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この作品に関連する談話室の質問
この作品からのみんなの引用
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そんなことでのしかかる後悔が振り払えるとは思わなかったが、次は自分以外の誰かのこともわかることができるようにとツガワは強く願った。自分がナガトと話をするのを楽しみにしていたように、自分も誰かの気休めになることができればいいと思った。
― 185ページ -
もし何かの僥倖があって今の仕事をやめることができても、ツガワはすぐに再就職するつもりでいた。生活のためである以上に、今の職場でのことを挽回して、自分がちゃんと働けるということを自分に対して証明したいと思っていた。
― 160ページ -
働く自分自身にではなく、自分を契約社員として雇っている会社にでもなく、生きていること自体に吐き気がしてくる。時間を売って得た金で、食べ物や電気やガスなどのエネルギーを細々と買い、なんとか生き長らえているという自分の生の頼りなさに。それを続けなければいけないということに。
― 12ページ
みんなの感想・レビュー・書評
淡々とした文章だったけど終始息苦しかった。
昨日の夜eテレで女性の貧困問題が取り上げられていて両方に相乗効果があってリアリティーがあった。
読んでよかった。2作品とも違和感のないまま読み終えることができた。なかなか言葉で表せませんが、私にとってはすばらしく相性のよい小説なのだと思います。なぜか幸田文の『流れる』を思い出してしまいました。
生きていくというのは理不尽と不条理がいっぱいで、でもそれをやりすごしながら、やっぱり生きていくのだ。そして、それでもいいのだと、そういう勇気をくれる作品だと思いました。
前回読んだ時は、たぶん正視できなかったんだと思う。痛すぎて。表題作じゃない方の「十二月の窓辺」なんて、自分の現状を被害妄想で盛って書けばこうなる、って内容だから、忘れられるはずないのに、ほぼ記憶に残ってなかった。
社会の、どの部分の人を切り取るかって、自分の経験によるんだと思うけど、だとしたら津村さんはこういう時間も過ごされたってことなんだろうか…。その上でこれだけの表現力なら、ほんと、会社なんてくそくらえと思っちゃう。
作者とだいたい同年代。自分も似た経験をしており、自分はそれを遠くへ押しやろうとして来たけど、この作者はそれを凝視して深く掘り下げている。作家というものはやはり偉大なものだなと思った。
面白くて一気に読んだ。転職の多い人生なので
色々な職場にいた色々な人たちの事を思い出し
少し苦しくなった。
いじめでよく、時がたてば(卒業等)必ず状況が変わるから
その世界を全てと思い込むなというけれど
職場だとどうしても社会そのものと思ったり
次の場所も同じで、自分を変えなければと
言われるが、振り返ってみるとやっぱり
オカシイ会社ばかりで、その職場が
世界の縮図ではないということを
何度目かの転職で、今休職中の身ながら
確信した。
働くということについて改めてよく考えようと思う。
注目作ということで、手に取ってみました。
2編収録されていたのですが、感想としては「地味な話」って感じです。
芥川賞をとった「ポトスライムの舟」は、フリーアルバイター・シングルマザー・女性の独立など、それぞれ立ち場の違う女性の悩みを通して、人生に対する閉塞感を表した作品。
リアルな感じはするけど、話が地味なので盛り上がりに欠ける。
ただ、退屈ってわけではないです。
人物も描けているし、女性同士の会話の中に存在する「悪意」みたいなのも巧いとは思います。
ただ、ラストの思わせぶりな一文「また会おう」はちょっと伝わりにくいかな。
もうひとつの収録作品「十二月の窓辺」は、メインキャラクターである主人公とV課長の関係性が説明不足な気がします。
ラストの衝撃の展開(?)も説明不足。
なんだかよくわからない、ぼんやりした作品。
この作品載せる意味あったのかな?
派遣社員の女性が
職場で見たポスターにあった
世界一周旅行の旅費が
彼女の年収と同じだったことから
旅行に行くことを目指していく。
彼女には派遣先だけでなく、
パソコン教室他があり、
将来に対する不安や、焦燥感など
読んでいる間、気分が晴れなかった。
つまり、そういう気分に引き込んだ文章力が
受賞につながった?
でも、読み返したいとは思わない本。
主人公は派遣労働者の女の子。世界一周クルージングのポスターを見てそこに書かれている必要な金額と自分の年収が同じであることから貯金を思い立つ。しかし大学時代の友人が主人公の家にお世話になることになったりしてなかなか思うようには進まず・・・。 物語は静かに進んでいく印象です。事件などは起こりません。日常生活という枠からはみ出ない変化で構成されます。こう書いていて思ったのですがこの作者は日常生活で... 続きを読む »
面白かった。読み終わって、心にじーんとくるものかありました。
あたしは、勇気づけられた本でした。
後の「アレグリアとは仕事できない」と似たような設定の、「十二月の窓辺」がよかった。もう若い子とは言われなくなったOLが職場の理不尽な上司に耐えて耐えての物語。みんなこんな辛い仕事に耐えてがんばってるんだな、と自分の環境など楽チンだと反省しました。
「ポトスライムの舟」はもう少し穏やかな話です。ラインで働く主人公と気さくな上司の話。工場に貼ってある世界クルージング旅行のポスターを見つめ、代金が自分の一年分の給料とほぼ同額だと気づいて、倹約するのですが、さまざなな出費が彼女を邪魔します。
けなげな主人公を応援したくなる、優しい物語です。
ほとんど展開のないストーリーなのですが、職場の雰囲気を醸し出すのが天才的にうまい津村さんです。もっともっといろんな職業のことを書いてもらいたいです。
2009年、第140回芥川賞受賞作。
結婚も選べず、仕事にもやりがいを見出せない、現代日本に生きる女性の閉塞感を描いたお話。
手取り13万円台の賃金で、工場の契約社員として働きながら複数のバイトを掛け持ちして暮らすナガセ(『ポトスライムの舟』)と、女上司と上手くいかず、職場で孤立して苦しむツガワ(『十二月の窓』)。
それぞれを取り巻く環境と先の希望の無さが他人事と思えず、感情移入し過ぎて、一回目に読んだ後は相当凹んだ。女性によくある独特の思考の文脈がそのまま表現された文章で、とても入り込みやすかったのも一因かと。
話としてはさりげないリアルさでもって良く出来ているけど、終始漂うやるせない空気…あまり読み返したくない。
初めて津村さんを読んだけど好きだった。よかった。後ろ向きで暗いときもあるけど毎日生きていけばいつのまにか周りに救われたり。主人公のなんとか食いつなぐような働き方がほんと現実っぽい。
割と好きな作家さんなのに、
その人が賞を取った作品を今まで読んでなかったというあまのじゃく。
ようやく読みました。
他の本も読んでるからそう思うんだろうけど、
津村さんはほんと、労働している、なんでもない人を書くよね。
そこらへんに歩いている人。
もしかしたら、それは私かも知れないっていう人。
2編ともそれが共通してて、
なんか身につまされるような感じ。
働いている私たちは、これを読んで自分を考えるんだろうな。
男性ですが、けっこう楽しめました。
主人公が派遣社員だからか、どうしても「格差社会」とか「プロレタリア」という視点で語られてしまうことが多いようですが、この作品の主題は「仕事がすべてという強迫観念からの解放」なのではないかと思いました。
収録作は2編とも、「お金を貯めなくては…」とか「つらい思いをしても仕事は続けなければ…」という主人公の凝り固まった感情が、周囲の人間とのふとした交流をきっかけに融解していくというお話です。
自分のことは自分が一番良く知っているようでいて、実は本当に自分を素直に見つめるためには、周りの人間に鏡になってもらう必要もあるのかな、そんなことを考えさせられた1冊でした。
2008年にこの作品で芥川賞を受賞した時の津村記久子さんが、何故か印象深い。巷でイメージされる大阪の女性とは異なる、おとなしくどちらかというと地味な女性と感じた。
中篇2作とも津村さんを思わせる女性が主人公で、その存在感がとても身近である。世界一周が目標のナガセと、パワハラに悩むツガワ。今すれ違った街を歩く女性が、この二人のような気がする。

”働く自分自身にではなく、自分を契約社員として雇っている会社にでもなく、生きていること自体に吐き気がしてくる。時間を売って得た金で、食べ物や電気やガスなどのエネルギーを細々と買い、なんとか生き長らえて...






