陽だまり幻想曲

著者 :
  • 講談社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062167048

作品紹介・あらすじ

優しい夫と、もうすぐ3歳になる息子と暮らす「私」。「全てを一新して、生活を変えなければ」と思い立ち、パートをはじめ、新しい家に引っ越した。引っ越し先の隣家は、6人の男の子のいる大家族。ひとり息子のためにはよかったと喜ぶ「私」だったが、毎週金曜、隣家ではある出来事が起こるのだった…。中国人留学生たちの「今」を描く「ピラミッドの憂鬱」を併録。

感想・レビュー・書評

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  • 上手いとは思う。日常の危うさを描く淡々とした筆致。
    ただ好き嫌いでいうと、なんとなく物足りないというか、他の作品も読みたいと思うところまでいかなかった。

  • 陰陽対極にある隣家にはあのような禍が生じるが、結局何を伝えていただいたのだろうか。

  • 楊逸さん、読むほどにすきになる。もうゾッコン!
    この本には二編の小説があり、どちらもコメディタッチ。
    私は本のタイトルでない方の「ピラミッドの憂鬱」の方が
    すきかな。中国人留学生の暮らしぶりっていうのが興味深くて。
    事物以外にも感覚的に「へ〜え」っていうのが多くて。
    登場人物もみな人間味あって。(コレ、楊逸さんの特徴かな)
    一方、「陽だまり幻想曲」の方はですます調。でもコメディっぽい
    ので面白おかしく読んでいたら最後の展開に驚いた。
    本の装幀がすごく効いてる!

  • 表題作と「ピラミッドの憂鬱」の二本。ピラミッド・・のは成功し一攫千金を手に入れた親と 跡を継ぐことすらできず日本に逃げるように来た息子二人の物語。一人っ子政策のためにここまで堕ちたかと思える中国を皮肉る作品。中途半端に成長した中国での国内内外での動きが見えたように思える作品。
    表題作は なぜ?と疑問が残る内容でした。仕事で遅い父親抜きの母子のみの生活の隣では年子の六人兄弟のにぎやかな毎日。
    週末には夫婦喧嘩と夫婦の営みも勃発。そんな隣に起きた事件。
    ???と思える展開と終わりに納得がいきませんでした。

  • 表題作よりピラミッドの憂鬱のほうが好き。知らないけどありそうな中国人留学生たちの話。表題作は、終わり方、「わっ…」てなって、どうしたらいいんだ状態。

  • 表題のイメージとは違って、皮肉が満載というか。
    日本人の文章リズムと違うのが、仇となって、淡々と終わってしまった。

  • 外観は古いが中はきちんとリフォームされた一軒家に引っ越し

    無口で寡黙な夫と、もうすぐ三歳になる息子との生活で

    一人息子に兄弟を作りたいと意気込むなか、

    子供が6人もいる隣人から聞こえてくる、賑やかな団欒と戦場のような喧騒に
    心をはずませ時に驚いていた矢先に起きたこと。

    ラストこわい(^o^;

    他短篇
    留学生の男子、自分の力で日本で就職し働く楓果と
    彼女を作り親の金で道楽する南羽

    どちらが幸せなのか、
    ほしいけど届かない願望を、他人はいともたやすく手にすることができる
    虚しさと苛立ち

    どっちもおもしろーい)^o^(

  • 「ピラミッドの憂鬱」と「陽だまり幻想曲」の中編2本を収録。
    中国人男子留学生2人の日本での共同生活を描いた「ピラミッドの憂鬱」はこの作家さんらしい内容で、中国の現状や、中国の若者のリアルな姿を知ることができて興味深かった。
    「陽だまり幻想曲」については、この作家さんの小説で中国人の登場人物が出てこないものは初めて読んだのだが、ユーモラスな描写と深刻な内容のアンバランスが面白かった。日向でのんびりウトウトしていたら、いつの間にか辺りが薄暗くなっていた感じ。意外な結末だった。

  • 「ま、良いか…ま、良いか…」

    楊逸さんの厳しい現実の中、ほんわかとした、中国人らしい小説…

  • 表題作とその前に収められた「ピラミッドの憂鬱」との2編。
    「ピラミッドの憂鬱」のほうが楊逸さんの真骨頂で好き。中国から何となく日本に留学している2人の青年の日々を描いたもの。こういうのを読むと、中国の人って激しい人生を生きているなあと思う。そして、その激しい流れに負けずに生きているなあと思う。話に迫力があるんだよね。それは幾分、韓流ドラマの世界にも通じるもので、決してこういう小説の世界も、韓流ドラマの世界も荒唐無稽ではないんだと思う。日本が迫力なさすぎ、日本人が気迫なさすぎなんじゃないかな。

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著者プロフィール

(ヤン・イー、Yang Yi)
作家。1964年、中国ハルビン生まれ。
87年、留学生として来日。95年、お茶の水女子大学卒業。
2007年、『ワンちゃん』(文藝春秋)で文學界新人賞受賞。
翌08年、『時が滲む朝』(文藝春秋)で、
日本語を母語としない作家として初めて芥川賞を受賞。
『金魚生活』『中国歴史人物月旦 孔子さまへの進言』(以上、文藝春秋)、
『すき・やき』(新潮社)、『あなたへの歌』(中央公論新社)、
『わが敵「習近平」』(飛鳥新社)、『中国の暴虐』(共著、WAC)など著書多数。
現在、日本大学芸術学部教授。

「2021年 『「言葉が殺される国」で起きている残酷な真実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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