女神のタクト

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062173223

作品紹介・あらすじ

どう見てもたよりない指揮者と、あまりに濃いメンバー。偶然、オルケストラ神戸に足を踏み入れた明菜だが、そこで封印していた「音楽」への思いを呼びさまされ-。笑いがいつしか感動になる、猪突猛進・情熱物語。

感想・レビュー・書評

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  • 始まりは、会社をやめて、男にも振られて、傷心旅行に出た先でであった老人との話。

    老人に、ある指揮者を連れてこいと頼まれた明菜は、拉致してくるようにその指揮者をオルケストラ神戸というオーケストラの楽団に連れていきます。

    そして明菜もオルケストラ神戸と、無理やり連れてきた指揮者を放って置けなくなり、オルケストラ神戸のために、裏方としてあっちこっちへと動き回ります。

    登場人物のくせもすごく面白く、クスッとなるところもあるのですが、最後は、感動で号泣です。

    まとまりのなかった楽団が、どんどんとまとまってきて、1度挫折を味わった指揮者も、その挫折を乗り越えていく。

    乗り越えた先に何があるのか。もう、号泣です。

  • 「罪の声」に感嘆し、遡って「崩壊」を読んで、淡々と語る渋目の作家さんだと思っていたら、この作品の軽さに、最初はかなり違和感を抱いた。でも、きっと、元はこんな感じで、固い作品を書くようになったのは最近なんだろう。
    会社をクビになった三十路の明菜は、思いつきで降りた舞子と言う町で、一人の老人に出会う。そして、その老人から、京都に住むある男性を神戸の楽団へ連れて行ってくれれば、報酬を与えると言う依頼を受けることから始まる。
    文章も軽いタッチながら、神戸の楽団に携わる人たちも全てキャラが軽過ぎて、誰を中心に描きたいのか、作者の意図が掴みにくい。音楽の話と言うより、楽団運営の裏側を描いているのは、なかなか面白い視点だと思うけど、実際のコンサートの模様の描写は、「蜜蜂と遠雷」と比較してしまうからなのかもしれないけど、いまいち…
    でも、実際に演奏した人には感じる高揚感はちゃんと伝わり、ラストもちょっと感動。それだけにもう少し主人公をきちんと描いて欲しかった。

  • 人の縁って面白い。
    小説だから、いろんな伏線やら何やらでうまいことなるようにしているのはわかるけど、それでもやっぱり生きていると、この時のための今までだったのだと気づかされることが時々あるものだ。
    読み始め、乗りにくかったが、一度波に乗れたら、ぐぐっと引き込まれて一気に読んだ。
    「天城越え」とか、特に良かった。
    人って、いざっていう時どれだけ腹がくくれるか?っていうのはあると思う。
    腹がくくれる人が好きだし、自分自身、いつでも腹が括れるような覚悟をしていたいものだ。

  • 良かった良かった良かった~
    失意のマエストロと潰れかけ楽団の再起の話。
    これが、笑いと感動に満ちている。
    しかも、その笑いも「笑える」というレベルじゃない、とにかく面白い。
    P42では、本当に笑った。 おんもしろい。
    感動もドドーンと読み手に迫ってくる。
    何度も泣きそうになった。ちょっと泣いた。37のおっさんが”ちょっと”泣くというのは、これはこれで極めて稀な事。 でも自然にうるうると…。
    前作「盤上のアルファ」もすごく面白かったけど、今作は更にイイな。

  • 希望的な物語

    気分をパッと明るくしたかったので、ちょうど良かった。 

    地元の関西を離れた今、方言が懐かしい。

    困難がいくつもあって、その度に乗り越える。
    トラブルか何かあったとき「次も上手くいくんだろうな?」という読者の期待を裏切らない。

  • 関西弁での掛け合いは面白いと思う。

    が、オーケストラの経営の大変さや楽団員の生活などをもう少し掘り下げて欲しかった。
    物足りなかった。

  • コメディ要素が強いのか、非現実っぽい展開ではあるけれど、面白く一気に読んでしまいました。オーケストラ演奏者の裏側、指揮者の仕事、オーケストラを支える職人たちの仕事の成り立ちが少しみえて面白かった。次にオーケストラを聴きに行くときに色々イメージが膨らみそうで楽しみです。マエストロや周囲の人を巻き込み引きずって走る主人公の魅力も、よかった。

  • お茶を飲みながらの休日読書に丁度良い。主人公の性格がいさぎよく読後感が爽やか。音楽界の話だが、書き手の知識が取材しただけのものにすぎないようでクラシックマニアにはススメられない。

  • テンポもよく、一気に読んでしまった。
    楽しくて、最後には泣けた。
    どん底のオーケストラ。
    でも明るい、個性あふれる楽団員と、職員たち。
    個性的なキャラの掛け合いが楽しく、前向きなパワーをもらえる。
    誰もが応援したくなる人たち。
    クラシックの魅力も伝わった。
    http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-bae4.html

  • これはおもしろかった!
    一癖も二癖もある登場人物達。でも愛すべき人たち。
    主人公女子に暴力で脅されて、いやいや弱小楽団の指揮をする羽目になる、気弱なんだけど天才的な指揮者をあの人に演じて欲しい。
    これ、絶対映像化されると思う。
    飛び抜けた集中力を発揮する人には変わった人が多い的な記述にうなずきまくり(笑)。

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著者プロフィール

1979年、兵庫県生まれ。神戸新聞社在職中の2011年、『盤上のアルファ』でデビュー。2016年『罪の声』で第7回山田風太郎賞を受賞し、“「週刊文春」ミステリーベスト10 2016”国内部門第1位、2017年本屋大賞3位に輝く。2018年には俳優・大泉洋をあてがきした小説『騙し絵の牙』が話題となり、本屋大賞6位と2年連続本屋大賞ランクイン。2019年、『歪んだ波紋』で第40回吉川英治文学新人賞受賞。2020年、21年には『罪の声』『騙し絵の牙』がそれぞれ映画化された。

「2022年 『朱色の化身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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