- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062155205
作品紹介・あらすじ
ついにシリーズ完結! 三つの国が、それぞれの思惑を秘めて動き出す。個性あふれる三人の王子・王女と、ソニンの運命は? 小学上級から
感想・レビュー・書評
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意外に早くきてしまったシリーズ完結。魅力的なシリーズを一気読みできるのは、贅沢の一つだと思います。楽しかったです。
これからの若い指導者たちが、必死にひたむきに己の目指すところを目指し、やりとげたことが何より嬉しい。
イェラは勇ましく切れるように、クワンは己の在り方にある程度の決着をつけて晴れ晴れと、イウォルは困難な時を前にしても静かに穏やかな笑顔を忘れぬ揺るがぬ器を得て。三者三様の魅力と成長が良かった。彼らが国を治める時代をぜひ読みたいと思いました。
ロマンス好きーとしては残念な部分もありますが、ソニンとイウォルの間に流れる雰囲気は充分ニヤニヤでした。特に戦に旅立つ前のアレはね! イウォルが可愛かったし素敵だったです!
その後の、ソニンが手を失うかもしれないという場面が、また萌えました。それでも、その危険を行うことを許したイウォルとソニンの信頼関係とか! その危険さを止めようとして怒ったクワンが、また萌える。なにそれ。今巻の一番格好いいと思ったセリフは、実はクワンの「俺が行こう。それが一番早い」だったりします。
それにしても、イェラにも言えることですが、二人とも、イウォルにとってのソニンの手の存在の大きさを知っているのではないかという場面が、何気なく描かれていたと思います。
いや、特にソニンの力を知らなくても、手というものはそういうものなのかもしれません。人と手を繋いで温かさを共有し、言葉ではない何かで伝えあえることの幸福。ソニンの手を思わずとってしまいたくなるような彼女の在り方、それに手を伸ばせずにはいられなかった二人の孤独さが描かれていたと思います。思わぬところで。
児童文学なんですけれども、大人が読んでも深読みできる奥深さがとても好きです。おまけに萌えてしまって仕方がないです 笑
でも、本当に印象深いセリフが多い作品だったと思います。
毎回ちゃんと入れてくれるミンとソニンの会話が、実は一番の宝物のような気がします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦を起こすのは偉い、年寄り達で、
戦場に借り出されるのは弱い若者達ばかり。
どこか今の世を映す鏡のように、
でもその泥の中に咲く蓮のように。
大好きなシリーズ。
孤独の中で、一人で立ち、凍土を耕していくであろうイェラが好き。
『厚い雲と北風に、瞳は曇り、唇は凍る。
涙も言葉も、生まれる前に、氷となって砕け散る』 -
この本を通して、実際の社会の成り立ちや人との関わり方、生き方をまなんだように思います。中学生に広くすすめたいと思います。
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お気に入りのシリーズ、これで完結です。
もったいなくて~読むのを延ばしていました。
この後に番外編も出ています。
巨山(コザン)、沙維(サイ)、江南(カンナム)という三つの国が並び立つ、古代朝鮮半島を思わせる異世界。
沙維に生まれたソニンは、赤子の時に才を見込まれて天山に迎えられましたが、巫女としては落ちこぼれ、12歳の時に実家に帰されます。
末の王子イウォルと出会って侍女となり、宮廷に上がりました。
これまでのあらすじは、「はじめに」に書いてあります。
沙維には7人も王子がいて、末のイウォルは影の薄い存在。
江南の第二王子クワンに心酔して江南に留学、ソニンも同行しました。
クワンは大胆な性格で庶民に人気がありましたが、イウォルを呼んだのはソニンを個人的に利用しようという意図があってのこと。
それでも、イウォルは手紙のやりとりを続けます。
巨山は野心的な王に支配されていて、侵出の機会を狙っています。
江南と組んで沙維を征服しようという意図のもとに、江南と条約を結ぶ運びに。
巨山のイェラ王女は、一人娘で気丈ですが、父王に面と向かっては逆らえない。
ソニンが最初に会ったときには、孤独で傲慢なおてんば娘でした。
江南を訪問したときにも美しくなっていましたが、この作品では沙維を訪問。
さらに華やかになっていて、沙維で人気を集めます。
ところが巨山の王は、翌年、やはり兵を進めてきます…
イェラ王女は帰国間際にそれを予言するような発言をソニンにしていて、その真意は?
ソニンの誠意が出会った人に通じて、それぞれの良さが、きらっと輝きます。
かって陰謀をたくらんだレンヒが書き残した手帳を葬るために、天山へ行くことを願い出るソニン。
もとは巫女だったレンヒが悪用した知識を持ったままでいることが辛くなったのです。
巫女たちは、才能はなくとも素直に育ったソニンに再会し、対照的なレンヒを思い出して、その意味を語り合うのでした。
こんな少年少女達が、三国の争いの要になることは、現実には少ないでしょう。
作品のなかでも立場や出来ることに制約はありますが、国の内外の争いを自分のこととして受け止め、出来ることを精いっぱい模索する。
大きなうねりの中で、人の心が通い合い、苦しみの後にその先へ行く道が見えてくる。
そんな希望を感じられる作品です。 -
★あらすじ
大陸からつきでた半島には、沙維、巨山、江南という3つの国が並び立っている。
その中の沙羅の国で、天山で巫女になるべく、乳児のころから修行を続けてきたソニンだったが、ついに夢見の力をコントロールすることができるようにならず、12歳の時に「見込み違い」として、山を下ろされた。
家族のもとにもどり、普通の農家の娘としての生活を始めたソニン。
ミンという親友もでき、下界暮らしにも慣れてきた頃、ひょんなことから沙維の国の末王子、イウォルの元で働くことになる。
★感想
ソニンは↑のように、生まれてすぐから超ストイックな生活と育てられ方をしていたため、欲はないし、裏表もない、超素直でまっすぐな娘なわけです。
そんな彼女の影響で、気むずかしいイウォルをはじめ、隣国の王子や王女も変化していきます。
ソニンがつないだ彼らの交流は、緊張状態にある三国の関係をどう変えていくのか……という、冒険ファンタジーです。
これの1巻が菅野さんのデビュー作で出世作なんだね! これでいっぱい新人賞もらってらっしゃいます。
5巻シリーズの1冊ごとにソニンは窮地におちいるんですが、児童文学だけに、確実に乗り越えられることがわかってるので、ハラハラしつつも安心して読めます。
ハリポタみたいに、いきなり主要キャラが亡くなったりとかはありませんのでね^^; -
気持ちの良いハッピーエンド。ソニンとイウォルとクワンの三角関係は決着しないの!?なんて、思わなくもないですが、そこはまあ、ソニンとイウォルの絆が強すぎるので…。クワン王子派の私としては、ソニンが彼の魅力に気づいてくれることを願っています。
7割の話が気になった。人はほとんどが環境に流されると。現在の日本を見ていても納得できるなあと思う。流されることを拒んで全力で踏ん張った自分を肯定してもらえたようで嬉しかった。 -
「ついにシリーズ完結! 三つの国が、それぞれの思惑を秘めて動き出す。個性あふれる三人の王子・王女と、ソニンの運命は? 小学上級から」
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イェラの精神力の勝利?ヘンに寵愛を受けないのが良い。
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読み終わりたくないのに、読み終わってしまった。
三国を巻き込んだ戦争も、決定的な打撃を受ける前に、
イウォル、クワン、イェラという次代を担う若い世代が知恵を絞り身体を使って、止めることができました。
最終巻ということもあって、ぎゅっと詰め込んだ感じがしないでもないですが、明るい未来を感じさせるラストでした。
外伝も2冊出ている模様。
ソニンの外遊録かしらん。