砂漠の悪魔

  • 392人登録
  • 3.27評価
    • (14)
    • (69)
    • (104)
    • (24)
    • (7)
  • 103レビュー
著者 : 近藤史恵
  • 講談社 (2010年9月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062164542

砂漠の悪魔の感想・レビュー・書評

  • 「人」の事かと思った。

    最初そのタイトルを目にした時は。

    今の所、「人」以上に「悪魔」の名に相応しい者になど、お目にかかった事もないし。

    序盤は(やはり、そうか。)と、思わざるを得ない展開。

    たいした理由もないのに、友人を卑劣な行為で傷つけてしまう主人公。

    殺意こそ無かったが、その暗い感情が、結局実体無き刃となり、
    友人を死に追いやってしまう事となる。

    そして、追い込んだ本人は、『罪悪感』と言う、決して拭い去れない返り血に塗れてしまった…。

    ぬるぬると浴びた返り血の中で、もがき苦しむ主人公の無様を笑う者、
    彼が犯した行為の非道さに怒り苦しむ者、

    そこかしこに、悪魔の気配はする。
    …が、
    自分の愚かさに気付き、嘆いたりする悪魔なんているのだろうか?

    結局、混沌とした黒いインク壷のなかで、どろどろに溶けかかっていた彼の魂は、ある出会いにより救い上げられ、
    ぽとん、と広大な中国大陸に落とされる事となる。

    この広大な大地に落とされた一滴は、
    このまま浄化出来るのだろうか?
    罪の意識に逃げ場など、あるのだろうか?

    まさかのラストに驚愕の思いではあったが、
    死神の大鎌を、人がイタズラに弄んではいけない。
    それは生者には、決して扱えないシロモノなのだ、,と思い知らされた。

    生きるものの使命は必死で生き延びること、これ以外には何もない。

    死神の大鎌を振り下ろすのは、
    やはり『悪魔』の役目。

    その終わりを告げるのは、人では無い。
    あくまで『悪魔』なのであった。(^^;

  • 親友を自殺に追い込み、それをヤクザに付け込まれ、中国との運び屋をやらされてしまう話。結末は、なんだかなーって感じ。

  • 最初はミステリー的な話かとも思えきや、壮大なる展開へと。ハードボイルドだなぁ。とてもありえないけど。

  • なんてひどい主人公なんだ!と最初から嫌悪感たっぷりだったが、その報いにしてはおつりがくるくらいの転落人生。
    人生を転落する人としない人ってもしかしたら紙一重なのかも知れない、そう思わされた。
    物語の展開が凄まじすぎて、若干無理があるなと感じずにはいられなかった。
    驚きのラスト。
    砂漠の悪魔というタイトルはそういう意味だったのね、としばし呆然としてしまった。

    こんなにめまぐるしく展開する小説は本当に久しぶりに読んだ。

  • 友人の死→ヤクザ登場→中国へ→逃避行→追手殺害→核実験遭遇、そこに中国の状況 (経済格差や民族問題) を絡めるとは、流石のストーリーテラーにしても、ちょっと起と結が上手く結びついてない気が・・・
    https://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/14869589.html

  • スタート地点と着地した場所の違いにただただ衝撃を受けた。

    中部から後半部分のウイグル族、核実験問題をおもに描きたかったんだろうなぁ、というのが伝わりました。
    彼の犯した罪と中国との問題が、ちぐはぐな感じで最後までなじまなかった所に違和感が残ったけど、結末が気になって最後まで読ませる感じは凄かった!
    ラストも凄かった。

  • 気まぐれの悪意から親友を死なせたことで人生が変わってしまった大学生。ちょっと前までは平凡で退屈な日常だったのに、どんどん追いつめられて流れ着いた中国の果てで彼が遭遇したものは…
    実に苦くて鬱々とした気持ちになる話で辛かったが、ストーリー展開はぶっ飛んでいてすごかった。

  • 傲慢で鼻持ちならない大学生の主人公の悪意によって、友達が自殺してしまう。グダグダとあの時に戻れたらとかやり直せたならとか、過去を後悔してばかりいた主人公。そんな日々のぬくぬくした悩みは、本物の悪魔、砂漠の悪魔によってこっぱ微塵に葬りさられる。最後の数ページは驚愕!

  • まさかの展開。

    怖いっすよ、これは

  • あまりの展開のむごさと言うか、自分の思ってもいなかった方向に話が進んで終わり衝撃が凄かった。
    砂漠の悪魔ってそういうこと!??
    と言う。
    近藤さんの本はさらりと読めて感情もさらりと物語の登場人物達の中に入っていけるからいい。

    にしても砂漠の悪魔の正体が核実験とは・・・・
    病気で体を病んでしまう以上に、人の人災によって体を病んでしまうことの方がはるかに恐ろしい。
    隣の中国の近いのに遠くしらない現実をまざまざと見せつけられた気がした。

  • そうきたか〜ってかんじ。そういうラスト。5年前の作品とはいえ、現実味に乏しい。だれも幸せになれないはなしは、苦手だなあ。

  • 最後まで一気読みでした。
    世の中には知らないことが多いのだと改めて気づかされた。

  • 最後意外な出来事が突然起こります。

    タイトルの意味がやっと判明しました。

    作者はこれが書きたかったんだろうなぁと思います。

    しかし、その思いが強すぎて無理な展開が折角の流れを壊しているような気がします。

    「ちょっとした復讐のつもりが、親友を自殺に追いやってしまったという設定」や「砂漠の悪魔」は意外性があってとっても良かったのに上手くまとまっていません。

    分けて別々に書いた方が良かったのでは。。

    ラスト前まではすごく良かったです。

  • 2014.9.26読了。面白かった。結末が知りたくて一気読みしたが、夏樹を殺してしまったと思う主人公のその後があまりに突飛で夏樹のことが解決されなかった。夏樹のお父さんのことば、主人公の両親の言葉など聞きたかった。最後まで読んでこれは別々の作品にするべきではないかと思った。

  • ちょっとキツかった
    大学生が友人を自殺に追いやった。ヤクザに目をつけられ、中国から香港へ逃げるー。

  • ちょっとした悪意が引き金で、他人の人生を狂わせ、自分の人生をも崩壊させてしまった。

    ごく平凡な大学生だったはずなのに、とんでもない世界に引きずり込まれてしまう展開は恐かった。
    ストーリーが中国の民族問題へとつながってゆき、最後に登場する「悪魔」には驚いた。
    そんなことになってるの、かの国は。
    近藤さんが書きたかったのはこっちのことだったのかな。

    平和に生きてる私と同じ空でつながってるどこかの国で起こってる、とんでもないこと。
    それに苦しむ人々がいるってこと。
    ニュースで見ると「大変だねえ」と言いつつどこか他人事だけど、この主人公のように突然「そっち側」の人間になっちゃうこともあるんですよね。

    近藤さんの小説はいろんなテーマを扱っていて、どれも好きですが、今回のは妙に心に残りました。

  • 友達の自殺、ヤクザの脅し、中国への旅。
    世界は広い、知らない世界が多すぎる。ウイグル人について。

  • 読み終わった時、意外と印象に残る作品でした。
    タイトルだけでは、どんな内容かまったく想像つかずに読み始めましたが
    読んで良かったです。

  • 自分のちょっとした思い付きでしてしまった行動によって、友人を自殺に追いつめてしまった男子大学生の話。
    日本の中で、とても恵まれた環境におかれていることって、それを奪われてからでないと気が付きにくいのかもしれませんね。
    それにしてもひとつの行動で、あまりに人生が急降下しすぎでブルーになりました。
    やくざに目をつけられて、麻薬の運び屋にされ、それだけでもきついのにそうして送り込まれた中国で、いろいろな現実をつきつけられ…。
    ラストはここまで不運なのかと悲しくなる「砂漠の悪魔」の出現に少し気分が悪くなりそうでした。
    彼の今後の体調が気になってしょうがないです。

  • 大学生の広太は日頃から疎ましく思う親友の夏樹を残酷な形で陥れた。
    夏樹が片思いをしている女性から告白された際、「夏樹に告白して半年だけつき合って欲しい、その後ならつき合ってもいい」という条件を出したのだ。
    向こうはこちらを親友と思っているが、こちらは親友だなんて思ってもいない。
    そんな人間を出し抜いた快感。
    さらに、広太は夏樹と彼女がつき合っている間も彼女と関係をもつ。
    その後、全てのからくりを知った夏樹は自殺し、広太は夏樹の父親がから恨まれる事となった。

    そんな広太に接触してきた男がいた。
    その男はヤクザで、広太に運び屋をしてほしいと切り出す。
    断わるなら両親や恋人がどうなるか分からないと脅しをかけて-。
    さらに、それを警察に言ってもまともに取り合ってくれないだろうという事もほのめかす。
    実は夏樹の父親は刑事だった。
    警察という組織は仲間意識が強い。
    確かに自分が被害を訴えても取り合ってくれないかもしれない-。
    そうして彼は中国である人物と接触し、ある物を受け取り持って帰るという仕事を渋々引き受けた。

    そして訪れた中国で彼は一人の日本人の若者と出会う。
    出会ってすぐに意気投合した二人は中国の観光地を訪れたり、グルメを楽しむ。
    その後、広太は頼まれた物を持って日本に帰り、無事に任務は遂行されたが・・・もちろん、それが一度で済むという事はなかった。
    やがて彼はヤクザの手から逃れるため、広大な砂漠の地をさすらう事となる。

    この人の本を読んだのはこれで2冊目ですが、最初に読んだ本とは全く印象が違うのでちょっとビックリでした。
    最初に読んだ「はぶらし」という話は女性が主人公で、ごく限られた範囲の人間関係、その心理を描いたものでしたが、これは男性が主人公の上にいきなり世界に飛び出している。
    話の雰囲気もどちらかと言うとハードボイルド調で骨太な印象を受けました。
    文章も内容のせいか、あっさりとして乾いた感じで、これが男性が書いたものだと言っても全く違和感を感じないだろうと思います。

    主人公の広太は仕方なく訪れた中国の地で日本人の若者と会いますが、最初にその若者が自分と似ている、と感じます。
    そして、その理由は後半に分かる事となります。
    若者はパスポートを集めるという裏の仕事をしていますが、何故そんな事を始めたのか?という広太の問いに「退屈だったから」と答えます。
    そして、広太も自分がここにいるようになった原因は「退屈だったから」と気づく。

    広大な砂漠をさすらう過酷な旅。
    その旅の中で思えば、日本にいた時の自分がどれだけ恵まれた環境にいたかが分かる。
    あの時、あの瞬間に戻れたら・・・と何度も思う。

    それに対して、彼と一緒に旅をする事になった幼い少女はそんな過酷な旅の中でも幸せそうに笑っている。
    自分の大切なものを手放してもワガママひとつ言わずに耐えている。

    広太が気づいたように、「退屈だ」という思いは贅沢だと思う。
    想像を絶するような過酷な条件の中生き抜いた人なら何もない事をむしろ「幸せ」と感じるだろうし、自分は恵まれているのだとすぐに実感できるだろうから・・・。

    タイトルの「砂漠の悪魔」の正体は後半に分かりますが、それは全く想像しなかった意外なものでした。
    そして、主人公はその悪魔を抱えたまま日本に帰る事となる。
    一見すると不幸だと思える状況ですが、最初に「退屈だ」と言っていた彼がそのまま生きていたと想像した未来より不幸だと思えない。
    それは彼がそうなってみて初めて生きているという実感を抱いてると感じたから。
    悪魔を抱きつつ、生きているという思いを手にもしている-その皮肉。
    人は不幸を知って本当の幸せを知るのかもしれない。
    そんな事を思った本でし... 続きを読む

  • 前半部分は本当に人間の嫌な感じが出ていてよかったけど、途中から何かよくわかんない話になってがっかり。

  • 章立てもなくロードムービー的にストーリーが進んでいく。タイトルはそういう意味だったのか。作者名で軽く手にした本だったけど予想外の展開だったな。

  • 友人が主人公広太の悪意から自殺してしまいます。
    この広太の犯した罪はどのように回収されるのでしょうか。
    私はこの話の終わり方は嫌いではありません。
    何故なのか?このような終わりでも一筋の光が見えてくるのは。

全103件中 1 - 25件を表示

砂漠の悪魔に関連する談話室の質問

砂漠の悪魔を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

砂漠の悪魔を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

砂漠の悪魔を本棚に「積読」で登録しているひと

ツイートする