カシオペアの丘で(下)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062140034

感想・レビュー・書評

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  • 最後の結末はなんとなく予想できたけど切なく、温かい話でした。

  • 家族や友人が癌で余命を宣告された時、本人よりも周りの人がそれを受け入れられる心構えを作るのが大変なのだと知った。

    残されていく人は、その人の死を受け入れるしかない。
    余命が短くなるにつれ、その人の輪郭が薄くなり消えてしまいそうになりながらも、残された限りある時間をどう過ごすかを考えるようになる。

    大切な人の死を迎えることは、とてもショックで悲しい出来事に変わりないが、その人と過ごしたかけがえのない時間が心の底に思い出として生きつづける。

    昼間の星は見えないけれど、いつも変わらず空で瞬いている。
    俺が消えてしまっても、ずっとそばで見守っているからな。

    と、息子に伝えるシーンは儚くてグッと胸に刺さりました。

  • ー正しさで追いつめないでやってください、


    名言の宝庫だった。
    心の芯を揺さぶるような感情ばかりを、
    どうやって起こさせるのだろう。

    家族、友情を表現させたらピカイチなんじゃないだろうか。
    夫婦っていいな、と素直に思う。
    この人と一生寄り添うんだ、なんて想える人をどうやって見つけるんだろう。

    やはり、涙のあとには揺さぶられた心の芯が温かくなる作品です。

  • ゆるしてほしいこと
    ゆるしたいこと
    でも、まだできていないこと

    あなたにはありますか?

    「人をゆるすこととは、自分をゆるすこと」
    この一言が、とても心にしみました。

    子どもの頃に習った『勇気』とは、未来に立ち向かう勇気。
    大人になったらもうひとつの勇気が加わる。
    過去にまっすぐ立ち向かう勇気。

    1人でその勇気に立ち向かわなくていい。
    誰かとともに、時にその勇気に挫けながら、でもそこへ向かえばいい。

    気持ちを強くしつつ、でも、柔らかくしてくれる本でした。

    昼間の星の件は、とてもいい話だったなあ。
    自分の子どもができたら、話してあげたい。

  • 4人の古くからの友情、強い絆を感じる。
    今を生きるということは目の前と向き合うことでもあり、過去を振り返ることでもある。
    シュンを含めて4人の同級生とそれに関わる妻や息子、事件に関わった家族。何気ない出来事が人と人をつないでいく。

    残された人生の時間、それは癌という悲しみとの闘いの時間でもあるが、誰かに何かを伝えられる、自分の気持ちを伝えられる相手がいる、ずっと見守り続けたい人たちがいるということが幸せの一つなのかもしれない。

    愛するということ、愛し方は人それぞれであるし、いろいろな形があると学んだとともに、自分自身の中での愛するということはどういうことなのかを改めて考えさせられた。

  • 幼なじみ4人のうちの一人がガンとなり、大人になった4人が改めて1つになり、お互いの過去を許していくのが下巻のストーリー。

    人を許すと言うことがどんなことなのか、それを緻密に温かく、4人の心情を上手く表して、読者に投げかけてくるようだった。

    自分の小学校時代の思い出を思い起こさせるものがあったし、久しぶりに古里の友人の近況が知りたくなりました。

  • せつなくもうつくしい本

  • 北海道の炭坑マチが舞台だというので買ってみました。
    炭坑での事故、閉山後の寂れていくマチ、そういった背景で書かれていると、ある程度特定の市町村名が思い浮かぶでしょう。周辺のことを知っている人が読めば、これはいくつかの町のミックスで、でも当時の北海道の炭坑はどこも似たような状況だったんだろうなぁとか。

    自身も元炭坑マチの生まれで、なおかつ、描かれている作中人物たちと年代も近い。なので、妙な実感を持って読めました。
    ただ、あまりに身近過ぎて、かえって泣けなかったのが残念。

  • 数回泣きました。
    ユウちゃんがいたから、またみんなが再会できたんだと思う。

    これから、夜空を見上げることや、メリーゴーランドを見ることが増えそうです。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00363036

    苦しみ、傷つき、やがて輝く星になる。壮大な命の物語
    ぼくはゆるしてもらえるんでしょうか。
    ゆるされて、しぬことができるんでしょうか。

    29年ぶりに帰ったふるさとで、病魔は突然暴れ始めた。幼なじみたち、妻と息子、そして新たに出会った人々に支えられて、俊介は封印していた過去の痛みと少しずつ向きあい始める。消えてゆく命、断ち切られた命、生まれなかった命、さらにこれからも生きてゆく命が織りなす、あたたかい涙があふれる交響楽。(出版社HPより)

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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