エルニーニョ (100周年書き下ろし)

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著者 : 中島京子
  • 講談社 (2010年12月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062166416

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エルニーニョ (100周年書き下ろし)の感想・レビュー・書評

  • DV男から逃げ出してきた21歳の女性・瑛(テル)が、辿り着いた南の田舎町で、ニノと名乗る少年と出会う。ニノもまた、暮らしていた施設から逃げ出してきて、この町に居着いていた。
    季節は、夏。
    二人は、二人を追う者から逃げ続ける。
    逃避行の道すがら、出会う人々や出来事。
    広い海、蒼い空、吹く風。
    そして、握ったニノの小さな手の感触や、エキゾチックで悪戯で、ちょっと悲しげな横顔。
    読みながら、頭の中で繰り広げられる映像世界に、まるで自分が、忘れられない夏休みを過ごしたような、そんな気持ちにさせられる物語でした。
    ニノがかっこいいです。子供なのに!

  •  ボキャブラリーが豊富でその使い方が絶妙な作家さんだと思う。

     たんたんとしているようで勾配の多いストーリー。描く世界が素晴らしい。
    DV男から逃げた大学生が見知らぬ街のホテル(しかも自分の名前のような)に
    泊まり、誰からかわからない留守電メッセージを聞き、言われた場所へ行き、
    男の子と出会う。(まさか七歳とは)
     蜂にさされたその子は砂糖のお店に住み着いて、主人公もそこで店の手伝いをする。消しゴムハンコやエコバッグで店を盛り上げるくだりはおもしろい。
     
     その子を追いかける人物の正体が気になるのになかなかわからない。そして・・・・・・まさかそういう人だったとは。

     逃げているときに駅で出会った男性とのシーンは必要だったのかな。

  • 自分のしたいことが「最適な選択」はないというオトナな観点で、気持ちをぐっとこらえることは、ままある。
    けれど、その時その瞬間に感じる通りに行動するしかできない場合。馬鹿なことを、と言われたとしても、時間をかけて「適」にしていくことはきっと出来るんだろうと思えた。
    諦めの気持ちを重ねた安穏と、じっくり練り上げた納得。願わくば、後者の多い人生を歩みたい。瑛とニノが、歩み始めたように。

  • 読んでるうちに飽きちゃった

  • 逃げる21才女と逃げる7才男。
    恋人のDVから南へと逃げるテル。公園で男の子と出会い、なりゆきで一緒に逃げることになる。
    男の子は施設から逃げてきたらしいが、施設外の人間に追われているらしい。

    なぜDV男に居場所がわかったのか?

  • 1つの物語から想像の羽を広げて展開していく中島作品。
    いくつもの挿話から広がったのかな。
    よくここまでと思わなくはない。

    ただ、少し童話みたいな世界になっていて
    それが狙いかもしれないけど、ちょっと置いてけぼりになってしまった部分があった。

  • 環境なんて変えればいいんですよ。

  • これの前に読んでいた本でも『モモ』が出てきたので、“灰色”に追いかけられているというフレーズからすぐ『モモ』が浮かんでしまった。エンデ流行ってんの?と思ってしまった。途中途中差し込まれる話のせいでなんか読みにくかった。こういうファンタジーっぽいのはあんまり好きじゃないなー。砂糖屋さんのおばあちゃんは好き。この人の作風はなんか独特で読む人を選ぶ感じがする。2012/338

  • DV男から逃げ出した若い女性と、無国籍のまま児童養護施設から脱走している7歳の男の子が、鹿児島と思わしき街で出会う話。著者の状況説明が巧みで、情景が見えてくる。
    主人公の女性とDV男の出会いは、地方の高校の生徒と非常勤英語教師、という設定。

  •  被害者体質、敗北主義が染みついた女の子って多いんだろうなー。異性関係(口説く、抱く、付き合う等)で、良く見られる為のオシャレや飾り程度でなく、過剰で異常な何かを行使する人間は「素では落とせない、傍に置いておけない」という劣等感や弱さを持っているのだろう。
     そして、行使したらカモになりやすい体質や主義の人間を見つける嗅覚は優れている。強い人なら行使されてもカモにはならないだろうし。
     支配や従属、自由を奪う事で劣等感は優越感、弱さは自信へと勘違いをこじらせる。
     各逸話が面白かったけど、少々多すぎて本文が物足りない気もしました。
     竜巻さんや鯨谷くんが「良かれと思って(鯨谷くんは騙されて)」でテルとニノを追い詰めてしまうのがツラかった。それをテルも分かってるから恨みもしてないのは最後で伝わってきたけど。
     場面は星空の下で綺麗に書かれていたけれど、「ゆきずり」は感心しない。現実逃避で病んだ部分や逃避行での高揚などの部分では「軽さ」はあるのかもしれないが、テルの人となりを見れば一般的な「尻軽」とは思わないので、一概に責める事は出来ない不思議な場面でした。
     森のくまさんと砂糖屋の婆ちゃんに出会えた事は宝物ですね。そしてニノと出会って消極的→積極的、受動的→能動的、見つけてもらう→見つけに行く、とテルが学生の女の子→大人の女性へと成長したのが嬉しくなった。
     あての無い旅でその日暮らし、よそ者を蔑んだり排除したりしない暖かな人々。そんな場所があるのなら自分も行きたいとこういう話を読む度に感じます。

  •  国籍とか血筋とか、本当に大事なものなのかなと思うことがある。
     生まれた国、生まれた家系というものからは離れることはできないのは事実だけど、それを大切にするのは良い事なのかもしれないけど、そういうものを抱きしめることと、目の前に広がる未知の世界を踏みしめることは別のことなんだ。国籍や血筋で、その人の未来や運命が決まるわけじゃない。当たり前のことだけど。
     でも、その当たり前のことを当たり前のように信じている人って、どれくらいいるんだろう。本当は半ば運命みたいに諦めて、宿命みたいに決めつけて、袋小路から出られなくなってる人の方が多いんじゃないだろうか。

     男女関係に悩み疲れた主人公の女性が、逃亡の旅の途中で出会った男の子が混血児であるという設定が興味深い。主人公にとっては、その国籍や血筋が未確定なまま彷徨う男の子を守ることが、運命や宿命から逃れ、自分の未来を切り拓く一歩なのだろう。
     物語中に挿入される引用も含めたエピソードも含めて、人生の袋小路から逃れて、人間が生きていくためのヒントを少しだけもらった気がする。安心感を読む者に与えてくれるラストも含めて。
     

  • てるとニノの話。ニノがかわいい。結局ハッピーエンドだけど、単純ではなく心が温かくなる。

  • 家族とアイデンティティと境界線の物語。
    主人公の二人だけでなく、わたしたちみんな、どこからきて、どこへゆくのか。

    たぶん、この作家は、いまわたしたちが暮らしている「日本」という国家の境界線(=「日本人」というアイデンティティ)が、実は、自明でもなければ確固としたものでもないことをよく知っている。

    てるが逃げていたのは、ひとりの男からだけではなかったんだろうな。

    表向きにはわかりやすくて安心感があるけれども、内実、窮屈で抑圧的で本来あるはずの自分の輪郭がなくなってしまうほどの縛りを課していたなにか。その存在にうっすら気がついて、しかしそれをどうしていいかわからなくて、疲弊していたときに森のくまさんに出会って、初めの一歩を踏み出した、と。

    からゆきさんの話とか、過去の残像を表出させつつ現代のわたしたちが日々感じていることの真実と織りかさねていく感じが好きだ。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    女子大生・瑛は、恋人から逃れて、南の町のホテルにたどり着いた。そこで、ホテルの部屋の電話機に残されたメッセージを聞く。「とても簡単なのですぐわかります。市電に乗って湖前で降ります。とてもいいところです。ボート乗り場に十時でいいですか?待ってます」そして、瑛とニノは出会った。ニノもまた、何者かから逃げているらしい。追っ手から追いつめられ、離ればなれになってしまう二人。直木賞受賞第一作。21歳の女子大生・瑛と7歳の少年・ニノ、逃げたくて、会いたい二人の約束の物語。

  • 弟がかわいらしい!

    とぎどき間に挟まれる文章を読んでいられないことが
    あったけれど、全体としては好きな話でした。

    砂糖屋さんに行ってみたいな。
    2人がいるならば。

  • DV男から逃げる瑛と、灰色男から逃げるニノの物語。
    単なる偶然か、それとも定められた運命か。
    共に守りたい人を見つけた二人は、どんどん強くなる。

    二人を守り導く伝説や、温かい人々との出会い。
    ちょっと元気になれるお話でした。

  • エル・ニーニョということばの由来がわかっておもしろかった。
    中島京子さんの小説って、すごくうまくできているなーと思うけど、うまくできているものを、必ずしも自分がすごく好きになるとは限らない、ですよね。
    でも、砂糖屋さんのおばあちゃんが出てくるところは、好きでした。

  • なぜかとても読みづらかった。そしてあまりハラハラもしなかった。テンポが悪いのかな…
    モチーフとかは面白いし、面白い話になるはずなのに、あまり哲学を感じなかった。

  • DV彼氏から逃げてきたテルと、謎の灰色の男から逃げてきた少年ニノのひと夏の逃亡劇。目的地もない旅で出会った人たちのお話を交えながら、ストーリーが進んでいきます。途中途中で入る絵本のような物語も、ストーリー展開には支障がないのに、それがあるだけでこの本の価値が高まってる気がします。読み心地がよくてすいすい読んでしまいました。

  • この頃、大好きになってしまった中島京子さんです。

  • 直木賞受賞後の第一作だったとか。
    ちょっと力が入った?

    DV男から逃げる女子大生テル(ほとんど休学状態だけれど)と
    7歳のわけありげな少年ニノとの夏休み……

    この作家さんは子どもが出てくるものを書かせると、うまいような気がする。
    だって、今回も、ニノが愛しくて愛しくて……
    思い切り抱きしめてあげたくなっちゃうほど。

  • 国籍、こども、スペイン語、キリスト教、夏休み、フィリピン、みたいな。

  • この作者の本は、書く時代や舞台になる場所によって全く違った印象を受ける。
    この小説の舞台は日本だけど、ちょっと不思議な異国の匂いがして、はっきりどこなのか判らない(感じられない)ままだった。それが、またこの小説の良さに繋がったのかも。最後まで楽しく読めた。

  • 『人には、どうしたって逃げなくちゃならないときがある。けれどそれは自分ではわからないものなの。永遠にそこに留まるか、生きるのを諦めるかどちらかしか選択肢がないと思い込んでいる人には、くまさんが必要なのよ。」

    『小さなおうち』を読んだ時のような、
    あの、衝撃的な驚きはなかったのだけれど、
    とにかく先が気になる物語でした。

    瑛とニノ、ふたりの逃避行は
    現実的な様子だのだけれど、どこか不思議を醸し出している。
    このファンタジーはなんだろう、と思いながらもあっという間に終わってしまったのでしたー。

    逃避行の物語と、合間に挟まれる関連のある別(と言うには近い)物語。
    そのバランスに最初は戸惑いつつも、気づいたらそのリズムにすっかり慣れてた。

    好きか嫌いかの振り幅では考えられないのだけれど、
    気になる作品なのは確か。

    【7/30読了・初読・市立図書館】

  • 民話や伝承のような挿話が効いていて、中島さんのストーリーテラーぶりが発揮されている作品でした。ニノ少年の出生の秘密、灰色とは何者?といったミステリーが気になって一気読みしました。ラストはうまくいきすぎの感もありますがホッとしました。面白かったです。
    この作品に限らず、最近読む本はなぜか「逃げ」ものが多いです。逃げるというとネガティブな印象ですが逃げる勇気を持つこと、逃げることで開かれてくることもあるんだ、と気付かされ、励まされます。

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エルニーニョ (100周年書き下ろし)の作品紹介

女子大生・瑛は、恋人から逃れて、南の町のホテルにたどり着いた。そこで、ホテルの部屋の電話機に残されたメッセージを聞く。「とても簡単なのですぐわかります。市電に乗って湖前で降ります。とてもいいところです。ボート乗り場に十時でいいですか?待ってます」そして、瑛とニノは出会った。ニノもまた、何者かから逃げているらしい。追っ手から追いつめられ、離ればなれになってしまう二人。直木賞受賞第一作。21歳の女子大生・瑛と7歳の少年・ニノ、逃げたくて、会いたい二人の約束の物語。

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