ヤイトスエッド

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 70
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062153737

作品紹介・あらすじ

罪深き女、偽りの愛にお灸を据える、黒マントの怪人。かたくななまでに変な女たちを描いた短編集。

感想・レビュー・書評

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  • へんな趣向持った女性がいっぱい出てきます。
    吉村萬壱は、『バーストゾーン』とか『クチュクチュバーン』みたいな社会派っぽいのよりも、これとか『独居45』みたいな、いろんな性癖もった変態さんの話のがリアルに感じて面白い。(?)
    でもやっぱり、何か食べよるときに読むもんじゃなかった。

  • 極端な嗜好(性欲など)を持った人たちの話の短編集。性欲、というより肉欲のほうがしっくりくるかな。もしくは劣情。どの話も、とにかく目が離せないほどの下品さと奥深い闇で混沌していた。
    最初に載っていた『イナセ一戸建て』を長編にして、『独居45』にしたんだと思う。同じ作家さんの本を続けて読むと、こういう発見があるから面白い。

    『不浄道』について
    潔癖症な母親に育てられた娘も超潔癖に育ったが、不倫相手だった上司に自分の弁当のそばでくしゃみをしされて、痰をご飯の上に乗っけられてしまうが、それを食べ、潔癖症を捨てる場面。この描写は多分ずっと忘れられないと思う。汚すぎたし、さらにウンチを食べる場面に繋がっていくからもうなんとも言えない気持ちになってしまった。

    下品で汚いものほど、目で追ってしまうなあ。汚すぎて圧倒された。すごい破壊力だった。

  • 初期?なのかな。芥川賞とかとる前なのだろう作家視点が多く、それでも変態を早くも前面に押し出してくる。読書感が独特でこの後に最近百乱している「サイコパス風えぐいフィクション」を読んでもどれもライトに感じてしまう、という副作用があり、結果このジャンルは吉村萬壱を読み続けねばならなくわけだ。

  • 帯によれば「頑なまでに変な女たちを描いた短編集」とのこと。

    馬鹿馬鹿しい姿が描かれているが、その姿はあまりに自分の姿と似ている。

    潔癖やその反動としての不浄への傾倒。
    何かに固執すること。

    生きることはそんな、よく考えると、無意味な拘りでしかないんじゃないか、と気付かせる小説。

    気づいたからって、どうなるもんでもないのだけれど。

  • 6つの短編からなる作品。
    どれも、過激でとらえどころがない。でも、引き込まれる。
    特に、女性が主人公の「B-39Ⅱ」と「ヤイトスエッド」「不浄道」が突き抜けている。

    一見理解不能に思われる3人の女たちの行動はあまりに極端なのだけれど、そこには彼女らなりの道理があって、読むにつれて何だか理解できるような気がして、自分もおかしいのかな・・・と心配になったり。。だけど、
    少なくとも私は、「オムライスに髪の毛が入っていただけで『私たちが安心して食べられる物っていったい何なの!』と怒声を浴びせる女」よりも佐惠に同調できるような気がする。

  • 吉村萬壱の短編小説6編収録。2003年にハリガネムシで芥川賞を受賞した3年後に発表された「イナセ一戸建て」から2009年発表の「不浄道」まで、主に「群像」に掲載された作品を収録している。
     田舎の町工場で繰り広げられる卑しい男女関係を描いた「B39」と、男性の視点から語られたB39に対して同じ出来事を女性側の視点から語った「B39-Ⅱ」、そして衛生的な生活を是とする現代人の生活は強迫症的であるとして、不浄の道を突き進む女性を描いた「不浄道」、これら3点の作品は特に印象深い。

    どの作品も極端な生き方をする極端な人間が描かれている。
    誰の心にもある卑しい部分を摘出して、拡大鏡で観察しているかのような気持ちになる。
    これらの作品を読む事によってどんなプラスがあるのかと問われれば、「不浄道」の一節を引用したい。不潔な生き方を貫く主人公の同僚にこんな変化があったと作品中描かれている。「嘘っぽい話ですが、寝坊して朝のシャンプーが出来ないからとか、化粧の乗りが悪いからという下らない理由で遅刻や欠勤をしていた女性社員達が、私の存在を思い出すことによって、少しくらい無様でも堂々と定時出勤するようになったという話も聞きました」
    不潔な主人公によって、同僚の清潔のレベルは引き下げられたように、極端に卑しい登場人物によって、わたしの道徳的許容度の境界は押し広げられて、よりひとを寛大な目でみられるようになったような気がする。

  • これ書こうと思ったけど、内容が思い出せない…
    今日読んだのに…アルツ…

    短編。何か変な人たちの奇妙なお話だったような。
    オチ!というオチがなかったけど、まあ嫌いじゃないです。

    虎ってあの虎?とかだから一体なんだったのあの娘はとか老人か青年か結局どっちだったんだろうとか、ぼや~っとした疑問が残るけど別にまあ無理に知らなくてもよいという、そんなお話たち。

  • 「不浄道」が傑作すぎた。

  • 群像2009年6月号書評より

  • 昔オカンがしょっちゅう「ヤイトしたろかっ!」て叫んでたのを思い出した。


    これ書いた人童貞?

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著者プロフィール

1961年愛媛県生まれ、大阪府育ち。1997年、「国営巨大浴場の午後」で京都大学新聞社新人文学賞受賞。2001年、『クチュクチュバーン』で文學界新人賞受賞。2003年、『ハリガネムシ』で芥川賞受賞。2016年、『臣女』で島清恋愛文学賞受賞。 最新作に『出来事』(鳥影社)。

「2020年 『ひび割れた日常』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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