モダンタイムス (Morning NOVELS)

著者 :
  • 講談社
3.67
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本棚登録 : 8398
感想 : 1068
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  • Amazon.co.jp ・本 (546ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062150736

作品紹介・あらすじ

漫画週刊誌「モーニング」で連載された伊坂作品最長1200枚。

感想・レビュー・書評

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  • R3(2021)4.1-5.1

    伊坂作品最長1200枚(当時)の大作。
    それを年度始めの超忙しい時に読もうとして大失敗。ひと月もかかった。

    なかなか進まない物語だったが、「これは[魔王』の続きだったのか!」と気付かされた辺りから一気に物語が動く。

    誰もが抗えない「社会」という名のシステムの中で生きている。ときには個人の尊厳さえ失われてしまうこともある。そして、そのシステムの歯車として生きていく。
    今、自分が就いている役職を離れても別の誰かがそれを埋め、業務を継続する。結果、組織というシステムは存続する。だからといって淡々と業務をこなすだけで終わりたくない。小さなことでいいから、一つでもいいから、何かをよりよく変え、自分がその役職を務めていた足跡を残したい。
    なんてことを思った。

    あとがきを見たら、「『ゴールデンスランバー』と同時に書いていた」とのこと。表裏一体のような物語だね、これは。

    「伏線が全部回収されてスッキリ」という。「いつもの伊坂作品」とは異なる物語に賛否両論かもしれない。自分は、これはこれで読み応えがあって面白かった。
    ただ一つ。
    妻の佳代子はなぜあんなに強いのか?(いろんな意味で)物語前半の振る舞いはなぜなのか?
    そこは謎のまま終わった。

  • GW後半戦はモダンタイムス(上・下)で楽しみました。ゴッシュに乗り込むまでちょっと長すぎましたが、伊坂さんの独特な書きぶりを堪能できました。上巻を読んだ後、皆さんの感想を読んだら「魔王の続編」と知り、読んでいない・・・とショックを受けたのですが、最後まで違和感なく読めました。播磨崎中学校の事件の真相はものすごい展開で、時々出てくる「逆転の発想」はなるほどなぁと思うところがありました。佳代子の性格は少しヒステリックですが、なんだか可愛らしく好きでした。魔王を読むべきか読まざるべきか、うーん、積読中。

  • ザ・伊坂幸太郎といえる作品のひとつだと思いました。読みやすい、テンポいい、人の掛け合いがクスッと所々笑えるといった感じ。読んでいて先々の展開が気になるような内容になっていて惹き込まれます。非現実的な話しがベースではありながら、随所に国家、政治、歴史、社会、仕事、人と人との繋がり、などなど、考えさせられる要素があってとても読みごたえのある作品だなと感じました。伊坂幸太郎作品どれも基本好きなので、ひいき目かもしれませんが!

  • 初めて読んだ伊坂さんの作品。
    あまりの面白さにミステリーへの概念が変わった。

    長編小説にも関わらず
    テンポの良い会話と
    先が読めない展開に
    終始ワクワクしっぱなしでした。

    登場人物一人一人に
    生き方があって
    強烈な個性があって
    その言葉にメッセージ性があって

    異世界だけど、でも絶対にないとは言えない世界観。


    ここからどっぷり伊坂さんの世界にはまってしまいました。

  • 主人公がある日突然超能力に目覚める「魔王」の続編、「モダンタイムス」。「ゴールデンスランバー」と同時期に書かれたそうで、このふたつは雰囲気もテーマも似てる気がします。国家論とか陰謀とか

    すべての人はなにか大きなシステムの一部であり、機械的に「仕事」をこなしている。自分の仕事がなにを為すのか知らないまま。

    伊坂さんの恐怖の演出の仕方が大好きです。このなんともいえない不気味さ、ホラーとは全く別の恐ろしさの表し方では伊坂さんの右に出る者はいないと思います。プロットのおもしろさ、登場人物の掛け合いなどなど、伊坂ファンが多く存在することには様々な理由があると思いますが、私はこの気持ち悪さとか不気味さもとても好きです。

  • 「実家に忘れてきました。何を?勇気を」
    この書き出しだけで、伊坂ファンの私には堪らない。

    魔王の50年後を舞台にした物語。
    あるキーワードを検索した人物に起きる不可解な事件。
    この謎が読み進めていくうちに明らかになり、もしかしたら私たちの未来もこうなるんじゃないかと思わせる風刺的要素も含まれています。

    相も変わらず登場人物は皆魅力的。
    会話はシュールで、個性的。
    伊坂ワールドを健在させつつ、また新たな一面を発見できた気分です。

    魔王に出てきた詩織さんも主人公・渡辺の奥さんも、
    伊坂さんの描く女性は本当に素敵。憧れます。

  • 伊坂作品の好きな所は作品に込められたメッセージ性があるところ。そこに気がつけば面白いって。

  • ダークな世界観の今作においても、伊坂幸太郎氏独特のユーモアを感じられました。
    “人生は要約できない”、良い言葉だと思います。経歴だけからは読み解けない、自分らしさを大事にしていきたいですね。

  • 旦那のを拝借。

    恐妻に浮気を疑われて刺客ともいうべき男に脅される渡辺。
    その男は言う「勇気はあるか?」
    この奥さん、怖すぎる。そして、やってきた男が怖すぎる。

    渡辺はSEで、とある仕事から逃げた五反田の後任としていくことに。
    そこには他所からの派遣の工藤と、同じ会社から派遣された大石の3人。
    アップデートに伴い、システムを変える(?)ようなお仕事なのですが、どうやら普通のシステムではなさそう?
    そしてなぜ、五反田はこの仕事から逃げたんだ?

    そうしているうちに1か月ほど海外旅行中だった浮気相手(浮気しとったんかいっ!)が旅行を切り上げて帰国したらしい。
    それもどうやら嫁の力で。アブナイ!あの怖い男が彼女の所に行ってしまう?
    っておもいきや、彼女は海外で見つけた男と結婚するという。どういうこと?
    そんなことをしていたら、お仕事のほうでも、なにやら変な部分を見つけてしまうが、
    五反田が去り際に行った事を想い出す「見て見ぬふりも勇気だ」
    しかし、その分からない部分を含めて、発注先にきかないといけない事があるのに、発注先の株式会社ゴッシュと連絡がつかない。
    連絡がとれないとこれ以上の事が出来ないさてどうすべきか・・・

    そしてどうやらこのシステムの不可解な点がわかってきた。
    とある単語と単語を合わせて検索すると、とある出会い系サイトにつながる。
    その単語と単語の関係性も、出会い系サイトとの関係も、まったく分からない。

    いったい、このシステムはなんなんだ?

    そうしているうちに、不用意にその単語を検索した大石にあることが・・・

    なかなかのボリューミーな本でしたが、めちゃくちゃ面白かったです!
    ここにもあるけど、
    私も分からない事があると、すぐに検索しちゃう。
    それが罠だとは考えないよね。
    某国では一定の単語を検索すると、警察的な人がやってくるという都市伝説があるから、この話も一概にファンタジーともいえない。

    あと、このお話が、微妙に近未来なのが不思議だったんですが、
    この話の50年前の話として「魔王」というのがあるんですね。
    そちらは未読(あと、旦那の蔵書にもなさそう)なので、探してみます

  • 2009年(第6回)。10位。
    記録がないだけで多分前に読んでいる。魔王から50年後。浮気を疑う妻佳代子が仕向けた男に拷問されそうになる渡辺。この渡辺くん、安藤くんの血縁なのだ。
    播磨崎中学校事件の真相。用務員だった永嶋丈。犬養は結局政界からいなくなった。
    人生は要約できない。小さなことが大切だ。出汁をとるための肉は最後には味気ない塊となるだけで捨てられる。
    細分化されすぎた仕事は最終系がわからない。
    とりあえずキーワードだけ書いた。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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