マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想” (マルコム・グラッドウェルTHE NEW YORKER傑作選 1)
- 講談社 (2010年7月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062159159
感想・レビュー・書評
-
この本から、自分的「マルコム・グラッドウェル」ブーム発生!
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
独自の視点が実に興味深い。
-
アイデアと先見性とで、その後の世界を大きく変えた、
マイナー・ジニアス(小さな業界の天才)たちの物語。
第1章 TVショッピングの王様
テレビと実演販売を融合させた「TVショッピング」。この手法を初めて考案したのは“伝説の実演販売人(ピッチマン)”として名を馳せたロン・ポピールだった。万能野菜カッターや家庭用ロティスリー(肉焼き器)を全米中に売りまくった男の“販売の極意”とは?
第2章 ケチャップの謎
アメリカのスーパーでは、何十種類ものマスタードが売られている。だが、ケチャップは大ブランド「ハインツ」がほぼ棚を独占している。なぜ、ハインツ社のケチャップは、ここまでポピュラーになったのか? そこには、“革命的なケチャップ”をつくった同社の秘策があった。
第3章 ブローイング・アップ(吹っ飛び)の経済学
ビジネス書の傑作『ブラック・スワン』で一躍時の人となったナシーム・タレブ。そのタレブは、有名になる前から「変わり者のトレーダー」だった。「いつか必ず破滅的な事態が起こる」可能性に賭け、毎日損を出し続ける不思議な投資戦略。だが、正しかったのはウォール街ではなく彼だったのだ!
第4章 本当の髪の色
1950年代のアメリカ。「髪をブロンドに染めるのは、コーラスガールか売春婦」とされた時代に登場した家庭用ヘアカラーは、瞬く間に全米中の女性たちに広まっていく。その流行は、ヘアカラーに“あるメッセージ”を託した二人の天才的な女性コピーライターがつくり出したものだった。広告業界関係者必読!
第5章 ジョン・ロックの誤解
避妊薬のピルを開発したハーバード大医学部教授のジョン・ロックは、熱心なカトリックでもあったため、できるだけ「自然な避妊法」にすべく、ピルに“ある決まり”をつくる。だが、その決まりのために、ピルを服用する女性たちは大きな悩みを抱えることになった・・・・・・。
第6章 犬は何を見たのか?
どんな猛犬もたちどころに大人しく、まるで“天使のような犬”にさせることができる、カリスマ調教師のシーザー・ミラン。その秘密は、犬の“ある習性”を利用した、彼の独特な身体の動作にあった。シーザーが動くとき、「犬は何を見ている」のだろうか?
ケチャップのレシピだけは変わらない。
酸味と甘さのバランス -
どうしたら、そのようなことが実現できるのか。
内面まで入り込んでの取材。
原著タイトルとなっている「What the dog saw」は感動的。
愛情表現について深い洞察を与えてくれる。 -
ケチャップの味、アメリカのカラーリング剤のコマーシャル、投資家、ドッグトレーナー等の例を取り、人間の心理の動き方を綴った本。体系的・学問的に説明するのではなく、事例的な紹介となっている。
この本を読む直前に夫とマクドナルドの新商品や季節限定商品の投入のタイミングについて、どのような心理的な分析からそうしているのかとか、商品そのものや価格設定より実はそのような戦略が重要なのではないかと話していたところだったので非常に興味深く読めた。
心理的な方面についても少し勉強してみたい。
フォトリーディングの手法に従って表紙、裏表紙、目次、前書きなどをじっくり読んで、本を読む目的を「読書感想文を書くために内容を理解する」に設定して(笑)、おおよその中身の流れを予想しながらぱらぱらと本をめくって、しばらく熟成させて、読み始めたけど結局普通にほとんど読んでしまった(汗)。
最初に予想したのと全く違った内容だったのが残念。この辺で読み手の能力があられるのかもしれない。 -
"マルコム・グラッドウェルさんのコラムを集めたもの。グラッドウェルさんは、いつもおもしろい視点から世の中を見つめ、われわれに新しい視点を与えてくれる。
「The Tipping Point」では、商品が売れ始めるという現象のメカニズムを探っている。ハッシュパフィーという靴メーカーを事例に語られており、とても興味深い。
「Blink」では、一瞬の感覚について、美術品の本物か偽物かを見極める瞬間を見つめることで、いわゆる直感について解剖していく。
この本では6本のコラムを紹介しているが、各テーマを深くそして、独自の視点で掘り下げていく。私のお気に入りは、「本当の髪の色」。" -
うーん…
-
さすが、マルコム・グラッドウェルの一冊といったところ。この人の本は本当に外さない。
「急に売れ始めるにはワケがある」「天才!」ともに良書であるが、本書はTheNewYorkerに掲載されたコラムをまとめたもの。それぞれの文章はほどよい長さでありながら、しっかりと読ませてくれる。
私はタレブファンなので、タレブの事が書かれている第三章は個人的に楽しく読めた。ちなみにタレブは私がもっとも「投資」において影響を与えた人間である。
もっとも面白かったのは「本当の髪の色」と題された第四章である。この章の中には本当にいろいろなモノが詰まっている。アメリカ文化の流れ、女性の社会的地位の変化とその内側に潜む心理的な変化。そして企業のマーケティング手法。こういったものを絡ませる軸となっているのが「女性の髪の色」だ。
こんなに魅力的で、知的に刺激され、ユーモアもある文章が書けるならば、胸を張って「売文」できることだろう。
続編が楽しみな一冊である。 -
「ティッピング・ポイント」などで有名なマルコム・グラッドウェルのニューヨーカー誌に掲載されたエッセイのベスト版。3分冊になっているのがややコスト高かなと思うが、その分軽く読み飛ばすことができて、それなりに楽しい。
内容は、というと、たしかにニューヨーカーぽっいなー、と思う、軽妙で、洒落た、だが本質を鋭くついたクオリティの高いエッセイばかり。
序文で本人も一番良く聞かれるというとおり、「どこからそんなアイディアをえるのか」というようなモノばかり。
そんなに突飛な、奇想天外な話しではないのだけど、あまり有名でもないマイナーな天才たちを発掘して、実に面白いストーリーに仕上げている。
その腕前は、脱帽ものだな。