- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062147323
感想・レビュー・書評
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またやってしまった。
私は何故か、紙で良く指を切ってしまう。
つつ、と細く切り裂かれた皮膚の裂け目から、たらり、と流れ出てくる赤い血。
「痛・・・。」
テッシュでふき取りながら、
そういえば、前回切った傷口はどうなったっけ?
血がふき取られた後の傷口は、ぱっくり開いている。
これが、いつの間にか塞がるのか…
人の体って良く出来てるものだな~と、感心しつつ、
ふと、思ったのは
では、心の傷はどうやって塞がるんだろう?
と、いう事。
タイトルの「ごめん」からも察することが出来るように、
4つの短編の登場人物は皆、
他の誰かによって、
ズタズタに心を引き裂かれる。
痛い。
さっき切ったこの指の痛みより、遥かに痛い。
この人達に心を重ね合わせるのは嫌、
と、読書逃避したくなるくらい、なんか嫌だった。
でも、
それを詫びる人の「ごめん」で、
傷は塞がるのか?
そうじゃない。
それを許す事が出来る自分の心があるか無しか、で
傷は塞がる…らしい。
忘れる、とか
あきらめる、なんて一時的な絆創膏なんかじゃなく、
許す、という気持のみが血小板であり、
かさぶた、を結成してくれるのかな。
なんて、思った。 -
私にしては珍しく一気に読みました。
これまでの原田マハさんの作品のイメージとは違う印象でした。
なんとも辛く、やりきれない気持ちに何度もなったけど、何故か不思議と読み終えた時にしんどさが残るものではなかったです。 -
四つ目の話、夫が事故で危篤、意識不明になった・・手帳から秘密が。意味を探るため高知へ出向く妻。お互い不倫をしておいて、大事なものに気づく。遅いのだけど・・これが一番残っています。どの話も好みな短編です。
ごめんって言われたら、辛いこともあります。そういうことをされた「ごめん」、せつないです。 -
世間的には成功してると言われる、立場の違う4人の女性を主人公にした中編集。
どの主人公も上から目線で、好きになれない。
こんな原田作品も珍しい。
成功していると思われる女性たちが、ある日突然不幸に見舞われ、人生を見直すのが、この作品の描きたかった部分なのだろうが、残念ながら、共感出来る作品は1つもなかった。 -
短編4作品
「天国の蝿」「ごめん」「夏を喪くす」
「最後の晩餐」
最後の晩餐だけは
あまり頭に入ってこなかった
外国人の名前が出てくる作品と
原田マハさんの絵画もの作品は
毛嫌いしてしまっているから
やっぱりまたダメを確認
他3作品はとても
読みやすく
結末が気になって一気読み
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天国の蠅。
遠ざかって白くみえているのは
雪だろうか
いいえ あれは
雪にも花にもなりそこねた
ぽつんと一粒のさみしい希望
消えることも散ることもできず
ただ細々と灯りつづけている
さみしくてもはかなくてもいい
遠くの希望よ
雪にも花にもならず
ただまっすぐに私の胸に来い
心に凍みます。 -
【ごめん→いいよ】言えるかなぁ。詩のような短編集。著者には珍しい作品かも。当たり前ですが作家ですね。男女の絡まりは、いろんな形があるけれど、やっぱり女って、ずるい男でもトコトン好きになってしまったら、どんなダメ男でも愛してしまうんでしょうね。なんだかんだ言っても夫婦なんだなぁ。心苦しくなる話が多いけど人が人を想う気持ちは、場、状況、心境にもよりますが真っ直ぐで真っ直ぐで愛おしい。あなたは、あなたが想う人へキチンと想いを伝えられていますか?伝えられる時を大事に。とても大切なことを忘れないように。はぁ切ない。
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2021年1月9日
本当に多作の人だ。
まだ読んでない本がたくさんある。
含みのある、余韻の残る作品4篇。
でもかなしいかな。私にはその先が読めていない。
不倫だったり、ゲイだったり、男か女か曖昧だったリ初めから混乱していて、展開する場も沖縄や、マンハッタン…
その空気に馴染むのがすごく難しい。
きっと洒落た話なんだろうけど…