私とは何か さて死んだのは誰なのか

著者 :
制作 : NPO法人わたくし、つまりNobody 
  • 講談社
4.14
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本棚登録 : 307
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062154192

作品紹介・あらすじ

●刊行の趣旨
ベストセラーとなった『14歳のための哲学』をはじめ、専門用語や権威によらず自らの言葉で「考える」ことの大切さを説き、世代を超えた愛読者を持つ池田晶子氏。
本書は、池田氏の著作権者であるNPO法人「わたくし、つまりNobody」の編集協力により、残された貴重な未発表・未収録作品を集めた「最後の新刊」となるエッセイ集です。
最初期から晩年までの作品を通して、池田氏の哲学の出発点であり、哲学にとって永遠のテーマである「私が存在するとはどういうことか」「考えるとはどういうことか」を伝える本書は、ファンのみならず初心者の方にも読みやすい一冊となります。

●主な内容
池田晶子氏が残した単行本未収録の講演原稿、産経新聞連載コラム「はてなの深度」ほか新聞および雑誌掲載エッセイ、池田氏の哲学の原点を記す幻の初期名編「わたくし、つまりNobody」、小学生のときに書いた短編小説「空を飛べたら」までを収録。池田晶子氏の「原点」にして哲学の原点を伝える、「最後の新刊本」。

感想・レビュー・書評

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  • 哲学と、自分と、生きることと、これだけ真正面から向き合い続けた人を私は知らない。残念ながら彼女が存命のうちに本書に出会うことはなかったけれど、こうして彼女が辿ってきた道を文章として読めることがとてもありがたい。他の本もとても良いのですが、この本もとても良いです。特に特別付録として最後に収録されている短編。この頃から変わることなく、考え続けていたのですね。きっと今も見えない場所で、人知れず思索に耽っているのでしょう。何を考えているのか、今の彼女についても知りたいものです。

  • 2007年2月に亡くなった文筆家・池田晶子の「最後の新刊」です。残された未発表原稿と書籍未収録原稿を3つのテーマに集成し、それぞれが刊行されました。中でも「私」とは何かについて考えられているこの本は、池田晶子の思索の原点とも言える、シンプルで果てしない謎に満ちていました。「私とは何か」と問うところの主体は何なのか。そもそも哲学とは何なのか。「哲学は『お勉強』になった刹那に、哲学でなくなると言っていい」という池田晶子の言葉を受け、「考える」ということ、「学ぶ」ということに関して、少しだけ見方が変わりました。付録として収録されている「空を飛べたら」という物語が、特に心に響きました。

  • この著者が「徹底的に考える」ことをひたすら求めるという姿勢の中で、「ソフィーの世界」のように「哲学」を分かり易く説明するということが如何に無意味であるかという説明は非常に納得がいく話である。このような著者が大のイヌ好きで、「イヌの嫌いな人は嫌い」ということを力説するところに、非常に人間味を感じた。自分は日本に生まれたが日本人ではない!との論理も頷けた。子どもの頃から作文が好きだっという著者の小学校6年の時の短編作品「空を飛べたら」が最後に掲載されている。素晴らしい子ども向けの童話だ!びっくり!この時からこの人の美しい文章と深く考える姿勢が顕われている。

  • 池田さんの生前の寄稿を集めて再編集したもの。池田さんらしく、「私」にこだわった内容になっている。
    国家でなく、日本人でなく、社会でなく、自分はどうなのか、周りに流されずに考えて続けていけるか?今一度、自分の心に問いかけてみた。

  • 正面から哲学していたところが好印象。
    人の言ったことを引用、解説だけして終わりというのではなくて、自分で色々なことをきちんと考え抜いた人なのだと思う。

    ただ、彼女の思ったより過激な一面を知って驚いた。
    犬にまつわる話の中で、犬猿の仲のボルゾイ婦人がリトリバーに襲われたというくだり。
    大怪我になってた可能性だってあったろう。
    (実際に現場を見ていないのでここら辺は不確か。そんな危険性は全くなかったのかもしれないが)
    いくら嫌いな相手でもねえ・・。
    まあ、自分の気持ちに正直であったことは確か。
    ただそうなると、別の個所で、「他人をいじめることは自分をいじめること・・」と書いていた事と矛盾しないだろうか?

  • この本だかどうだかはわからないが、酒鬼薔薇事件のことをこの人が書いていたのを読んだことがある。昔は鬼子のような子供は人知れず村のなかで隠されて殺されていた。それは人ではなく鬼だから。酒鬼薔薇はたまに産まれてくる鬼子のようなものなのだから、更生させようとか真人間にしようとかそういうことは全て無駄だと書かれていたと思う。

  • 分かりやすい、読みやすい、おもしろい。もっと考えたい。

  • いままで出された作品を再編集した本ですが読み応えがありました。とくに最後の方の「犬について」の3編は笑えます。あと、一番最後にある作者が6年生のときに作成した短編は天才的でした。

  • この本の付録として付いている、著者が小学校6年生の時に書いた創作童話の完成度の高さに驚いた。
    それとともに著者のいうところの『言葉』の重さに改めて気がつく。
    小学生でもあれだけの文才を持っているにもかかわらず。
    思索の果てに絶句するという著者の『考える』の深度に感嘆する。

  • 若くして亡くなった著者の最後の言葉は「さて死んだのは誰なのか」。
    なんと格好良い人なのかと思った。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。文筆家。専門用語による「哲学」ではなく、考えるとはどういうことかを日常の言葉で語る「哲学エッセイ」を確立して多くの読者を得る。とくに若い人々に、本質を考えることの切実さと面白さ、存在の謎としての生死の大切さを語り続けた。著書多数。2007年2月23日没。

「2022年 『言葉を生きる 考えるってどういうこと?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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