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この作品からのみんなの引用
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世の中の底辺にいるつもりで悦に入ってたけど、そんなのまったくの嘘ですよ。簡単な話、日本に戻れば済むことだし、もっと言えば、貧乏な生活するために、航空券を買って来てるんですからね。…俺、急に自分が浅ましく思えたんですよね。…間違いなく自分の国より貧乏な国に来て、金がない金がないって貧乏ぶってる自分がすげぇ浅ましく思えたんですよ
― 56ページ -
日本では五円でも安い卵を買いに、わざわざ遠くのスーパーまで行くような奥さんたちが、商社勤務の旦那の転勤に付き添ってきて、運転手付きの車乗り回して、ホテルみたいな広い家は二人のメイドに任せて、毎日遊び歩いてるじゃないですか。みんなここに来て、本当の自分偽って楽しんでんだから、それでいいじゃないっすか。
― 51ページ -
「ええ、嘘。……嘘って、つくほうが嘘か本当か決めるもんじゃなくて、つかれたほうが決めるんですよ、きっと。もちろん嘘つくほうは、間違いなく嘘ついてんだけど、嘘つかれたほうにも、それが嘘なのか本当なのか、決める権利があるっていうか」
― 85ページ
みんなの感想・レビュー・書評
会社の金を横領している男のバンコク旅行記。息苦しい暑さと刹那。膝から下がガクガクで感覚の無いまま、金を使い、酒を飲み、女を買い。短くサラッと読めるが、麻痺する感覚がうつり、何かを考えるのが面倒になる。
う~ん、うまいなあ、やっぱり。
相変わらず余計な描写は少ないのに、人物の心の動きが手に取るように伝わってくる。
舞台がバンコクだからじっとりと蒸し暑いはずなのだが(現にそう書いてもある)、著者の文章はいつものごとく乾いた感じだ。
この吉田氏の書く文章のテンポがすごく好き。
いみじくも、つい先日友人のRが言っていたこと(タイに駐在で来て、日本で一般庶民だった人が、当たり前のように、豪邸に住み、安い賃金で働くタイ人のメイドさんを顎で使ったり不遜な態度をとったりするのを見ると、本当に不快になる)と全く同じことを、タイ在住の津田が言ったのですっと背筋が寒くなった。
自分も含め友人にも海外駐在経験者が多く、冷や水を浴びせられたような、一瞬はっと我にかえったような気分。
そう、身の丈を知るってことは、いつどこにいても人として重要なことのひとつだよね。
うん、短くて単純でサクサク読めて、サラリーマンならちょっとゾッとする内容ではないでしょうか?主人公はささやかな金額から、些細な気持ちから、どんどん、どんどんと深みにハマって後戻りできない状態になる。そうなると、読み手側もなんだか、心理的に追い込まれてしまうんですよねぇ。ラストは皆さんご自由に、って感じでしたので少しモヤモヤな気持ちです、はい。
吉田修一のファンであるということで新刊が出るたびに読んでいます。 【元 職員】 というタイトルから、何かが臭います。 「職員」ではなく【元職員】。 なぜ“元”なのか、そこに臭ってくるのはずばり負のものです。 冒頭からファーストクラスでバンコクに向かうところからお金の臭いがします。 そして、主人公がタイ・バンコクでの旅行記の中に、もう一つのストーリーが現... 続きを読む »
なんてことのない話だった。何も残らない。
内容は横領をしてタイで豪遊している団体職員(公務員)が
タイで買った女との交流を通して自分の妻のことを
思い出したり、横領にいたるまでの経緯を思い出したり
する話。
実際に横領にいたるまではこういう経緯だろうなぁって
わかりきったことが書いてあるだけ。もっと深い話かと
思ったからがっかりだった。まぁ、横領をする人が人間的に
深いはずもないから、結局そういう人を書こうとすると
こうなってしまうのかな。ページをめくる手を違う意味で
(面白くないから早く読み終わりたい)早めた作品だった。
期待せずに読んだけど、なかなかよかった。
この人の話て淡々としてるイメージだけど、
今回は
真実を押し殺し豪遊している主人公のテンションとうまくシンクロしていた。
本人は勝手にだめになったから自業自得なんだけど、妻が気になる。
口に出すと共犯になるから、不安定で贅沢な平和を守るために気づかないふりをしてたのかな。
でも恋愛結婚だった筈なのに虚しいね。
そして武志が不毛な恋愛(?)に走るのは何から逃げるためなんだろう。
スピンオフ書いてほしいな。
素直に怖いと思った。
誰でもちょっとした事から思いがけない危険な状況に陥る可能性はあるんじゃないかなぁと思った作品。
海外に行った時の人間の反応は2種類だ。自分を見つめ直すか?自分を見失うか?異国・異文化という環境で善と悪で揺らぎながらも自分をダマシながらお互いがお互いを見下す人間の性が見事に表現されており、これが人間の本質なのかな?と思うと、軽い憂鬱に襲われる。それにしても吉田修一ってなんでこんなにイタイ人間の描写が上手いんだろうなあ。この人はどこまで人間をクズに描けるんだろう。道尾秀介の読みすぎなのかストーリーにイガイ性を感じなかったのが難点か。
手元で管理する通帳の中の、514円のオーバー金。 ささいなその金額に引き寄せられた、大きな罪。 バンコクのうだるような暑さと、ミントという言葉の通じない女性とのやりとりの中では忘れられた現実も、ふとした隙に目の前に現れるようになり・・・というストーリー。 描き下ろしの作品とのことですが、バンコクの暮らしぶりが結構な割合で描かれていたので、観光を一緒に楽しめたような感覚をもてたのでそ... 続きを読む »
栃木県の公社職員・片桐は、タイのバンコクを訪れる。
そこで武志という若い男に出会い、ミントと名乗る美しい娼婦を紹介される。
見知らぬ土地、二度と会うことのない人々。言葉だって満足に通じない。
そんな人達にだから話せることもある。
この語りの部分が今回の肝だ。社会人の狂気がビンビン伝わってくる。
バンコクの雰囲気もすごくでてる。
でももう一捻り欲しかったかな。
いつも吉田さんが短編でやっていることを、長編でやっている感じ。
少し物足りないかな。

内容(「BOOK」データベースより)
栃木県の公社職員・片桐は、タイのバンコクを訪れる。そこで武志という若い男に出会い、ミントと名乗る美しい娼婦を紹介される。ある秘密を抱えた男がバンコクの夜に見たも...






