- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062147231
感想・レビュー・書評
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死亡率の極めて高い小児固形がんの患者と向き合った大学病院医師の記録。
苦しい治療の成果で一時寛解してもすぐに再発し命を落とす幼児たちとその親達と向き合う中で医者として人間として確かに成長する姿がある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ma2さんの弟さんが書いたとのこと。
自分も子を持つ親として、いろんなことを考えさせられた。
おそらく数多く診てきた患者さんの中には、松永さんの手によって治癒した子どももいるのだろうし、医師としては「成功例」とも言える、そのことを書くという選択もありえただろうと思います。
でもこの本には、そうではなく生物学的には死という結果となった子どものことが多く書かれています。最後まで読んで、それが「失敗例」でもないし、治療というもののあり方は医学ばかりではないと松永さんが考えていることが伝わってきました。
自分も半年ほど入院して体験した医学用語がいくつかでてきて(IVRとか)、あれを小さな子どもが耐えるのはすごいなぁ、と素直に思いました。
また、松永さん自身の病気についてのくだりでは、共感するとともに、実は自分のことをフラッシュバックして吐き気を催してしまったくらいです。
子どもを持つ親にはぜひ読んでいただきたい一冊。 -
小児癌と闘う子どもと小児科医と家族の姿が、
「現実を受け入れるって、単純なことではないし、簡単なことでもないんだよ」
って語りかけてきているように思えました。
自分が今、癌になっても、大人だからまだ運命として受け入れられると
思う。若くして癌で亡くなる人の数は残念だけど、決して少なくはないと
思うから。でも、自分の子どもだったら、そうそう受け入れられないし、
理解したくもないし、夢だと信じたい気持ちになると思う。
今は自分の身に降りかかっていないことだけれど、
生きている限り、いつかは自分も当事者になるかもしれない。
もし当事者になっても、この本に登場する方々のように、
ずっと新たな目標を探して進んでいけたらいいと思う。