ピストルズ

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 990
感想 : 122
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  • Amazon.co.jp ・本 (674ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062161169

作品紹介・あらすじ

「若木山の裏手には、魔術師の一家が暮らしている-」。田舎町の書店主・石川は、とあるキッカケから町の外れに住む魔術師一家と噂される人々と接触する。その名は菖蒲家。謎に包まれた一族の秘密を探るべく、石川は菖蒲四姉妹の次女・あおばにインタビューを敢行するのだが…。そこで語られ始めたのは、一族の間で千年以上も継承された秘術にまつわる、目眩めく壮大な歴史だった。史実の闇に葬り去られた神の町の盛衰とともに明かされていく一子相伝「アヤメメソッド」の正体と、一族の忌まわしき宿命。そして秘術の継承者である末娘・みずきが引き起こしてしまった取り返しのつかない過ちとは一体-?やがて物語は二〇〇五年の夏に起こった血の日曜日事件の隠された真相を暴きだしてゆく…。読むものをあらゆる未知へと誘う、分類不能の傑作巨篇。

感想・レビュー・書評

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  • キャプテンサンダーボルトを読んで阿部氏を知った。
    届いてみてびっくりな667ページという今まで読んだ中でで1番分厚い本だった。

    果たして私にこれが読めるのだろうか…と怖気づきながら読み始めたら、「蝶2匹の縄張り争いが人間から見ると美しい円舞に見えか弱い昆虫の振る舞いと軽視されるから、神様も人間のことをそんなふうに見ているんだ」という出だしが面白くてこれは読めそうだなと思った。

    読み進めていくといつのまにか翻訳した外国の本のような丁寧な言葉遣いになっていて、そういう本が苦手な私は最後まで読めるのだろうか…と不安になった。
    しかし、文から醸し出す美しさに魅了されるのかなぜか読めてしまう。文も表紙もなにかの秘術が施されてるのかもしれない。

    それにつきましては機をあらためて、お話ししたいと存じます。

  • 今までどんなにつまらない本でもなんと読了してきましたが、この本は途中で諦めました。
    最低最悪の小説
    何が言いたいのかサッパリ分からない
    この作者は小説家は辞めた方がいいんじゃないでしょうか
    時間と金の無駄でした…

  • Pistils 曲名リスト

    Traffic - Utterly Simple
    https://www.youtube.com/watch?v=JcpZqNWb9jU

    Claudine Longet - It's Hard to Say Goodbye
    https://www.youtube.com/watch?v=wP5lMZihgq0

    The Zombies - A Rose For Emily
    https://www.youtube.com/watch?v=gs-bVMs1LKU

    Sagittarius - Will You Ever See Me?
    https://www.youtube.com/watch?v=IMj8Ao8D5Tw

    Baker Knight & The Knightmares - Hallucinations
    https://www.youtube.com/watch?v=N1CS-z_JmZY

    The Lovin' Spoonful - Rain On The Roof
    https://www.youtube.com/watch?v=EwDh-xea40s

    Herman's Hermits - Don't Go Out Into The Rain(You're Going To Melt)
    https://www.youtube.com/watch?v=WiCstfC9FfM

    Dave Dee, Dozy, Beaky, Mick and Tich - The Tide Is Turning
    https://www.youtube.com/watch?v=ZHqKQLZL_4Q

    Jackie DeShannon - What The World Needs Now Is Love
    https://www.youtube.com/watch?v=YUaxVQPohlU

    Kaleidoscope - The Sky Children
    https://www.youtube.com/watch?v=hAc2jXAx1Rw

    The Small Faces - Afterglow Of Your Love
    https://www.youtube.com/watch?v=aueUFhC3Ktg

  • つくづく不思議なひとだと思う。
    圧倒的な情報量とファンタジーめいた荒唐無稽な設定。
    長いけど、最後まで一気に読めてしまうくらい面白いんだけど、読んだあとに何も残らない感じ。いや、けなしてるんじゃなくて、意図的に情報量と面白さの中になにかモヤモヤっとしたものを埋め込まれてる気はするんだけど、読み終わっても結局正体がわからずに漠然とした腑に落ちなさだけが残ってる。
    でも自分の中で何かしら落としどころを見つけるためにシンプルにストーリーを楽しんだ、てことで納得させようとするから何も残ってなかったことにしてしまった気がする。でも絶対なんかあったはずなんだけどな、てのをずっとひきずってる。

  • 山形県にある神町の旧家、菖蒲家。
    一子相伝の「秘術」を操る一族とは如何なるものなのか…

    菖蒲家について語る次女あおばの口上と、
    それを聞く書店主の石川による手記によって
    一族の今昔がひもとかれていきます。

    手記はレポートを読むかんじで、語り口はお上品。

    ただの通りすがりの読者には、
    状況を把握するだけで精一杯でした。

    キーワードは、

    ・薬物
    ・少女趣味
    ・抑圧

  • 魔法使いとテロリストと家族は同義語。
    個人を淘汰し凌辱する。
    オーロラとサイクロンは人々を惑わせ、
    精神に大きな傷と腐敗を残していく。
    PTSDの気配は影となり、
    真っ赤な神様はいかづちを落とし、
    嘆きを紡いでただせせら笑うだけ。

  • 圧倒的な情報量とそれに伴うむしろ物語の現実感の喪失がこの話のキモではないだろうか。
    とりあえずポールオースター好きにオススメ。
    以下ネタバレあり感想
    記憶から消失されることが初めから決まっている物語の記述者や、荒れ果てていく世界観の圧倒的な情報量、ここまで全て荒唐無稽な創作物だと世間に判断されて忘れ去られてしまうという落ちまで含めて、物語の存在形式への挑戦を感じる。
    単純に構造だけ言ってもこの話は、水樹と父親の話をあおばが石川さんに語ったのを石川さんが手記にし、その石川さんが記憶を失った後流出した手記をどこかの組織が報告書にした。という何重構造もの伝聞形式なわけだから、この物語から実際に体験した様な肉感的な感動や躍動感やなにか実感を得ようなんていう考えがたぶんそもそも間違っている。

    普通の小説の形式に慣れ親しんでいる人には正直難しいかもしれないけれど、この本は、インターネットに書かれている文章が圧倒的な情報量の割にほとんど現実感がないのと同じように、ほとんど現実感がないが事実を書いた文、だと思って読めばいいのかもしれない。
    そうして読み進めていけば現実を補強するはずの情報がどんどん積み上がっていき物語の些細な部分は埋められていくにもかかわらず、現実感は一向に感じられないという状態に読者が陥らざるを得ない。
    そこまで行くと小説を放り投げてしまいたくなる人が大多数かもしれないが、ちょっと考えてみて欲しいのは、じゃあそもそも他の小説で感じられるリアリティってのは何だったのかという事だ。そもそも小説というのは文字情報の連なりであって、比喩ではない意味で別世界に入るための魔法のトビラではない。だとするなら情報量が増えれば増えるほどリアリティは増大するはずなのに、この小説ではそんな事は起こらないで読者は小説を読んでいる自分、という現実からむしろ逃げられない。
    前述したインターネットを例にとると、例えばあまり公になっていない出来事や事件などについて、直接確かな情報に当たって調べられないときに、インターネットで裏をとろうとすると、その事実についていろんな人の雑多な情報を集め、その情報量が経験上の閾値を超える量あれば、その出来事は事実だと判断するというような方法しかない。この物語は少なくともそういう意味での情報量の閾値は完全に超えている。それはある意味でのリアリティだけど、でも現実に自分がその場に存在するようなリアリティはない。
    当たり前だ。インターネットのあちこちから集めた情報の断片を読んでその場にいるような臨場感を感じる筈がない。
    というかそもそも物語の主人公に感情移入すると言うようなリアリティというのは一体何から生まれるのか。それは当然だがタダの錯覚だ。しかもそれは(古典作品から我々が実感を得にくいことから推察するに)たぶん条件付けと形式化による普遍性のない錯覚だ。
    この小説はそういう錯覚を全て脱却した先にある挑戦じゃないだろうか。小説読者が主人公に感情移入するなどの錯覚を起こさせるための情報ではなく純粋にタダの事実を示す情報の集まりのみで物語の世界を説明し切る、そこには自分がその出来事を体験したというような実感=錯覚は全く無いが情報量の閾値は完全に超えているために、この物語は現実に起こったという感覚の様な物だけが読者には残るだろう。
    じゃあ見覚えのないこの感覚は一体何なのか、と最後まで詳細に読んだ読者は違和感を感じずには居れないのではないだろうか。意味不明だと断定してしまう人も居るだろうけど、僕はこのよく分からない感覚こそ本当の現実感なのではないかと思う。なぜならばこの感覚は物語世界から帰って来たというような読了感とちがって、実際に自分の居る世界で、例えばインターネットの向こうの神町で、その出来事が起こっていたのではないかというようなスリリングな感覚なのだ。この魔法使いの一家の物語が、である。

  • ピストルズって、Pistils、雌しべ達ってことです。紛らわしいですね。本編で語られる菖蒲家の4姉妹のことを言ってるんでしょうけど。ある町の本屋の主人がその町出身の小説家の本を扱うことになって、その小説家に会いに行き、そこで小説家の家(これが菖蒲家)の隠された歴史を知ることになるわけですが、、、話は本屋の主人の手記と、インタビューをしたその家の次女あおば(小説家)の告白という形で語られていくわけですが、、、こういう形で語られるとどうしても話の躍動感がなく、人の話を聞いてるっていう感じがしてだんだんと疲れてしまいます。話にしても1200年の秘術は結局、、、?話の設定は面白かったけども、ストーリーはこじんまりした感じで1200年という奥深さがあまり感じられませんでした。

  • 阿部和重最新作は「シンセミア」の続編となる神町の・・・・と思ったらちょっと違うんですね。
    これに限らずこの作者はこの「神町」を舞台にした大掛かりな小説をライフワークとしていて、今回もその一環というものなようです。いわゆる「神町サーガ」的な。

    今回はこれまでの「神町」をめぐる事件の裏側・・・・神町のもう一つの「暗部」ともいうべき一族のお話。
    「シンセミア」にも登場していた人物がスピンオフな形で語り手としてでてきまして・・・同じく暗部として出てきた名前もちらほら・・・というところで「厭な奴と悪い奴と駄目な奴しかいない」というシンセミアを思い起こしちょっと警戒しながら読みましたが・・・今回はちょっと違う。
    暗部の中核たる一族の女性によって語られるそれぞれの事件の裏側。

    具体的にいうとある種の秘術を継承した「当主」がいるんですが・・・あまりにもチートすぎるw
    たまたま失敗することはあっても基本的に無敵なんじゃね?w

    「これまで」が語られていながら、今回の要素を加味したうえでの「今後」を感じる今作。
    次回作が楽しみです。

  • 菖蒲家の秘密と歴史、神町で起こる不穏な事件が、絡まる植物のように織り込まれ語られている。
    地上に茂る枝葉と、地中にのびる根。菖蒲家はそんなイメージ。
    集団心理は危うい。疑心暗鬼が加わるとさらに。

    「神町」をめぐる一連の物語とは知らず読み始め、別の話をほとんど読んでいなかったけれど特に支障はなかった。
    芥川賞受賞作の「グランド・フィナーレ」は読んでいて、そこに登場した沢見とふたりの小学生が別の視点から描かれており、興味深く読んだ。
    神町の他の物語も読みたくなった。

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著者プロフィール

1968年生まれ。1994年「アメリカの夜」で群像新人賞を受賞しデビュー。1997年の『インディビジュアル・プロジェクション』で注目を集める。2004年、大作『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞、第58回毎日出版文化賞、2005年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞受賞。『シンセミア』を始めとした「神町」を舞台とする諸作品には設定上の繋がりや仕掛けがあり、「神町サーガ」を形成する構想となっている。その他の著書に『ニッポニアニッポン』『プラスティック・ソウル』『ミステリアスセッティング』『ABC 阿部和重初期作品集』など。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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