傷痕

著者 :
  • 講談社
3.14
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062157582

感想・レビュー・書評

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  • とても重い内容の割に
    短時間で読んでしまいました
    続きが気になったからですね

    憎しみは子どもに継がせちゃ
    いけませんよ

  • とても矢口さんらしい作品で、面白かった。
    終始楽しく読み進められ、矢口さんの当たり作品の一つだと思う。

    『傷痕』というタイトルがとてもしっくりきた。
    過去の事件の傷痕が今回の事件を起こし、今回の事件でも様々な人に傷痕を残していた。

    家族の温かみや人を思う気持ちがストーリーを支えていて、私の好きな矢口さんミステリーらしく、切なくも心温まるお話で、人の内面に迫るミステリーだった。

  •  「傷痕(kizuato)」(矢口敦子著、2009年9月1日発行)を読みました。著者の作品は初見です。
     著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」)によれば、犯罪などの加害者と被害者、その家族ら周囲の人たちの思いや内面を描いた、心に残るミステリーで人気を博す作家です。

     第1章の「それぞれの傷」は、全体の伏線になっています。読み始めたときは、一見したところ何の脈絡のない5人の人物が登場し面食らいます。でも、読み進むうちにかなり巧妙に仕組まれた伏線が見えてきます。ということで連休の最終日に一気に4時間で読んでしまいました。
     たしかに、「犯罪などの加害者と被害者、その家族ら周囲の人たちの思いや内面を描いた、心に残るミステリー」に仕上がっています。死刑制度の是非、裁判員制度の誤謬性についても考えさせられます。


     生き残ったことが申し訳ない、そう思うのよ
    ・・・
     生き残ったものの辛さというのは、二十万人にたいするものであろうと、四人にたいするものであろうと、変わりない。彼らのことを考えると、いつだって心が千切れそうになる。ここにいまあることに身が縮む


    あらすじ 「BOOK」データベースより(一部追加記載・修正あり)
     1988年4月に発生した「目黒区一家殺人事件」で殺された弁護士一家の遺族は、いまも「傷痕(kizuato)」をかかえて生きていた。
     主犯格として裁かれた西川正実は死刑になったが、共犯者として裁かれた小田島清彦が仮出所してあらわれてきた。
     そんなとき、加害者の血をひくT大理Ⅱ生・一色知也が、C大法学部生である友人・大滝に誘われて出かけた法律サークルの会合。そこで出会い好きになってしまったR大法学部の女子大生。彼女は被害者の一人とおなじ「桜井香子(さくらいかおりこ)」という名前だった―。
     知也と桜井香子、その二人の出会いが、やがて悲しき事件をまきおこす。そして、新たな「傷痕(kizuato)」が・・・。
     加害者側にも被害者側にものこる哀しみを描いてゆく...そして死刑や裁判員制度をも問うミステリー作品。

  • なかなか私のタイプな本でした。
    主軸の話は加害者と被害者、その周囲や家族のアレコレな話なのでまあ重いです。でもそう気にせず、さらっと読み進めることが出来ました。(この"さらっ"は内容的にではなくて、読書的に)作為的なものが見えない感じ、世間は狭いなあと思わざるを得ないです。まあ根本的に加害者がここまで自由に行動って出来るんですか?と思わなくもない・・・。知識が皆無なのでなんともいえないのですが。
    裁判ついて少し描かれているのですが、これってほんとにある種で身近なものですよね。裁判員制度は実際に施行している現状です。裁判員には誰だって成り得るのですから。その時に自分が導き出すの「判決」に置いてどう責任を感じるか、それは人それぞれだとは思いますが、裁判に成り得る規模の話で、人の一生を左右する判断をゆだねられているのです。想像するのも怖いなあ、というのが今の正直な感想です・・・。。

    以下、ネタバレ。
    ましてや今回の作品では「死刑」に関することが多く描かれています。死刑に対する賛否。目には目を、やられたらやり返す、そういった精神はいいと思うと同時に、その堂々巡りになる未来も否めません。負の連鎖はどこかで断ち切らなければならない、そう思うのは綺麗事かもしれませんね。遺族を考えると、加害者を「死刑」にすることで、どう変わるのだろう。すべてが想像の域を出ません。人間の中で一番の恐怖は「死ぬこと」なのかな?と思う辺り、私もちょっとどうかと思います(笑)何があっても命を奪うことはしてはいけないこと、という認識はあるのに、そこに感情が入るとどうにもうまくないなあと。

    印象的なのは「生き残ったことが申し訳ない」という話。去っていく側と残る側のどちらが辛いのか、という話にもちょっとリンクするのかな。私が生き残った側だとして、きっとそう考えることはあるだろうけれど、「申し訳ないと思うこと」こそが亡くなった人に対して申し訳ないと感じてしまいます。生き残った側で出来ることはないか、何があるのか、それはもちろん復讐といった逆説ではなくて。実際難しいのでしょうけど、生きることに胸をはっていかないと。そこに存在するのだから、と思います。つまり何が言いたいって、限られた時間を懸命に生きてこそ、去った人に顔向けが出来るんじゃないかと、思うのです。

    ごちゃごちゃ。いつも以上にまとまり長い書き散らしですみません。さらっと読んだけど考えることはたくさんあるお話。

  • 最愛の妹を殺された男は、自分の娘に妹の名前を付けた。名前の部分に妹の姓名を付けたのだ。
    無実の罪で死刑になった男との間に出来た赤ん坊は、その将来を考え、子供のない家へもらわれていた。知也は両親に大切に育てられT大へ入学する。おさななじみからもちかけられた合コンで出会った女性にひかれるが、その女性の自分に対する質問に戸惑う。
    本当の犯人は仮釈放となり知也に接触してきた。知也は自分の出生について彼女との関係について調べ始める。そんな時仮釈放の男が殺された。

  • さくさくと読めたが、ちょっと荒削りな印象。設定に余りにも無理があるような気がした。実母との再会があっけなくて残念だった。

  • 2011/11/29 読了

  • タイトルと装丁からして、どよ~んとなりそうなのに、
    借りてきてしまった。
    弁護士一家殺人事件と、その実行犯の家族の人間模様、
    普通の人たちだったのに、
    この事件をきっかけに、みな心を病んでいく。
    それぞれの腹の探り具合が、まさに疑心暗鬼状態、
    一気に読めるけど、なんだか疲れたのでこれくらいの評価に
    してみた。

  • あっという間に読めます。
    関係者のつながりが中々よめなくてどきどきしながら早く先を読み進めたくなります。

  • 被害者遺族と加害者家族、それぞれの心の「傷痕」を描いた物語。こういうテーマはやりきれない物語が多くて、この作品もまさにそうです。自分を責める気持ち、誰かのせいにしなければやりきれない気持ち、どれもわかることだけど。そこまでしなくても……。
    最初からそんな運命を背負わされたあの人やあの人は、本当に気の毒としかいいようがありません。当事者たちにとってはともかくとして。本人の責任じゃないのにね。
    しかしやりきれない物語ながら、後味は案外と悪くないです。それぞれの傷痕を背負いながらも、それでも前を向いて生きていかなくてはならないのだし。その先にはきっと希望があればいいなあ。

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