花合せ――濱次お役者双六――

著者 :
  • 講談社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062143431

感想・レビュー・書評

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  • 最近気に入っている、田牧大和さん。
    ほんわかしている空気感が好きです。

    まだまだ立女形を張るには程遠い濱次。それでもキラリと光るものを持っていて、周囲の人たちからの期待値は高い。そして本人はちっともそれに気づかない……
    田牧さんはこういう主人公がお好きなのでしょうか。
    わたしの好きなシリーズ「藍千堂」のお兄ちゃんもそんな感じ。
    閑話休題。

    ひょんなことから、変化朝顔を押し付けられた濱次。変化朝顔に一喜一憂する江戸の人たちのことは梶よう子さんの「一朝の夢」を読んでいたから少し知ってる。そう思えるのも、また読書の楽しみである。
    朝顔を押し付けられた濱次もさることながら、小心者でお金の臭いに敏感な清助、豪気な座元、何もかも御見通しのお師匠さんなど、周囲の人物像も様々で読んでいてとても楽しかった。
    双六というだけに、続きが文庫で出ていますね。あいにくこちらは図書館で借りたのですが、続編は蔵書にない模様……
    これは買え、ということか。うーん、続きが読みたいので、そのうち買います。

  • 朝顔=小学生の観察の題材、というイメージしかなかったけど、奥が深いんだなと思う。
    軽く読めました。

  • 「緋色からくり」が面白かったので、これまでの田牧作品を出た順に読んでいるところです。時は文政、主人公は今ひとつパッとしない女形役者の濱次。陰に日向に彼を応援してくれている人たちがたくさん出てきて(師匠に座元・料理屋の女将など)あと少しの精進と欲があればなんとかなるのでは・・といったところに、変化朝顔(朝顔の変種)に夢中になる市井の人々を織り交ぜた話の展開。役者の世界と朝顔の薀蓄話はそれぞれに面白く、ちょっとした脇役にも人間臭く好ましい人物が多々出てくるの嬉しかった…。また、最後にちょっとお楽しみもあったりして、いい感じに読み進められました。ただ、「緋色からくり」がとてもよかったものだから、それを思うと勢い的に少し物足りないかなぁ。「花合わせ」の方が以前に書かれたものなのだから、それは、田牧さんが上手になられた、ということで喜ぶべきことなんでしょうけどね。

  • ★3.5

  • 不思議なお名前の方…初めて読みました。歌舞伎役者が探偵するって最近良く見るなあ。もうちょっと歌舞伎に絡めて欲しかったです。これじゃただの捕物帳だあ。(いえ、捕物帳がダメってわけではないんですが、期待値のベクトルが…)

  • 田牧大和さんのデビュー作、濱次お役者双六1巻、江戸の歌舞伎森田座の若手大部屋役者・濱次の成長譚。ある日、濱次が道端で見知らぬ娘から、無理矢理奇妙な朝顔の鉢を預けられたことから物語は動いていきます。覇気がなくおっとり者の濱次は、面倒なことに巻き揉まれるのは御免と裏方の清助にそれを押し付けるが、小金稼ぎに勝手に品評会「花合せ」に、持ち込んだことから…。歌舞伎・女形役者・芝居茶屋、そして植木屋と多彩な演出に師匠の兄弟子幽霊まで登場。朝顔に絡む謎解きと役者濱次の成長を上手く絡ませた作品。

  • 小説現代の長編新人賞受賞作「花合せ」---選考委員を唸らせた「殺し」も「剣豪」も出てこない新鮮な時代小説。江戸の歌舞伎小屋「森田座」の若手女形「梅村濱次」が主人公の成長譚。シリーズ1作目。濱次は才能、容姿に恵まれているが、おっとりもので怠け者。
    ある日、見知らぬ娘から半ば強引に預けられた奇妙な鉢植えを
    奥役の清助がこっそり「花合せ」---品評会に出してしまい物語は思わぬ方向へ。。
    とても面白かった!こんなに心が震えた本は久しぶり。
    座元や師匠、茶屋の女将まで巻き込んだ、濱次の謎解き、時折見せる濱次の才能、無くなった兄弟子「香風」の話など、後半からラストにかけてが特に良かった。アサガオ、芝居に興味のある方にもオススメ♪ 文庫本もあり。

  • ミステリでもあり、若者の成長を物語る青春ものでもあり、歌舞伎役者の日常が垣間見られて、しかも幽霊まで登場...一粒で二度以上おいしい小説です。主人公濱次のなんとなく物足りない野心のなさが、現代の若い人とかぶる、そこが良い!

  • 濱次が大化けして立女形になる姿を早く見たい気もするし,そうなったらシリーズも終わりになりそうだし。。。ジレンマ

  • 【第二回 小説現代長編新人賞受賞作】

    選考委員の方々(←名だたる面々)の絶賛ぶりから、手にとった1冊。

    他の方も書いておられますが、ミステリ・・・かと思いきや、
    温かい主人公成長譚でした。

    私の感想では、どーにもこの作品のほのかに匂いたつような
    艶香を伝えられないとは思いますが、これは良かった・・・!

    良い意味で期待を裏切られた感じです。
    どうやら、続きがあるようなので次作も読みたいと思います。
    =============================
    見ず知らずの町娘お菊から、預けられた【1鉢の朝顔】。

    預かったはずの朝顔が、ある日消えた。

    持ち去った人物は誰なのか。
    お菊はいったい、なぜ鉢を預けたのか。
    預かった【朝顔】は、どういった品なのか。

    主人公は江戸・森田座の新人女形、梅村濱次。

    彼自身は、演じたい物でなきゃ身が入らないと思っていますが
    周りの評価は、「やればできる子、やらない子」といった感じ。

    濱次の本気が見たい、座元・勘弥。
    穏やかなご隠居であり濱次の師匠、稀代の名女形の弟弟子、仙雀。
    濱次付の奥役、頭の回る小心者、清助。
    柳川茶屋の艶っぽい女将、お好。

    濱次をとりまく人たちが、いい味だしてくれてます。

    途中「ん?」と思った箇所は、きちんと最後に回収されてます。

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著者プロフィール

作家

「2022年 『鯖猫長屋ふしぎ草紙(十) 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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