祈望

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 38
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062162838

作品紹介・あらすじ

母と姉が白昼、惨殺された。逃げるのが面倒だからと逮捕されたのは、少年だった。センセーショナルな事件に、遺された「私」、父、弟の生活は一変した。逃げるように家を出て、逃げるように暮らした。そして私には殺人衝動が生まれた。20年後、認知症で入院した父が記した3冊のノートを見つける。それは、父が事件を自分なりに調べ、犯人に迫ろうとした軌跡だった。-父は殺人犯に接触していたのか。現代の「罪と罰」の最先端に挑んだ、新境地作品。

感想・レビュー・書評

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  • □ 14252.
    〈読破期間〉
    2014/12/25~2014/12/27

  • 少年法はおかしい。身元が分からないように法律でしっかり守られていて、税金で更正プログラムなんて受けて、再び社会に戻ってきた時には「なかったこと」にしてもらえて・・・至れり尽くせり。まだ未熟な未成年だからこそ、やってはいけないことをしたら、厳しく罰し、自分の犯した罪にしっかり向き合わせて、被害者には誠心誠意の謝罪をする・償いをすることを教え込まなきゃいけないんじゃないかと思うんですが・・・。いつもいつも被害者ばかりがヤラレ損なのは理不尽すぎる。

  •  母親と姉を突然殺された私。加害者は少年だった。父と弟との3人の暮らしになり、生活は一変した。大人になり、父が病に臥した今、当時の父のノートをたよりに今一度あの事件を追ってみる。加害者少年は一体どうなったのか?父は少年法で守られた加害者に結局会えたのか?

     特に意図したわけではないのだが、祇園の暴走事故があったのでタイムリーな題材だった(しかも名前まで一緒!)。ただし、本作は車の暴走ではなく少年犯罪である。犯行時にてんかん症状があったかなかったかというのが問われる場面があるのだが、やはり弁護側はそれを理由に責任能力が無いと主張してくるんだよなぁ・・・。てんかんが認められたとして、犯行がそのせいだというのなら、果たして”更生”はどうするのか?医学的な治療(その方法も成果もまた不透明)をして、それだけで短い年月で釈放して本当に犯人はまっとうな人間に戻っているのか?遺族の疑心はもっともである。本作では最後に加害者と遺族が直接対面し、遺族側が復讐しようとするが、なんとか最悪の結末だけは避けられている。しかし現実では・・・こういう少年になっているのは何%くらいなのかとやはり心配になってしまう。

  • 一気読みしました。

  • 少年犯罪と被害者遺族、そして加害者の更生を描いた物語。どれも難しい問題です。そしてタイトルにもあるような「祈望」はあるのでしょうか。あってほしいものです。
    まあこういう手段が許されるものなのかどうかは謎なのですが。結局誰もが納得して救われる結論なんて、ないのかもしれません。そもそもの犯罪が起こらないように祈るばかりですね。

  • 光市母子殺害事件を思わせる架空の事件における犯人と遺族の関係を描いた、実に重たいテーマの作品。この結末は救いなのか無情なのか、判断できません。

  • 犯罪とは。罰とは。被害者は。更正とは。復讐。犯罪被害者に焦点をあてた物語。チンパンジーの習性、生態のくだりはショッキングだった。

  • 藤崎慎吾「祈望」

    娘と妻を少年に惨殺された夫の手記を、その息子が実際にたどるというもの。
    少年犯罪とその被害者家族の葛藤を丁寧に書いてある架空のドキュメンタリーと言う感じ。確かにそれはそうなんですが小説として読んだ時、その中から新たな広がりと言うか奇抜な展開をどうしても求めてしまう。
    ただ「こうでした。」という終わり方では、実際のドキュメンタリーやルポにはかなわないと思います。
    作者が何を書きたかったのか、いまいち伝わってきませんでした。

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著者プロフィール

ふじさき・しんご 1962年、東京都生まれ。米メリーランド大学海洋・河口部環境科学専攻修士課程修了。科学雑誌『ニュートン』編集室に約10年間在籍。英科学誌『ニューサイエンティスト』に寄稿していたこともある。1999年に『クリスタルサイレンス』(朝日ソノラマ)で作家デビュー。早川書房「ベストSF1999」国内篇1位となる。現在はフリーランス。ノンフィクション作品には生命の起源に関連した『辺境生物探訪記』(共著・光文社新書)のほか『深海のパイロット』(同前)、『日本列島は沈没するか?』(共著・早川書房)がある。小説には『ハイドゥナン』(早川書房)、『鯨の王』(文藝春秋)など多数。



「2019年 『我々は生命を創れるのか 合成生物学が生みだしつつあるもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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