虚構 堀江と私とライブドア

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062140232

作品紹介・あらすじ

「ニッポン放送、フジテレビは、なぜ騙されたのか」。プロ野球進出騒動、総選挙、村上ファンドとの関係、ITの寵児が疾走した「既存勢力への挑戦と限界」。未熟さゆえの罪や失策を素直に認めつつ、卑下することなく等身大のライブドアを語る。

感想・レビュー・書評

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  • ライブドアの ナンバー2 宮内亮治の告白本。
    あまり期待しなかったけど、やはり 文章がうまくない。
    要するに、洗練されていないのだ。
    堀江貴文は「ビジネスパートナー」と呼ぶ。
    確かに、財務的な部分は 宮内が行なったのかもしれない。
    粉飾に対する自覚が、あまりなかった気もする。
    イケイケドンドンの世界で、利益を上げる手法は
    ファイナンスで行なうわざるを得なかったと思う。

    近鉄球団買収、ニッポン放送買収、それで得た1400億円。
    亀井静香に挑戦した政治家への道、
    更に突き進んでいく宇宙事業とソニー買収。
    そのなかでの 堀江貴文の 変化が、うまく切り取られている。

    検察のシナリオで、堀江貴文を叩き潰し、
    ライブドアを叩き潰すということが浮き彫りだ。
    そのために、堀江貴文と宮内亮治を対立させれば、
    よりそのウミは、でやすいのである。

    堀江貴文は 自分を無実と言って会社よりも自分を守った。
    宮内亮治は 罪状を認めることで 会社を守ろうとした。
    検察のシナリオに乗るか乗らないかで、その立ち場が鮮明となる。
    堀江貴文は 検察のシナリオに乗らなかった。
    ある意味では、そのほうが 勇気のいる選択だったのかもしれない。

  • ライブドア事件のことを宮内さんが自分の立場で書いた本。今までは堀江さんの著書しか読んでなかったから、この本は新鮮だった。当然のことながら堀江さんとは意見が異なるけど、どちらが正しいかは第三者でなければ何ともいえない。双方に言い分はあるのだろうけど、逮捕されなければならなかったのかは疑問。同じようなことをしても捕まらない大企業の方はたくさんいるし。

  • ライブドア事件について、No.2の宮内氏視点から書いた本。
    基本的にはホリエモンと罪のなすり付け合いをしている。
    どちらの言い分も正しいし、間違っているのだと思う。

    検察側のストーリーというのは、難し過ぎて素人にはさっぱり理解できなかった。
    なので悪質性の判断は出来ないが、ホリエモンが書いた本より詳しく事件の全貌が書かれていたので、この人の方がより実務に詳しかったのだろうと思う。
    この本に書いてあったように、ホリエモンは途中から会社の広告塔のような存在になり、やがてタレント化し、仕事はほとんどしていなかったのだろうと想像する。
    天才的な頭脳の持ち主だが、俗物的で、ある面で物凄く普通の人なんだと感じた。

    ライブドア事件のことよりも、客観的な立場からホリエモンのことを論じているところが参考になった。
    人の本性が出るのは、仕事と家庭だと思うから職場の人の評価、家族の評価というのは、その人の本性を的確に捉えていることが多い。

    ただ、ホリエモンも宮内氏も「自分は世間で思われてるような拝金主義ではない。お金にも贅沢にもさほど興味がない」と主張しているのが白々しかった。
    六本木ヒルズに住み、高級外車を乗り回していたのだから言っていることとやっていることが随分違う。
    贅沢をするなと言っているのではなくて、贅沢が好きなんだからそれの何が悪いんだと開き直れば良いのに。
    お金に興味がない金持ちに見られたいのなら、バフェットの様に地方の中古住宅に住み、稼ぎのほとんどを寄付するくらいのことはしないと世間はそう評価してくれない。

  • ライブドア事件の筆者からの立場の見方。
    ホリエモンは情報収集と見通しの力に優れている。

  • 今更ながらライブドアがどういう経営スタイルだったのかを知りたくて、読んでみた。
    堀江氏の本を読むと、僕自身と性格が似ているので、参考になるかと思い。

    ・赤字について理詰めで責める。その詰められる堀江が強くて、皆んなが必死に成績を上げるというスタイル。良い緊張感はあった。

    ・読みが早すぎる上に、飽きっぽさがあり、その事業が成熟する前に止めてしまうこともあった。堀江のアイディアを事業化して成長させられる人材がいない。

    ・内紛を機に、一層ドライな人間関係を好むようになった。判断基準は数字のみ。

    ・360度評価に対する堀江氏と宮内氏の対立。自分の部下を評価とは無関係に取り立てて新規事業を任せようとしたことで対立。公平性が保たれるが、トップダウンとしてのスピード感をどのようにバランスするか。

    ・2005年に株の一部を売却してキャッシュを手にしてから、堀江が会議に来ない。宇宙への関心を語りビジネスに関心を持たない。宮内氏からの信頼を失う。だから中をまとめようとしていた。

    ・勤務はフレックスタイムで、給与は安いが、徹底したインセンティブ。経費はどんな備品購入にも相見積もりを取らせ、執行役員(事業本部長を兼務)でも決済権限は5万円まで。利益を達成しない幹部は厳しく叱責され、信賞必罰で降格。

    ・いくら稼いでくれるかにしか関心がないため、歓迎会には一律三千円の補助を出すが、送別会には出さない。会社を出ていく人間には何かをする必要はない。社員に一体感を持ってもらうため、忘年会と社員旅行には金をかける。

    ・唯一の福利厚生は月7万円会社の近くに住むべきだから。

  • ライブドア事件を当時取締役ファイナンス部部長、など肩書きを持った著者からの視点で書いた内容。

    当時のライブドア社内、堀江社長がどんな存在であったかがわかる本。

    次に中国を狙っていると巻末に書いてあったが、どうなったのか・・・

  • 堀江氏の側近でライブドア時代は財務部門に携わった宮内氏の著書。

    本人と検察の見解内容の相違点が多く語られており、読んでいて疲れた印象があったが、事件の起きた翌年の2007年に執筆されている時点で中国のビジネスに強い関心を持っていたことからも堀江氏とは違った天才的な才能はあることは読んでいて感じました。

    あと、堀江氏の情報力や分析力の的確さそして、仕事に対するドライな姿勢などの側近からみる天才ぶりも感じました。

    確かにニッポン放送の騒動後から堀江氏の熱量がなくなったことは共感できる部分はあると感じたり、同社の予算管理などの金銭面に対するシビアな姿勢は読んではじめて知りました。

    株式市場が次の段階に入った時代に刺激的なM&Aなどのファイナンスで時代の象徴となった同社は堀江氏だけにフォーカスが当てられる部分が多いですが、そこには結果的に罪に問われることにはなるものの宮内氏を代表とする側近たちの力もあっての組織の拡大があったことを本書を読んで感じました。

  • ライブドア事件宮内亮治氏側から見た本
    ホリエモンの主張だけ読むのも不自然と思ってこちらも
    読んでみましたホリエモンと宮内氏相違は有る物の
    あの逮捕はやはりやり過ぎだと思わざるおえない

  • この本はいったいなんなのか。
    読後に理解に苦しんだ。
    暴露本なのか罪の吐露本なのか社会に対する警鐘の本なのか。
    報道では知ることのなかったライブドア幹部の人間くささが伝わったのはプラスだが、結局「自分の責任はここまでだった」という弁明の部分が多い。
    なんともシャキッとしない読後感。

  • 事件当時、まだ学生だったので内容についてはそんなに知りませんでした。今更ながらですが理解できてよかったなと思います。

  • クラサワコミュニケーションズ買収をはじめとする不当な利益の計上があり、それがニッポン放送買収で浮き彫りになったというお話。

    文中に「堀江は容疑を否認し徹底的に戦っていく中で、私(宮内)にすべて任せていたといい、堀江も自分自身にもそう言い聞かすことができるようだった」という記述があった。

  • ホリエモンの右腕とも呼ばれた元ライブドア・宮内受刑者の一冊。
    堀江貴文の「徹底抗戦」も読みましたが、フラットな視点で事実関係を書かれているのはこちらの方かもしれないですね。書名の通り「徹底抗戦」しているホリエモンと違って、違法性を認めているだけにある程度開き直りとしてかけた部分もあるだろうし。
    そのへんの個人の思いの対立とかは正直、読む私にとってはどうでもよくて、むしろあの頃のライブドアがなにを目指してあのようなビジネスをやっていたのか、どのように成長しようと考えていたのか、が、気になっていたのですが、本書が真実だとしたら、まさに「虚構」の中でもがいていたんだろうなぁということがわかります。
    ライブドアは国家権力に潰されてしまった、と、今でも私は疑いを捨てていませんが、その強制捜査がなかったとしても、企業としての寿命はさほど長くなかったでしょう。

  • ライブドア事件も内部からの視点ではまた違った一面を持っていたのだと思います。ギリギリ合法のハイワイヤーを歩いたのか、それともそれは"非紳士的行為"だったのか。いずれにせよ当事者だけに責任を押し付けて終わりにするのではなく、今後も考察を続けたい事件だと思います。
    本書では内部での陣頭指揮をとっていた宮内氏が経緯説明とをしていてとても参考になります。

  • ホリエモンの本をほとんど読んだが、ライブドア関連でホリエモン以外の視点で書かれた本を初めて読んだ。当然?なのか両者の立場・訴えは異なっているので何が真実だったのか、というのは気になるところ。ちょっといわゆる普通の人間とは離れた感覚の持ち主のホリエモンよりも、考え方とかは共感が持てるというか自分に近いものを感じた。
    そしてこのころのライブドアで働いてみたかったなとちょっと思った。

  • 意外と良かった。

  • 会社の実像を再認識することが出来る一冊。

  • ライブドア事件っていうのは耳にしていたけれど
    あまり関心がなかったので詳細は知りませんでした。
    これは実際に逮捕された内部の人間がその当時のことを記したものです。

    ライブドアがどんな会社だったのか。どのように急成長をしていったのか。読み物としてとても面白かったです。
    実際の逮捕された人が書いているので客観的といっても自己弁護的になっているのかもしれません。でも出来る限り客観的に書かれていたと思います。そしてこの人が責任を逃れたいとして何か言い訳がましいことを書いているようには思えなかった。


    もともと、メディアとかであまり見たことすらないのだけどホリエモンは好きではなかった。そういった先入観からなのかわからないけれどこれを読んでもっとホリエモンが嫌いになった。この文章からはホリエモンの天才的素質を垣間見ることは出来なかったし、ただの目立ちたがり屋のデブくらいにしかみえなかった。

  • 意外と読みやすかった。

    悪いところは素直に認めているし、
    読んでていいかげんな人だなぁとは思ったが、
    世の中の情報からイメージするほどの感じの悪い奴ということはなかった。

    他の人の発言との食い違いがあり
    本書が正しいとは言えないが、
    事件について知りたいのであれば、
    その中の1人の主張として読むのはいいと思う。

  • ブックオフに安く置いてあったので手に取ってみた。読むべき時期は逸したような感じもするけど、今みたいに経済全体が委縮しているときに改めて振り返って見るのもいいかもしれない。


    著者自身が、逮捕・起訴された側でしかもホリエモンとも対立する側ということで、内容は全体的に自己弁護やホリエモンやマスコミ対する批判が多い。そのあたりは割り引く必要があるけれど、数少ない当事者側の記録だし、当時の内部の雰囲気がよく出ている。書かれている事実にしても、(冷静に分析された)いろいろな報道とも概ね整合していて、正直に書こうとしているように思う。


    虚業、拝金主義、時代のあだ花といってたたくのは簡単だし気持ちがいい。でも、個人的にはライブドアは虚業でもただの拝金主義でもなかったように思う。IT企業としてみてもよいサービスを多く持っていたし、ファイナンスの技術も高かった。経営陣を筆頭に、優秀な人たちが最大限の努力で仕事をしていたんだろう。倫理的に批判されることは覚悟していただろうし、綱渡りをしているという自覚もあっただろうけれど、法を犯して逮捕されるようなことをしているとは考えてもいなかったんじゃないか。制度の範囲内で最大速度で突っ走っていたつもりだったんだろう。そうした全力疾走が嫉妬ややっかみ、反発なんかを生んでいき、最終的に司法の標的にされてしまった。そんな状況なんだろうと思う。

    ライブドア自体は、時代の最先端をいく企業としてもてはやされたあとすっかり転落してしまったし宮内氏や堀江氏はいまや犯罪者。だけど、だからといって、やっぱりああいうのはだめなんだ、と切り捨てることはできないし、ビジネス、会社、経営のありかたといったことに対して彼らが投げかけた疑問はまだまだ考えなくてはいけない。そう考えると、経営、制度、経済、司法、倫理、報道とあらゆる面から本当に日本のビジネスをとりまく問題を浮き彫りにした事件だったのだと思う。

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