日本は財政危機ではない!

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062150309

感想・レビュー・書評

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  • 日本の財政状態は、それほど悪くない、という。
    その根拠として、資産負債差額を挙げる。
    財務省は日本の債務が834兆円と言うが、資産と相殺していけば実質300兆円くらいだという。

  • 爽快。これが日本の財政の実態?!
    本当なら、なんだか勇気がわいてきます。


    〜以下、・本より抜粋、→コメント〜

    ・日本のGDPは、500兆円あまり。アメリカに次ぐ規模。
    政府の資産は、700兆円もあり、純債務は約300兆円だ。
    純債務の対GDP比は、60%。
    決して低いとはいえないが、適切な経済政策を実施し、
    経済成長を促せば、管理できない数字ではない。

    →えぇ!こんなこと、今までだれも言ってなかったゾ。
    日本が大丈夫だって?!
    ちょっと、驚いた一文。


    ・経済成長すると財政再建できない?
    成長率があがると、それに伴い金利も上昇する。
    そのため、利払いがかさんで財政再建が遠のく。
    これが財務省幹部達の論理なのだ。
    財務省では、せいぜい向こう1、2年間という
    短期的な視野でしか経済を考えない。

    →政治よりも官僚主導になっている。


    ・与謝野馨(よさのかおる)『堂々たる政治』
    日本は世界中で最も役人の人数が少ない国のひとつ
    人口1000人あたりの公務員数
    イギリス 97.7人
    フランス 95.8人
    アメリカ 73.9人
    ドイツ 69.6人
    日本 42.2人

    ・日本の資産は、約700兆円
    普通の国の資産は、GDPの1割程度だが、
    それに比べると非常に大きい。
    ※日本のGDP
    2008年 名目 494兆円
    実質 541兆円
    700兆円もの資産を少ない役人で
    カバーしているので、1人当たりの権限と
    活動範囲は他国と比べると飛びぬけて大きい

    →日本の資産って、そんなに多いの?


    ・特別会計の資産と負債
    資産 負債
    財政融資資金 289兆 271兆
    外国為替 119兆 103兆
    厚生保険 142兆 142兆


    ・経済財政政策担当相vs財務相
    その後、小泉首相了解のもと、2005年4月27日
    の経済財政諮問会議において、私がキャッシュフロー
    分析によって算出した特別会計の資産負債差額
    が公表された。これこそ政府の「みえない資産」
    が初めて世の中にあらわになった瞬間だった。
    ・私がいわゆる埋蔵金なるもののありかをつきとめたのは、
    それよりはるか前である。その頃から、
    「特別会計には剰余金がある。これは国民に
    歓迎されるべきだ」
    といい続けてきたが、全然反応がなかった。
    それが、埋蔵金という絶妙なネーミングのおかげで
    一躍脚光を浴び、特別会計の財政に対する世間の
    関心が高まった。

    →あの、埋蔵金の発見経緯が書かれてる!すごい!


    ・道州制で変わる日本の財政

    →やっぱりこれか!

  • 日本が『官僚製』民主主義であることが、よく分かる本。小泉、竹中改革は、格差を広げたと考えているが、その主因は、彼らの政策ではなく、官僚との戦いにうまく勝てなかったことだということが良く分かった。民主党になって、過去のしがらみが無いので現状有利だが、おと読み終わったく大臣の元に収まったこれまでの次官は、これまでの行動から推測するに、スパイよろしく、各大臣の弱点を探り、省益に役立てる脅迫ネタを蓄積しているのであろう。早急に、現在の縦割り官僚体制を撤廃して、省益主義から国益主義に変わってもらわねばならない。国益を得れば、出世して、給料も上がるとなれば、当然閣僚は国益目指して頑張ると思う。今の、省益達成=出世というシステムをなんとかする必要があると思った。

  • 増税をしたい財務官僚によって有利なので、1000兆円の国家債務が強調される。民主党の与謝野元財務相がその急先鋒。 日本のメディアは財務省のお抱えだから、官僚のつくった国家財政の資料をもとに記事を書く。 自民党では日本が財政破綻するという民主党の主張も、国民受けがよかった。 
    自民党、阿部さんの経済アドバイザーはリフレ派だから、このまま経済好調で税収が伸びれば、消費税はちょっと延期になるかも。

  • 多くの人が共通認識として持っている「現在の日本は財政危機に瀕している」という定説を覆すようなタイトルに魅せられてこの本を手に取りました。この本をわかったことは、財政破綻かどうかを判定するためには、一般会計だけではなく特別会計を考慮に入れる必要がある、さらにいわゆる埋蔵金(この数年で30兆円が使われたそうです:p99)も考える必要がある等でした。

    最終的には官僚が溜め込めるような制度を変えるために、道州制を導入することが望ましいとの結論のようです。日本はいままで最低2回は大きな財政破綻を経験しており、お年寄りの方は戦後のハイパーインフレに伴う騒動も記憶があると思いますが、私はありません。

    かすかに私の亡くなった祖母が大切に貯めた郵便貯金(国債)が紙切れ同然になったことを40年ほど前に話してくれたのが記憶に残っている程度です。

    もし政府が次に破産をするときには、どのような形になるのでしょうか、今までのような単純な形にはならないとは思いますが、お金の本来の機能である自分に必要なものを入手するための交換機能を最大限に活用して、自分は何がしたいのを見極めてそれに応じたもの(有形、無形)を手にしたいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・日本のGDP:500兆円、政府資産は700兆円(他国よりも大きい)、純債務は300兆円、純債務の対GDP比:60%は管理できない数字ではない、国家にとっての財政再建は借金を全額返すことではなく、債務である公債残高をGDP比で減らすこと(p32)

    ・増税の根拠とするために、試算期間を長くし、金利を成長率よりも高く設定する、アメリカ・カナダ・イギリスは成長率が金利より高く、国によっても異なる(p47)

    ・財政再建のためには、1)デフレ脱却、2)政府資産圧縮、3)歳出削減、4)制度改革(地方分権のための公務員制度改革等)、5)増税、である(p51)

    ・経済成長により金利上昇は税収増加よりも先行するが、やがて頭打ちになる、経済成長が財政再建となるのは財政学の常識(p57)

    ・特別会計(178兆円)のうち、約80兆円は国債償還や国債利払い費に充てられており、国債整理基金特会を素通りするだけである(p72)

    ・31の特別会計の資産、負債一覧表(p75)

    ・道路公団の資産が学者によれば債務超過になるが、キャッシュフロー分析を用いると、資産超過となる(p79)

    ・2005年時点での特別会計の資産は、財政融資資金特会、外国為替資金特会で40兆円あるのを始め、合計で50兆円を超える(p82)

    ・国際金融の理想は、「固定相場制」「独立した金融政策」「自由な資本移動」であるが、この3用件は同時に成り立たず、2つ以下の条件しか満たせない(p93)

    ・財務省は、埋蔵金から、2006年に20兆円、2007年に10兆円を取り崩した(p99)

    ・霞ヶ関用語では、完全民営化(民有・民営)と、完全に民営化(NTT,JR初期のように、政府が株式所有、経営形態を民営とする特殊会社化)を都合よく使い分ける(p121)

    ・2001年末で厚生年金は552兆円、国民年金は72兆円の欠損額となっており、国債よりもはるかに重大な事態である(p142)

    ・資本主義社会では、経済の牽引車となるのは、起業家のようなおカネを借りる人である(p160)

    ・現在インフレかデフレかを判断する指標は、1)消費者物価指数(CPI),2)労働単価、3)GDPデフレータ(名目GDP÷実質GDP)である(p164)

    ・日銀にとって、金融緩和に効果がある「国債購入:資産を買う」は財務省が助かるのでやらない、これが金融政策を誤らせる(p175)

    ・バブル崩壊の原因とされている「総量規制」は、不動産向け融資の伸び率を、総貸出の伸び率以下に抑えるという内容であり、さほど厳しい通達ではない(p188)

    ・国から地方に落ちるお金は、1)国庫支出金、2)地方交付税(法人税の34%、所得税・酒税の32%、消費税の29.5%、タバコ税の25%)、3)補助金、4)地方債、である(p217)

    ・三位一体の改革とは、国庫支出金を減らず、税源を地方へ移譲、地方交付税を見直す、である(p219)

    ・財務省に逆らって中央省庁改革に取り組んだ橋本改革、公務員制度改革をしようとした安倍内閣は退陣に追い込まれた、中曽根・小泉がうまくいったのは、国鉄・郵政民営化は財務省が反対していないから(p240)

    ・2006年に景気後退が始まったが、そのときに、定率減税廃止・量的緩和を解除(金融引き締め)が起きたことが原因と考えられる(p282)

  • 2012/03/06:読了
    上げ潮派と財政健全派。

    上げ潮派=規制緩和/金融緩和/増税は最後
    財政健全派=消費税増税/バラマキ・公共事業

    何を対立軸にするか。 
    規制緩和(=既得権益破壊)と財政健全の軸にすれば、
    上げ潮派は不利になる。
    どこを軸に説明するかは、官僚がマスコミにレクチャーするので
    政治家は勝てない...

    というのが、自民党・民主党共通の現状

  • 少し読んだ。経済関連の本ってなかなか読書が進まない。

  • 高橋 洋一先生著

  • 財務省は消費税を上げることしか考えていない。財務官僚の思想を暴露。埋蔵金の活用法。筆者は上げ潮派(竹中路線)。

  • 金と情報と権限を握っている財務省の力はものすごいものがある。

    財務省の現役キャリア、そしてOB、過去官僚政治家グループの利権がものすごいのである。

    そして、手玉に取られるマスゴミ。最悪である。

    少々骨っぽい政治家でも歯が立たないグループであることが理解できる作品だ。

    それは、内部事情をよく知り、このままこのシステムを放置すると日本の将来をないと感じる著者だから書ける内容である。

    民主党対自民党という構図ではないのだ。

    真の議院内閣制を目指すグループ対官僚内閣制グループの闘いとしてきちんとえぐりだしていかなければならないのである。

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著者プロフィール

1955年東京都生まれ。数量政策学者。嘉悦大学大学院ビジネス創造研究科教授、株式会社政策工房代表取締役会長。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)などを歴任。小泉内閣・第1次安倍内閣ではブレーンとして活躍。2008年に退官。菅義偉内閣では内閣官房参与を務めた。『さらば財務省!』(講談社)で第17回山本七平賞を受賞。著書はほかに、『正しい「未来予測」のための武器になる数学アタマのつくり方』(マガジンハウス)、『高橋洋一式「デジタル仕事術」』(かや書房)、『国民のための経済と財政の基礎知識』(扶桑社)、『理系思考入門』(PHP研究所)、『国民はこうして騙される』『プーチンショック後の世界と日本』(徳間書店)など多数。YouTube「高橋洋一チャンネル」でも発信中。

「2023年 『日本の常識は、世界の非常識! これで景気回復、安全保障は取り戻せるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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