蜩の声

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著者 : 古井由吉
  • 講談社 (2011年10月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062172967

蜩の声の感想・レビュー・書評

  • 「現代日本純文学最高峰の作家の一人」言われる所以が分かる気がする。難しい、ゆえにレビューしようがない
    商品説明の「対極のあわいを往還しながら到達するさらなる高み――。記憶の重層から滴る生の消息。震災をはさんで書き継がれた言葉の圧倒的密度。」に尽きる。初期の頃と比べ文章が洗練されて簡潔的になってはいるものの内容は同等の濃密さ。作者が書く作品は文字通りの文学だと思う。

  • 現実に起きた事象とも絡め、一年のうちを古井氏独特の文体で描いている
    相変わらずの筆力だが、今回はやや胸に来る部分が少なかった

  • 以前確か新聞の書評を見て買って後積読してあった作品。
    短編集なのだが、全作品読むのにずいぶんと時間がかかった。
    少しずつ読み進めながら、その合間にほかの本を読んでいたらひと月ぐらいかかってしまった。
    老境を語っている作品と言ったらいいのだろうか。枯れたというか三途の川の向こう側に行き来しているのではと思われる主人公がかたる人との関わり、女性との関わり、自分などなどなのだが枯れた境地とはこういった物なのか共感できない枯れ具合で驚いた。
    いくつになったらこのような境地になれるのだろう。僕は無理だろうなあ。そんな風に思わされた老境小説でした。

  • 中途読破。
    図書館で借りて。
    よく分からなかったからやめてしまった。

  • 私の読書不足というか読解力のなさというのも相まって、読むのにえらく時間を費やした。
    霞の中をたゆたうような気分にさせられる文章だった。
    私が持っている辞書には載っていない単語も多く、難解だった。

  •  挿入句の多い文章に惑わされ、ずいぶん時間をかけて、読み終えました。8つの短編が入っているのですが、文章に惑わされるようになって殆どの短編を二回から三回読みました。沼に引きずり込まれるような、霧の中を歩くような、ぬるっとした感覚を覚えます。読んでいる間の時間の流れが、わからなくなるような、読むということの不思議さ、読書の愉しさの不思議さを大いに感じた本でした。
     どの短編にしても、私は、「幽霊の出てこない怪談」を読んでいるような感じがしました。幼稚なたとえだけど・・・笑
     実際、どんよりと曇った情景だとか、眠りに入りかける昼と夜の境だとかが、物語の中でかなり印象的です。晴れと雨のあいだ、睡眠と覚醒のあいだ。そしてのみならず、昼と夜のあいだ、生きているものと死んでしまったもののあいだ、自分と他者、過去と現在のあいだ、それがぼうっとあいまいになったところに、文学が立ち上る。もしかすると、古井氏が「文学の生まれるところ」とする「辻」というものを理解するのに、この狭間というのは手掛かりになるのかもしれないと思いました。
     読書って体験なんだな、というのも、強く感じた今回でした。
     にしても、じっくり時間をかけたせいで、大学の図書館で借りたのにだいぶ延滞してしまいました^^;ごめんなさい~~~。けちせず、本はやっぱし買って読みたいな!!

  • 五感、特に匂いにかんする描写がとてもきめ細やかで香り立つような文章。現在と過去が交錯する、主人公の記憶の世界。老いるということは自己と他者、身体と環境などのあらゆる境界が曖昧になってゆくことなのか。年をとってから再読してみたい本。

  • 「蜩の声」(古井由吉)を読んだ。『除夜』『時雨のように』の 匂い立つエロティシズムに鳥肌がたち、『尋ね人』の寂寞感に打たれる。とにかく古井氏の紡ぎ出す濃密な言葉の連なりに圧倒され、時々息を詰めて読んでいる自分に気付く。喧騒の中での一瞬の静寂感をつきつめるその感性が胸を打つ。

  • 8つの短編集。季節の移り変わりに応じて、主人公の年齢も変わってゆく。

    霧の中で読んでいるような、そんな感覚に捕らわれる。現在、未来、過去といった時間の感覚も曖昧になる。
    まるで夢の中にいるような、不思議な作品でした。微妙な感情の表現の仕方が素晴らしいと思う。
    自分の語彙力のなさを痛感しました。

  • こういう文章がとても好きだ。
    現実と幻想の狭間で言葉があふれかえるようでいて
    落とされるべき場所に落ち、落ち着く言葉。
    湿った男女の情感も廊下の徘徊も子供の背中も
    しんとした湖の底を覗きこんで見ているような
    いつまでも覗きこんでいたいような気持ちにさせてくれる。

  • 老いるというのは、やはりすごいことだな。
    ポストモダンうんぬんではなく、古井由吉の小説は、デビュー作からずっと老いている。
    作品に、いよいよ著者自身の老いが追いついた。という印象。

  • 2011年12月に実施した学生選書企画で学生の皆さんによって選ばれ購入した本です。展示期間終了後の配架場所は、開架図書(2階) 請求記号:913.6//F93 

    【選書理由・お勧めコメント】
    古風かつ繊細でありながら、忘れがたいほど先鋭なイメージを含む名文である(経済学科/2年)

  • こんな文章が書けたらな、と思う。

  •  連作8編を収めた短編集。どれも季節の移ろいに合わせ、日常の中に過去の記憶が浮かんでくる。
     主人公はたいてい家の中にいて、そこで思考が奔放に駆け回るうちに、季節感や周囲の環境と身体との境界がどんどん曖昧になっていく。
     さらに、気がつけば現在と過去の記憶も曖昧になっていく。
     その曖昧さを表出させるのは研ぎ澄まされた聴覚と嗅覚であり、特に匂いに対する感性の鋭さは凄まじく、そこから透明感のある官能が発せられる。
     匂いの密度が濃さは文体に依るものであろうが、正直まぁちょっと読んでて疲れちゃいますな。

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蜩の声の作品紹介

対極のあわいを往還しながら到達するさらなる高み-。記憶の重層から滴る生の消息。震災をはさんで書き継がれた言葉の圧倒的密度。古井文学の現在を示す最新小説集。

蜩の声のKindle版

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