風の中のマリア

著者 :
  • 講談社
3.60
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本棚登録 : 1116
感想 : 263
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062153645

作品紹介・あらすじ

「女だけの帝国」が誇る最強のハンター。その名はマリア。彼女の身体はそのすべてが戦いのために作られた。堅固な鎧をまとい、疾風のように飛ぶ。無尽蔵のスタミナを誇り、鋭い牙であらゆる虫を噛み砕く。恋もせず、母となる喜びにも背を向け、妹たちのためにひたすら狩りを続ける自然界最強のハタラキバチ。切ないまでに短く激しい命が尽きるとき、マリアはなにを見るのか。

感想・レビュー・書評

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  • 先日放映された、《世界一受けたい授業》百田さんの解説で有った、蜂の生態・生涯のファンタジー物語。オオスズメバチの働き蜂(戦士)として生まれたマリアの過酷な生涯30日の宿命を描く。女王蜂を頂点とする女戦士達で築かれるオオスズメバチの帝国、自然の中、前年の秋、羽化し越冬受精した一匹の女王蜂が設営した巣で、次から次へと生まれて育つ幼い妹たちと「偉大なる母」のため、恋もせず、子も産まず、命を燃やして戦い続け餌を求め運ぶ…。オスバチは秋に次世代の帝国を築くためにだけに生まれ同期のライバルと闘う、厳しい世界。

    自然の生態が良く描かれて、小学生に読ませたい本です。越冬した一匹の女王蜂から築かれる姉妹達の、春から秋の帝国。外敵から巣を防衛する手段としての攻撃性が、害虫として認識され恐れられていますが、短い生涯を精一杯生きているのですね。日本ミツバチの天敵のスズメ蜂に対して行う効果的な防衛法と、スズメ蜂に無謀な戦いを挑み殲滅されるセイヨウミツバチが日本ミツバチを巣毎全滅させる実態には驚きました。

  • 2.8
    スズメバチの話だとは知らずに読み始めました。
    感情移入出来ず、あまり楽しめなかった。

  • まさか、オオスズメバチの生態にこんなに魅了されるとは。
    通勤時間の1時間あれば読み切れてしまう本。
    テンポよく紡がれる文章には、学術論文を元にしたオオスズメバチの生態が事細かに描かれている。

    恋はせず、帝国の為に働く戦士、自分の存在意義を問うても自分の役割は代えられない。
    30日の一生がこんなに壮絶で涙をさそうとは思ってもみなかった。
    種の保存に忠実に動く彼女らの物語、一読の価値ありである。

  • 子を残さず、人生のすべてを女王蜂とその巣の為に費やす、メスバチのマリアが自分の人生の意義について考えるお話。

    この問題はかのダーウィンをして「社会性昆虫の不妊のメスの問題は、はじめ私にはとても克服出来ない問題で、実際わたしの全学説にとって致命的と思われた」と言わしめるほどの難問だったようです。

    この難問は「2人の兄弟か8人のイトコの為なら、私はいつでも命を投げ出す用意がある!」との名言でお馴染みのJ・B・S・ホールデンが糸口を見つけ、W・D・ハミルトンが血縁淘汰の概念を作り上げることにより答えを導き出しました。
    この概念は、それまで自然選択の対象となるのは個体であると考えられてきたのに対して、それが実質的には遺伝子であると考えたことであります。
    これはR・ドーキンスの『DNA原理主義』の礎と言えます。
    常人には到底辿り着けない発想です。超人的天才か変態的奇人としか言えません。

    そういえば昨今、ハチが激減しているそうですが、アイシュタインは下記のような発言を残しているそうです。
    If the bee disappears from the surface of the earth, man would have no more than four years to live. No more bees, no more pollination, no more plants, no more man.

    こわーい。

  • うーん
    蜂の話
    すぐ肉団子

  • 蜂の世界を人間の世界と重ねて読んでみた。生きる目的って、それぞれだからこそ面白い。 死ぬまで突っ走るのがかっこいいな。蜂の生態の勉強にもなった。セイヨウミツバチ・ニホンミツバチ・オオスズメバチの関係が興味深い。

  • う~ん・・
    本書籍はなんと言えば良いのだろう・・ヽ(^o^)丿?
     
    どんなジャンルで・・?
    百田さんは何を伝えたいのだろう・・。
     
    ただ・・
    本屋大賞受賞時に『直木賞や芥川賞よりうれしい!』て言ってた・・彼の感性は・・なんか好きです⌒(^O^)⌒♪
     
    聖夜の贈り物に続く百田さん二冊目・・
    いよいよ次は『海賊と呼ばれた男』読破ですよ~(^ム^)(^ム^)(^ム^)
     

  • まさか蜂が主人公とは思わなかった.1ヶ月しか生きられない中で自分の仕事にまっとうするのがあっとうてき。食物連鎖やゲノムで決められた運命、すごい!!2013年10月5日

  • 以前、途中まで読んで「うぇ〜、気持ち悪い…」と
    断念していたのですが、再チャレンジ。
    ハチの生態、とても勉強になりました。
    ハチの一生ってたった30日程度。短いのね、
    儚く過酷な一生で自然界は厳しいなぁ。
    確かにグロい表現もあったけど、読んでよかった…。

    今までたまに家の中に入ってきてしまう虫たちを、
    気持ち悪いからって不快な顔で追い出したりしてゴメン。
    (・・・気持ち悪くて殺せない)
    これからはもうちょっと大らかな心で「短い一生なんだから
    こんなところ(人間の家の中とかに迷い込んだりして)で
    無駄にしないで人生謳歌するんだよ〜」と追い出すことに
    します。さすがにハチは怖いけど…。

  • 変わった小説。

    オオスズメバチを擬人化し、その生涯を物語にした本です。

    強いて言うなら、少し真面目な「みなしごハッチ」という感じかな。(ちょっと古いか)

    正直、ストーリーに感動や興奮はありません。

    ただ蜂の生態系が、物語の中でやさしく勉強出来て面白かったです。

    「永遠の0」の感動を期待してる人は、やめた方がいいかな。

    蜂の雑学を知りたい人にオススメ。

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著者プロフィール



「2022年 『橋下徹の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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