同和と銀行 三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録 (現代プレミアブック)
- 講談社 (2009年9月4日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062156882
作品紹介・あらすじ
行政、警察、国税、芸能界…。各界に太いパイプを持ち、バブル期の関西圏の開発に多大な影響を及ぼした財団法人「飛鳥会」理事長・小西邦彦。三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)淡路支店に着任した岡野義市の最大の使命は、最も神経を遣う取引相手である"同和のドン"の懐に飛び込むことだった-。第15回「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」作品賞を受賞した巨弾ノンフィクション連載、満を持しての書籍化。
感想・レビュー・書評
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同和団体、ヤクザ、銀行に行政…強大な組織間で複雑に絡み合う関係に迫ったルポ。同和や銀行についての一般論は無く、あくまで旧三和銀行と小西氏の具体的事件を中心に語られている一冊。
組織と個人、利用するものとされるもの、強者と弱者、カネを持つものと持たないもの、どうしようもない立場の違いから来る止むを得ない行動が、また次の犯罪を生む負のスパイラル。権益を得たものがそれをひた隠しにするために"元"仲間を犠牲にし、過去と自分の行いを美化する(少なくともそう見える)。負は連鎖するのだ、ということがよく分かる気がする。
発展にはこういう側面があるものなんだと思う一方、日経にいい人そうな顔して出ている奴らたちはやっぱり嫌い。本書とは関係のない話ではあるけれど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
社会
ビジネス -
最近は少なくなったが、こういう汚れた話は今も残っている。特に不動産・建設業など。
IT関連は比較的クリーンだと思われる。 -
表社会(銀行)と裏社会を取り持った小西という同和団体理事長の話。タイトルは「同和」となっているがタイトルに偽りありで、内容的には小西が同和の理事長という肩書をもっていたというだけ。同和の問題ではない。
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三和銀行と同和団体のトップ小西との関係を描く。同行で小西担当であった岡野へのインタビューを中心に本書は構成される。同和問題の歴史や金融との関係について深く掘り下げたものではない。
ただ、闇の勢力と銀行や行政が持ちつ持たれつの関係にあったことがよく分かる本。 -
壮絶な内容で驚いた。
三和銀行に、こういう汚れ役がいて、飛鳥会事件というのがあったのを初めて知った。
世の中には闇の世界があるものだ。
こういう世界とは一生縁がないだろうな、たぶん。
それにしても自殺者も出るとは。真面目だったんだろうな。
小西という人の人生も波瀾万丈だ。部落出身じゃなかったらふつうのサラリーマンだったかもしれないのだろうな。人生って不思議だな。 -
小西邦彦の生涯を描いた、角岡伸彦著『ピストルと荊冠』も併せて読みたい。
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烏兎の庭 第四部 書評 3.10.12
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto04/diary/d1202.html#0310 -
帯にあるように「同和団体のドン」小西邦彦と「汚れ役」に徹した幹部行員(三和銀行)の関係から眺めるバブルの一面です。
銀行からノンバンクを経由した不動産投資、それを利用してのし上がる、同時に銀行に利用されたケースは大小たくさんあるのでしょうが、このケースは極めて典型的でもありそこに切り込んだこの本はジャーナリズムとして非常に優れたものだと思います。
全然違う側面から同和団体を取り上げた「放送禁止歌」と合わせて読んで感じたのは、差別自体を直接に声高に悪用した人がいた初期から時間が経つと、むしろそのことにより何となくアンタッチャブルになるこの国の「空気」を周りがうまく利用し始める(思考放棄なり落とし所なりのロジックとしてXXXが言うのだから・・・というような)という構造が、「ワシはそんなに悪やろうか。警察の調書を見ると、銀行の連中はみなワシに脅されて、仕方のう取引をした、言うとるんや」という弱音に端的に現れている気がしてなりません。