シューマンの指 (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062163446

感想・レビュー・書評

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  • ま、二重どんでん返し?ご苦労様です。ゲイ描写、欲情ブス表現はキモイ。

  • 音大を目指す高校生が、天才ピアニストの新入生と出会う。ある日、主人公が夜の学校に忍び込んだ日、女子高生の死体をプールで発見するが…

    前半のほとんどがシューマンなどの音楽にまつわる話ばかりで、専門的な話も多く、クラシックにほとんど興味の無い私は何度も読むのをやめようかと思った。後半から終わりにかけては楽しめたのでよかったが、これはクラスック好きの人が読まないと大いに本作を楽しめないのでは無いか…と思った

  • 2011年本屋大賞の受賞作で5位になった「シューマンの指」
    昨年の「船に乗れ」に続き、このごろは音楽題材の小説が一個はノミネートされるのでしょうか。

    読んだのはかなり前なのですが、なんだか難しいのが印象でした。
    その時の日記には「分からない」と書いてます。

    しかし、このごろちょっと話題になったので、ご紹介を。

    ロベルト・シューマン
    去年生誕100年だった作曲家です。
    まぁ、ショパンにもっていかれちゃった感ありますが、
    そのへんの皮肉もしーっかりこの小説に書かれてあります。

    シューマンの指はジャンルとしてはミステリー。
    ピアノで音楽大学を目指す「わたし」の高校に、
    すでにその世界では有名なピアノ弾き「永嶺修人」という転校生が入ってくる。
    「永嶺修人」は大のシューマン好き。
    意気投合した2人は、シューマンをまねて、『新音楽雑誌』という同人誌?をつくり、
    音楽を評論する『ダヴィッド同盟』を設立する。

    交換日記のような形で、シューマンについて語り合っていく。

    しかし、卒業式の夜、彼らが通う高校で女子生徒が殺害された。
    「永嶺修人」が弾くピアノをバックメロディにして・・・

    現場に居合わせた修人はその後、ピアニストとして致命的な怪我を指に負い、
    事件は未解決のまま30余年の年月が流れる。

    ある日「わたし」は衝撃の噂を耳にする。
    指を失った「永嶺修人」が、外国でピアノを弾いている――。
    何故彼は指を失ったのか。
    何故彼が外国でピアノを弾いている、そんな話が漏れ伝わってくるのか。

    それが「私」の回想として描かれます。
    そして回想中に登場する高校生の「永嶺修人」が語るシューマンと物語は推移、
    シューマンの曲と共に浮かび上がって来るミステリタッチの物語です。

    最後の最後に物語は何回か物語は大きな展開を迎えます。

    この物語は、シューマンの人柄を知ってないと、楽しめないかもしれません。

    読んでいたとき、ちょうど私はシューマンの交響曲4番を練習しているときであり、
    4番はシューマンがおかしくなっていた時期のものですので、
    この話とリンクするところがありました。

    おかしくなっていた・・・
    シューマンはライン川に投身自殺を図っているのです。精神的におかしくなっていたようです。

    交響曲4番、2楽章のオーボエとチェロのメロディ。
    音源聞けます

    若い指揮者は(川瀬賢太郎さん)は、
    「この場面は、シューマンとクララ(奥さん)が愛を語り合うように!」
    と指示されましたが、
    人生に疲れかけた(笑)オケの年寄り団員は
    「このころのシューマンに愛なんてあるかい、あるのは変な妄想だよ・・・」なーんて言っておりました。

    シューマンってそういう人・・・

    そして、この物語にも出てくる『ダヴィッド同盟』とは、
    シューマン自身が作った架空の団体で、

    この団体のメンバーによる架空座談会という形での音楽評論を多用したそうです。
    この架空座談会に登場する「フロレスタン」と「オイゼビウス」という人物が最も良く
    シューマンの意見を表しているとされる。
    「フロレスタン」は活発で行動的、「オイゼビウス」は物静かで瞑想的で・・・

    つまりシューマンは、多重人格を使って評論を行っていた・・・
    これが、この「シューマンの指」でのキーワードになっています。

    最後のオチはなんだかなぁという気もしましたが、
    シューマン的な要素を加味するとこうなるのかなとも思ったり。

    個人的にはこの表紙が気に入っています。

    血がついたちょっとドキっとするピアノ。

    シューマンの曲も大好きですよ。
    シューマンのチェロコンチェルトはもちろんのこと。

    この話、読んだのはピアニストの小田裕之さんがオススメしていたからなのですが、
    やはりピアノに造詣がある方が読めば、
    分かるのかな・・・。

  • 音楽に疎いので、読み進めるのは大変だった。

    意外な結末で驚いたけど、振り返ってみるといろいろなところで辻褄が合わないような…。スッキリしない。

  • 「さよならドビュッシー」以来の、音楽ミステリー。今回も難解なクラシック薀蓄と音楽知識がかなり強敵で、肝心のミステリーはいつくるんじゃと思っていたらミステリーも難解でした…。レベル高い小説。難しかったけど一気読みだったので結局面白かったんだな。ありがとう。

  • 最後の一行まで読まなければ物語が完結しないが、読み込ませるだけの傑作だ!
    有る意味シューマンの黙示録でもあり、作品の主人公里橋優の黙示録に成っている。もう少し踏み込んで作家のレクイエム的様相を呈していると言える!!
    中山七里が陽の音楽ミステリーなら奥泉のこの作品は陰の音楽ミステリーだと思った。
    シューマンの音楽を語りその影の謎を提示しつつ、音楽家を目指す主人公の影の謎を重ねる手法は敬賛に値する。
    どんでん返し的物語作りは推理小説の醍醐味であり、ある程度の読み手の推理を先取りして慌てさせる作法も本格的だ。
    物語を完結しない文学表現も余韻が深く恣意的だと感服した。

  • ネタバレ注意。「ラストでひっくり返される小説」との評を目にして楽しみに読んだのに。修人でシューマンね。実在しないとな。どこからどこまでを、妄想の手記と思えばいいわけ?冒頭の手紙からぜんぶ?じゃあ妹はでも実在?殺人事件も実際にあった? ぜんぜんすっきりしない。翻訳文を読まされてるような、ことばの意味はわかるけど世界観が届かないもどかしい感覚(私が音楽という芸術に対する造詣が浅すぎるからだろうけど)をこらえつつ読んでいたらいつのまにか同人誌を呼んでるようなかんじになってた。打ち上げのバーレストランの一幕とか、どうとらえたらいいのさ?全くの妄想のできごと?
    ラストが意外っていうか、ずうっと読んできて、でもそんな人いなかったんですけどねー と梯子を外されるかんじ。
    意外性といえばそうなのかもしれないけど、申し訳ないけど、ミステリーではなかった。切ったその指は、シューマンの指でもなきゃ、修人の指でもない。現実を生きていないひとたちの物語。私が妹なら、兄を哀れに思いこそすれ、こんな真実掘り下げようとはしない。そして、兄が医者として生きた時期に関わった患者さんたちが心配。

  • 一度引き込まれるとぐいぐいと持ってかれる。

    最初は、シューマンってあんまり聞いたことないからピンと来ないなー…くらいの感じで読み進めてたけど、「あ これ面白いかも」っていう波に一度乗っかったらもうそこからは早かった。

    で 最後に全部ひっくり返される。

    賛否両論あるけど、ラストはあれで良かったと思う。
    あのラストで、良かったと私は思いました。

  • 2014/06/19

  • よくある手法に騙された!

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著者プロフィール

作家、近畿大学教授

「2011年 『私と世界、世界の私』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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