- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062166201
作品紹介・あらすじ
奇妙なニックネームで呼び合う4人の男たち。なんの縁もなかった彼らの共通項は"殺意"。どうしても殺したい相手がいる、それだけで結託した彼らは、交換殺人を目論む。誰が誰のターゲットを殺すのか。それを決めるのはたった4枚のカード。粛々と進められる計画に、法月警視と綸太郎のコンビが挑む。
感想・レビュー・書評
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四重の交換殺人。うまくいったかと思いきや、ちょっとした綻びから法月警視&綸太郎が謎を解く。お互いの駆け引きがうまかったし、締めの言葉もかっこよかった。
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犯人視点から始まったので、4人の交換殺人が成功するのか、それともトリックがバレてしまうのかハラハラしながら読みました。事件についての見解を話し合う法月警視と綸太郎が面白かった。トリックもどんでん返しという程ではないが、その考え方があったか、と納得できて良かった。法月綸太郎シリーズとして、シリーズ化しているみたいなので、他の作品も読んでみたいと思います。
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4人が行う交換殺人。殺す相手と順番をトランプで決める。
誰が誰を、どの順番で殺したのかを法月警視と綸太郎さんが推理する。
すべての殺人とその順番が分かった! て思ったのに、まだそこで終わりではなく、いわゆるどんでん返し的要素があるんだけれど、そのパズルが複雑というか、ややこしすぎて、私はすぐにピンと来なくて、その分、すべてが分かったときの驚きが薄かった。
これ、このパズルをしっかり理解しながら読めてたら、すごい衝撃だっただろうな、て思う。
もっと頭よくなりたいよ…。 -
「キングを探せ」
トランプが集めた犯罪。
法月綸太郎。本格派ミステリー作家の1人で大のエラリーファン。故に、探偵役に法月綸太郎、父に法月警視という探偵アンド警察の組み合わせをエラリーから拝借しています。この「キングを探せ」でも法月綸太郎が作家家業を片手に推理するのです。
感想を一言で言うならばミステリーらしいミステリーです。犯人達の完全犯罪の結託場面から、犯行場面と続き、局面が推理側に展開して推理が始まる。次第に綸太郎が真相に近づくと、犯人達にも変化が起こり、一度事件がひっくり返る。それに対して、綸太郎が一手を打ち王手!、と起承転結がピシャッと決まります。
犯人側の局面、探偵側の局面が分かりやすく変わるので非常に読みやすく、王手迄のひっくり返しも王道のような仕掛けでした。
ただ、キャラクターは其処まで色が無かったですね。どれも淡泊なので犯罪の色濃さやインパクトは抑えめです。唯一濃かったのは、1人目の犯罪者でした。このキャラクターだけ背景が深めに描かれてました。思えばこの人物から全てが始まったと思いますね。
法月綸太郎と言えば悩める作家なので、もっと凝ったトリックものを読んでみたい。 -
交換殺人を法月(刑事と作家)親子が解決していく話でしたが、犯人と法月親子の両方の視点から描かれいるため読みやすく、肝心な所は最後の方まで明らかにされないため最後まで楽しめました。特に真相が暴かれた時には、「あれ、そうだったっけ」と最初の方のページを読み返すほど騙されてました。題名による錯覚を利用して読者を騙すところもすごいと思いました。 法月綸太郎さんの本を読むのは初めてでしたが、題名や話のセンスもあり一気に好きな作家になりました。法月シリーズまた読んでみたいです。
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なんの縁もなかった4人による交換殺人。
ミステリーのためのミステリーとはいえ、いとも簡単に人を殺してしまうのはちょっと・・・。
もう少し伏線があると思ったが、そうでもなかった。
交換殺人の展開と4人の出会いの場が面白かった。
(図書館) -
新本格の黎明期、「新本格の作家は人を描けない」というバッシングがデフォルトだったのだが、この作品を読んで久々にそれを思い出した。
読み進めているうちに淡々と謎解きがなされ、いつのまにか終わりという感じ。さしたるカタルシスもない真相で、読後に残るものも正直なかった。『密閉教室』の頃から、なんかつかみどころのない作家、という印象なのだが、多分この人の持ち味と自分の求めるものが合わないのだろう。 -
四重交換殺人に法月親子が挑むミステリ。
良くも悪くも法月作品。緻密で計算されているトリックにはキッチリと騙された。ただ視点が固定されていないため状況を把握しにくい。題材的にも色々な人物にスポットが当たってしまうのは仕方ないが、その部分にもトリック要素が欲しかった。 -
交換殺人のプロットが緻密によくできていて、物語の導入もとてもスムーズなだけにその構図に探偵が気付くのが早過ぎる〜と残念に思ったのも束の間、物語の焦点はキングを探す事にあったのか!…と思いきや実はキングは!? ....と言う事で、題名が上手いなあ、というまずは感想。
探偵(と言うことは読者も)が陥った推理ミスによる間違った筋書き自体が「四重交換殺人」という荒業によってとてもワクワクするものに仕上げられているので、気持よく騙されてしまった。書き様によってはゴチャゴチャし過ぎで置いてきぼり喰らう可能性もあったが、作者が軽いタッチの作風を選択してくれたお陰で最後までしっかりと捕捉できる。
おそるおそるながら「これはミステリの名作では」と言ってしまいたい。 -
どうしても殺したい相手がいる、4人はそれだけで結託し交換殺人を目論む。少しずつ綻びが出始め歯車が狂いだす。相変わらずの法月綸太郎のずれている推理は一種のお約束で、法月警視との親子の会話は安定して楽しかったです。後半はスピード感もあって一気に畳みかける感じが面白い。