私的生活

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062141253

作品紹介・あらすじ

これが日本の恋愛小説の底力。
田辺聖子「最高傑作」3部作 復刊第2弾!

結婚→離婚。乃里子33歳。わたしの私的生活は、彼に侵されてしまった。
「愛してる」よりも「もう愛してない」と告げることの、難しさ。

感想・レビュー・書評

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  • カップルで仲良く暮らすうえでの、女子のリアルな胸の内。
    日常のなんでもないひとコマからじわりじわりと教訓めいた洞察がうかがえて興味深いです。
    相手のおふざけに乗っかってご機嫌をとる、芝居っけを交えつつだましだまし保たせる、などなど。
    女子の側からは、おふざけに乗ってあげて相手を甘やかしてあげているつもりでいても、相手にしてみれば、本当に言いたいことを言わずにいて実はだましだまし甘やかしてあげていたのだというのが見えたとき、衝激が走りました。

  • 「言い寄る」をさらに上回る面白さを感じた。
    夫婦の心境の変化が細かく描写されており、昭和に書かれた作品なのに現代にも活き活きと通ずるものがある。

  • 相手が生活していて大切にしている感覚なんかをこちらも同じように尊重する。ことばにすると簡単なようだけど、難しい。感覚は言語化しにくいような繊細なものもあるし、自分の感覚を大切にすることがすなわち相手の感覚を侵略することにもなりかねないから。本当に、人と人が一緒に生きていくことって表裏一体、一寸先は闇だなぁ。

  • 乃里子パート2。
    「言い寄る」では、五郎に片想いしつつも自由に恋愛を謳歌してたのに、籠の中の鳥となった乃里子。

    愛があったらお金は要らないも嘘だけど、お金があれば幸せってのも嘘。愛されるのは満足ではあるけど、自分から愛してなければ幸福ではない。

    前巻で、暴力を振るわれたのに、剛を選んだところがバカだなーと思うけど。
    まだ33歳でしょ。「苺をつぶしながら」で、どう羽ばたいていくか楽しみ!

  • 久々に読んだ田辺聖子さん。

    美人でおしゃれで男に愛されて仕事も順調で
    お金もあって、といううらやましい主人公が
    なつかしかった(田辺さんの作品にはそういう女の人が多い)。

    若い頃に読んだ時はそういうのが物語とはいえ
    アホらしくなったり、自分と比べてしまって
    ついひねた気持ちになっていたけど
    大人になって読むと、その自信、自己肯定感が気持ちいい。

    DVとか男尊女卑とか、
    昔の作品だとは思えないくらい
    今でも通じるものがあるのではないかと思った。

    わたしも男に頼らず、自分の力で
    たくましく幸せに生きよう。

  • 前作「言い寄る」を知らずに読みましたが、面白かった!田辺聖子さんの本、今まであまり読んできませんでしたが、これからどんどん読んでみたくなった。

    御曹司に愛され結婚した乃里子。夫は強引でヤキモチ焼き屋でわがままなところがあるが、とにかく乃里子にベタ惚れ。高級マンションでリッチな暮らしをしながらも、根っこの部分が変わらない乃里子は同性から見てもすごく魅力的です。窮屈とも言える生活の中でもとにかく自由で勝手で自分の意のままに生きている。彼女が好きになる男たちもまた魅力的なんだというのが分かる。
    格好のいい女性だわ。「言い寄る」も読んでみたい。

  • 「つなぎ」っぽい。やっぱムショ生活はつまらんね〜

  • やってくれるかなぁと期待していたベースケはとくになくまだかなぁまだかなぁと読み進めていただけにちょっと残念であります!
    籠の鳥になってしまい、徐々にさめて白けていく。今までわろてたことがまったくわらわれへん、わかります。

  • 「言い寄る」に続く乃里子の物語。
    結局、剛と結婚しちゃったのかよ!って冒頭から呆れながら読み進める…。
    なんでこう軽率なのかなこの人は…とイライラしながらも、気がつけばまるで乃里子を心配している女友達のような気分に。
    今だったら完全にDVとされる剛の言動にだんだんと精気を失っていく乃里子は痛々しかった(ところで小説の中の男にこんなに嫌悪感を抱いたのは初めてだと思う…w)。
    それでも最後、本当の自分を取り戻すために、自分の口で決別を伝えた乃里子を労いたい。

    今回はアバンチュールも特になく笑、乃里子と剛の間柄が主なテーマだったが、男と女の間にまつわる名言がたっくさん詰まっていたな~。
    刻一刻と移り変わり、当事者たちすら振り回されてしまう男女間の感情。
    白か黒かでハッキリできたら苦労はない、って嘆きたくなるような関係。
    特に終盤にかけて乃里子と剛の気持ちがどんどん離れていく様子は、あざやかに、かつテンポよく描かれていて、流れるように読んでしまった。

  • 自分だって望んでたわけじゃないのに、変わったりする。

    うまくやりたかったのに、その為なら努力できたのに。
    どっかで気づいてほしくて、褒めてほしくて、ありがとうと感謝してもらいたくて。
    なんで自分ばっかりって幼稚なことを思うけど、多分それって消せない。
    思いやりとかバランスて言ったらつまらないけど、そう言うこと。
    双方思い通りなんていかないんだ。

    一瞬先がわからないのは恋人で、家族にならなくちゃ、夫婦で家族で、それは安心で。

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著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

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