- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062172875
作品紹介・あらすじ
不倫の果てに刃傷沙汰に及んでしまい、謹慎中のりり子叔母さん。就職が決まらずアルバイトをする私は、気分転換にと、一人暮らしを始めた叔母の様子を見に行くことに。そこで目にしたのは、トラック一台分はある、大量のダンボール。処分に困った二人はそんな「お荷物な過去」をせっせとオークションにかけてゆくが…。"欲しいもの"を手放していく叔母と、"欲しいものが欲しい"私。世代も生き方も異なる二人を鮮やかに描く、ちょっとしたご縁のハナシ。
感想・レビュー・書評
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表題の『人生オークション』と『あめよび』の2篇が読める本でした。
主人と私、普段の自由時間は各々勝手気ままなことをしていますが笑、断捨離の番組だけは夫婦で嵌り放送を欠かさず一緒に見ています。
断捨離って物とも向き合うけど、過去の自分を見つめ直して決着をつけることなんですよね。家の中が荒れているのは心が乱れているから、心に余裕がないから。
気持ちの整理の為にも断捨離って本当有効的なんだなと思います。『人生オークション』はそんなお話で、断捨離をする叔母さんだけでなく手伝いに行っていた主人公の心までも前向きに変わっていく様子が良かったです。そろそろ、私もまた断捨離をしたくなりました。
『あめよび』は切なかったなぁ〜。主人公に感情移入してしまう、ほんと切ないよ。
原田さんの文章は読みやすいし、引き込まれますね。
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「人生オークション」と「あめよび」の2篇が収録された一冊でした。人生オークションは終盤、瑞希が初めてなりふり構わず行動した場面に感動。就活をした当時の私は「こういうものだ」と全く違和感もなく馴染んでいったけど、今考えると異常だよなぁと思うので、学生の時にそれを感じられる子はむしろ正しい感覚を持っていると思う、それが故に生きづらいのだろうけど。「あめよび」は諱の話に怖さがあって、この話はどういう結末なんだ..と思っていたら、最後がとにかく切ない。名前って、人間にとって本当に大事なものなんだな。ゴリちゃんは最後なんだかキャラが変わってしまってたけど、付き合っている間は美子よりもゴリちゃんを応援したくなった。
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人生長くなると、想い出と一緒に荷物が増えていく。持ち物の整理することで、今までの人生で抱え込んだ思いが整理されていく。自分が変わりたかったら断捨離、新しい自分に会えるかも。
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断捨離がしたくなる!!
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ストーカと不倫で逮捕歴ある叔母さんの身の回りの片付けをオークションで片付けるうちに、叔母さんも自身も再生し始めて希望がある本
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「人生オークション」
逮捕されたりり子と瑞希の断捨離?のお話。
りり子さん、オークションに出しまくって、心のスッキリしたかな?
白石さんの奥さんが怖すぎる。
「あめよび」
諱の風習のこと、初めて知った。
目的が違う2人が結婚してもうまく行く気がしないので、美子の選択は正しいし、幸せだと思う。
最後、空港でたまたま会う輝夫がなんにも考えてなくてうーん、と思った。諱は気になった。 -
人生オークション、あめよび、の2つの物語。2つとも社会的に素晴らしいと見なされるような肩書きは無いけれども他者と真摯に向き合うことができる女性が主人公。著者もそんな素敵な方なのかなぁ。
人生オークション
自分の人生、お金にするなら一体いくらになるだろうか?生きるに値する人生だろうか?
そんな思いで読んだ。
オークションの出品者りり子は度々警察の世話になるなど社会的にはマイナスともとれる人生を送ってきている。それでも親切で根気強いところもある。良いことも悪いことも、誰に後ろ指を指されようと積み重ねるのが人生なのかなぁと思った。最期まで人生の価値はわからない。
それに、他人に値段をつけられるなんて御免だ。 -
離婚のゴタゴタで引越した叔母の片付けを手伝う事になった主人公の心の成長話。自身就職浪人中で、家の中も何となく居心地悪く感じてる。でも積極的に就職活動をするでもなく、問題を抱えた叔母の手伝いを渋々やることになるのだけど、その叔母に自身の問題を指摘される。
始め叔母さんとは特に親しんだ仲でもなくて、ぎこちない感じだったけど、だんだんと理解していく。
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不倫の果てに刃傷沙汰に及んでしまい、謹慎中のりり子叔母さん。就職が決まらずアルバイトをする私は、気分転換にと、一人暮らしを始めた叔母の様子を見に行くことに。そこで目にしたのは、トラック一台分はある、大量のダンボール。処分に困った二人はそんな「お荷物な過去」をせっせとオークションにかけてゆくが…。“欲しいもの”を手放していく叔母と、“欲しいものが欲しい”私。世代も生き方も異なる二人を鮮やかに描く、ちょっとしたご縁のハナシ。
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示談にこそなったが、不倫の果てに相手の妻を刺して逮捕されたりり子叔母さんは、親族のもてあまし者となり、元夫が送りつけてきた大量の荷物に埋もれるようにして、無気力にただそこにいた。就活に失敗し、アルバイトだけでぶらぶらしている瑞希に白羽の矢が立ち、りり子叔母さんの様子を見に行く役目を押しつけられた。段ボールの山の中には、ほとんど使っていないブランド品もたくさんあり、瑞希は渋るりり子を説得してオークションに出してみることにしたのだった。予想以上の高値がついたり、梱包して発送したり、オークション特有の言葉遣いに違和感を覚えたりしながら、荷物は少しずつ減り、口座の残高は少しずつ増え、それなりに愉しむようにもなっていった。初めはりり子を敬遠していた瑞希だったが、事件の真実や、りり子の胸の裡を知るにつれ、義務感だけではない気持ちが芽生えてくるのだった。自分のことは、解っているようで解っていない。なにが足りなくて、なにが過剰なのか、ほんとうはどうしたいのか、などなど、人間というものの不思議を考えさせられる一冊でもある。