとは。

    人一倍愛情深く、そして賢かったがために課せられた使命の重さが、光緒帝の幽閉をきっかけに一層彼女を押し潰したのだとすれば、
    その死はやはり、解放なのだとしかいえない。
    誰にも遺言を残すことなく、ひたすら懿諭を出し続ける西太后の姿に畏敬の念を覚えた。

    国のために人生を捧げ尽くした、その偉大さと孤独を思う。

  • 西太后の老化に伴う皇帝の権威の低下、日本をはじめとする諸外国による干渉の激化、華北地域における馬賊の勃興などを書く

  • 清朝末期の歴史小説です。
    第二巻になってかなり面白くなってきました。
    西太后と光緒帝が亡くなって、ついに清朝最後の溥儀さんの時代が来るところでつづきになったよ。
    西太后がとても心も体も美しい人に描かれていました。
    第3巻が楽しみです!

  • 清国末期から近代中国を描く壮大な物語の第2巻。滅亡の一途を辿る清国を背負い続ける西太后と、天命が下ったのかもしれぬ馬賊の頭目・張作霖。

    濃密な物語が続く。歴史年表の裏側に潜む壮大なストーリー。西太后と言えば、清最後の恐ろしい女帝のイメージだが、本作ではそれを覆す。

    物語もまだ道半ば。引き続き第3巻へ。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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