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この作品からのみんなの引用
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「机も花瓶も、傷はついても、傷つかないんだよ、たぶん」
「でも人間は、見た目に傷がつかなくでも、とても傷つくと思う、たぶん」
― 53ページ -
僕は真夜中に、よく泣くようになっていた。それは意識的に泣いているというよりはただ汗をかくみたいにしてひとりでに両目から涙が」ぼろぼろとこぼれてくるのだった。(中略)ただあてのない涙がぼろぼろとこぼれ、胸が動き、それにあわせてまた涙が顔を垂れて、そうした夜が終わっていくのを僕はベッドのなかで動けないまま何度も何度も見つめているのだった。
― 154ページ -
それは悲しみのせいで流れた涙ではなかった。それはたぶん、こうして僕たちはゆく場所もなく、僕たちがこのようにしてひとつの世界を生きることしかできないということにたいする涙だった。ここ以外に僕たちに選べる世界なんてどこにもなかったという事実にたいする涙だった。ここにあるなにもかもに、ここにあるこのすべてにたいする涙だった。
みんなの感想・レビュー・書評
イジメという重苦しい問題を真正面から向きあった、とてもインパクトの強い作品。途中で目を背けたくなるような場面もあり、読み進めるのが辛かった。しかし書く方はもっと大変だったに違いないと思い敬意を表したい。これは小説だが、いじめられている少年と、いじめグループの一人が本音をぶつけあうようなことは現実にはなかなかないと思う。
いろんなことが暗示されていてとても良かった。何より一気に読めて主人公の心情がすごい伝わった。
とてつもなく残酷な物語であり、ひたすら気が滅入る。
目に見える美しさはただの張りぼてでしかなく、主人公には決して幸福は訪れない。かけがえのないものを守ることができず、そこには果てしのない喪失感しか残されていない。ヘブンというタイトルは、ただただむなしく響き、コジマが求めていたものもきっとそこにはなかったのだろう。
やはりいじめがテーマであった「リリイシュシュのすべて」を思い出しながら読んでいたが、読後の印象はひどく違ったものだった。
なんだかとてもむなしい。。。
少年と少女の、このときしかできない親密なやり取りが素敵でした。
主人公の少年は斜視があってそれを気にしているのですが、その悩みがたすきをほどくようにするりと失せてしまうシーンが印象的でした。
とにかく衝撃を受ける、苛め問題と真正面から向き合って書かれた作品でした。
主人公とコジマの会話はリアルを含んでいるのに、少年少女たちの台詞としては重い言葉の数々が、良い意味での違和感を覚えさせられました。
最終的に、コジマはどんな風になっていったのかということが描かれていなかったのが本当に残念でした。
川上さん、やってくれましたパート1。
いじめる側の心理描写が的確。
やる権利がある、ない、とかカンケーなく、やりたいからやる、という根元。
彼は美しいものを見つけることが本当に出来たのだろうか?
そんな簡単な事ではないはず。現実は甘くない。
悲しいくらいリアルな苛めの描写。嫌なものを思い出してしまった。
自分のコンプレックスに対してどう立ち向かうか?
子供の頃は同じようなこと考えてたよな~と思いつつ、いい大人になってもあまり変わってはいないんかなとも感じました。
ちょっとシュールな感じだけど、読みやすく一気に読みきってしまいました。
四月が終わりかけるある日、ふで箱をあけてみると鉛筆と鉛筆のあいだに立つようにして、小さく折りたたまれた紙が入っていた。
ひろげてみるとシャープペンシルで、
〈わたしたちは仲間です〉
と書かれてあった。うすい筆跡で魚の小骨みたいな字で、そのほかにはなにも書かれていなかった。
苛めの話に求めるべきではなかったのかもしれないけど、最後の最後には「救い」が得られるだろうと、登場人物たちの苦しみに堪えかねて本を閉じるのを我慢して読み進めた。だけど、結局、苛められる方が悪いんじゃないかと思える流れに共感できず、あまり爽やかな読後感は得られなかった。
苛めの話。
僕と、コジマと、二ノ宮と百瀬。
それぞれの言葉が理解出来、納得した。
苛めを題材にしてる話は、やはり読むのが辛い。
しかし、リアルの苛めも相当酷いので、リアリティがあって良い。
古本屋で購入。なんの予習もないまま読み始めたからか読んでいる間ずっと気が重かった。NHKドラマの「中学生日記」の最終回や沢尻エリカが出ていたなんとかという映画のようにはいかず、十分想像は出来ていたもののなんともすっきりしないおわりかただった。
こういうのはフィクションの中だけのストーリーだと思いたいが本当に良心の呵責のない類の人間はたくさんいるのだと昔からのニュースを見ていても思う。
一貫して淡々と物語が進められるから余計読んでいてツライ。
個人的にコジマの全ての理屈が全くわからない。
それは人の理屈などそもそもそういうものだということで、一方には十分共感できる人もいるのだろう。
それが、この物語で語られる、人によって全くちがう、視点の違い、世界のみえかた、捉え方の違いのひとつなのかもしれない。
久し振りに読んだ芥川賞系(純文学系)。苛めの中で生きること。切なすぎる。しかしその現実の中を、主人公は生き続ける。生きてくれて良かった。
「私たちのこの苦しみには、意味がある。あの子たちもいつかわかるはずよ」。「手のひらにひとつひとつ押しつけてくるよう」なコジマの言葉が痛くて苦しくて、思わず本を閉じなければならないことが何度もあった。ひとが生き延びるために忘れている当の問い、「生き延びる」とはどういうことかを、優しく、容赦なく突きつけてくる。コジマの美しい弱さ、いや強さにうちのめされつつ、違う道をとることで生き延びることをえらんだ少年を肯定したいからこそ、コジマに生き延びてほしいと、痛切に思うのだ。
斜視の男の子といじめの話。
わたしたちが自分の目を通して見ている世界は自分にしか見えないもので、その世界が他人が見ているものと同じだとは限らない。
良いにしろ悪いにしろ、この目を持っている限りそれ以外の世界を見ることはできない。
ぜったいにできない。
ダ・ヴィンチ誌「今月のプラチナ本」で紹介されていたのをきっかけに読みました。中学生のいじめを題材としていますが、描かれていることはそれを超越しています。視点がかわれば世界もかわる。善悪って何だろう、善を善だと教育されていたから私は善行をしたがるのではないか?と最近考えていたので、この本に出会えて嬉しいです。シンプルな文体で描かれているので、私のように軽い気持ちで読むことができます。しかし内容は濃密なので、じっくり読むこともできます。
第20回(2010年) 紫式部文学賞受賞 「苛められ暴力を受け、なぜ僕はそれに従うことしかできないのか」頬を濡らすあてのない涙。14歳の苛めを正面から描き、生の意味を問う、哀しくも美しい物語。 いじめのシーンが本当に多くて、残酷で読んでいて苦しかった。。 コジマは言う。あいつらは何も考えてないし、わかってない。でも、私たちはわかってる。弱いからされるままになってるんじゃない。何が起こっているの... 続きを読む »

十代前半なのに、彼らはどうして的確に人間の尊厳にダメージを
食らわせるいじめを考えるのだろうか。
それはまだ生きて行く上の余計な心配事が無くて、ただ自分と
自分に関わるあらゆる快不快について考え...






