それでも脳は学習する

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 76
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062138598

作品紹介・あらすじ

「高次脳機能障害」と共に暮らす日々の中で、脳は成長し続ける。「壊れた脳」で生きる日常を綴る問題作。

感想・レビュー・書評

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  • 「壊れた脳 生存する知」の著者 山田規畝子さんの本。本書は続編ともいえるものだそう。

    「壊れた脳 生存する知」の後日談とも言える本書では時系列順のストーリーというよりは、著者が日々思っていることをぽつぽつと綴った文章が、テーマごとに連なっているというイメージです。

    脳梗塞で倒れ、病院と自宅を行ったり来たりしたあとの著者が、それからどんな思いを抱きながら日々を過ごしていったのかが記されています。

    まるで新聞や雑誌のコラムを読むように手軽に読めるものの、医者としての観点と患者からの観点を織り交ぜた内容には気づかされることも多く、「まだまだ社会はバリアリッチなんだなぁ」とか「両手で使うことが前提のものってもっとたくさんあるんだろうな」などと自分の日常生活を新たな視点で見まわすきっかけにもなりました。

    『解説-それでも生存する「知・情・意」』は専門的な解説で一般読者にとっては難しい内容ですが、専門分野の方にとってはこの数ページが大変貴重なのだろうなと思います。この解説を読んでから本文を読むことで、気づかされることも多いのではないだろうかと思いました。

  • 私にとってはぶら下げておくための「くさび」のような本。

    前書「壊れた脳 生存する知」もとても良い本でしたが、このエッセイ集も率直な想いが綴られていて良書です。

    タイトルにあるとおり、脳は学習し続けるし、(広い意味での)リハビリはいつまでたっても続ける意味があるということを知ることが出来ます。「症状の固定」なんていうのはとても傲慢な言い方であることも、もっと広く認識されるべきだと感じさせてくれます。

    「あきらめないために受け容れる」これ、重要。

  • 壊れた脳~生存する知~の続編!!
    なかなか理解されにくい高次脳機能障害が日常生活でどんな風に困っているか、どれだけバリアな街かということを経験的に書かれてあり、また健常者の常識的な考えは、障害者にとっては常識でないこともたくさんあり、正しいと思うこともそれは僕ら健常者視点から考えられたものと教えてくれる!そして脳の回復には、社会で生きることの大切さを教えてくれる一冊でもある。リハビリは自宅退院で落ち着くことなく、もっと社会に対して参加できるようにしていく関わり方が必要と思う!日常生活で障害者の方や高齢者の方がたくさん見られることで、みんなが住みよい街になっていくのではないか?そうなっていって欲しいと思う。。。

  • 前作同様、非情に興味深い作品。でも連続して読んだからか、やや既読感が否めなく感じました。

  •  「壊れた脳 生存する知」の山田規畝子のエッセイ。
     「壊れた脳」で生きる日常を綴った問題作…だそうだ。

     うーん、「壊れた脳 生存する知」的なことを求めるとがっくしだろう。
     本当にとっても軽いエッセイになっている。どうやらこれは、ブログで書いたものをまとめたものらしい。(初出が書いてない)
     ブログって手軽だけど、それゆえに文が甘くなる。思わず自分自身を省みて、がくっとしてしまうのであったww
     と、ブログがmixiがとあるくせに、アドレスはない。mixiも検索してもひっかからないしな。なんか、有名になってやっぱり批判的な人に遭遇したらしく、それで防衛してるのだろう。が、本当に「高次脳機能障害」を世間に広く知ってもらいたいと思うのなら、せめてURLを出せよと思うのである。
     若い人で高次脳機能障害になってしまった人の大半は、事故が原因なのだろう。だからこそ、WEBの中で同じようにがんばっている山田氏のことを知れば、それが励みになるだろう。
     その扉を、閉ざしているような感じがして、ちょっと嫌な感じ。

     何回も出てくることだが、障害は人によって全く違う。けれど違うことを理由にして逃げているのではないだろうか。って、それは文筆家としてのことだ。
     違うからわからない、というならそれ以上つっこまなければいい。今回の本で、うむむ、となったのは、踏み込もうとしつつ、肝心なところで「障害は人によって違うから」と身を引いてしまう、いや、身を翻してしまうような文が目立つからだ。障害を持つ当事者として、そういう態度や文を必ずしも悪いとは言わない。けれど、こうやって本を上梓する以上、それなりの責任は発生するんじゃないかな。
     ま、これは本人の責任というより、出版社の責任だとも思うけど。(ここはもうちょっとつっこんで書いたほうがいいですよ、とか、これはカットしたほうが、とかって一緒に練る作業をしなかったんだろうか)
     うん、障害があろうが、なかろうが、本は平等なのだ。つか、本人も文筆家として、平等に見てもらいたいと願ってるんじゃないだろうか? 私的には、そうであって欲しいと思ってるけど。

  • 『壊れた脳 生存する知』の続編。図書館で。
    文字が大きくて、読みやすい。1時間くらいで読める。
    基本的には前書と同じようなことが書いてあるのだけれど、
    前向きで“超人”なイメージだけでなく、この本では山田さんの弱い部分、本音の部分も感じられた。それが良かった。

  • 高次脳機能障害を負った著者のエッセイ。
    個人的、主観的部分は当然あるが、著者のがんばらない、小さな成功を見つけ、希望につなげる生き方に学ぶところは大きい。
    見た目にかかわらず、脳の機能障害で苦労されている方の存在に気付かされるだけでも意味がある。
    08-24

  • 3度の脳内出血で、高次脳機能障害を負ったお医者さんのエッセイ。
    お医者さんならではの分析と素直な表現で、この障害について理解をする一助となりました。

    「人生は自分探し」だけれど、「自分は自分の脳の記憶の中にある」

    小学生だった息子さんの「お母ちゃんは生きていてくれるだけでいい」という言葉にもハッとさせられる一冊でした。

  • 高次脳機能障害について知るに良書。
    なんせ本人が患者で医師。

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著者プロフィール

1964年、香川県生まれ。東京女子医科大学卒。同大付属病院、香川医科大学(現・香川大学医学部)勤務を経て、山田整形外科病院院長に。37歳で3度目の脳出血を体験し、重篤な高次脳機能障害を発症。自分の症状や自前のリハビリ法などを綴った『壊れた 生存する知』が話題に。

「2011年 『壊れた脳も学習する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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