海賊とよばれた男 上

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062175647

感想・レビュー・書評

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  • 「これは"0(ゼロ)"に連なる物語」、なんて見出しが似合いそうな。
    エビカツでお世話になっている方からお借りして、夢中で読んでしまいました。

    全てを失った夏、0を継いだ春、乾坤一擲の秋、そしてつないでいく冬、
    四季になぞらえての展開も、時代の流れとリンクしていて、入りやすく。

    そして、石油という"エネルギー資源"の大切さと呪縛、戦略性をあらためて。
    けだし、先の大東亜戦争は「資源戦争」であったのだと、実感。

    その資源問題は戦後になっても変わらずに、むしろ加速していきます。
    そして今再び、資源戦争の兆候も見え隠れし始めてもいますね。。

    これを念頭に、尖閣や竹島を読み解くに、単純な領土ではなく「資源」をキーワードにすると、
    それぞれが突っかかって来る理由も見えてくるのではないかと。

    そういった意味ではもう「戦後」ではないのでしょう。

    個人的には、人や食料も含めての、広義の資源を対象とした、
    「覇権と独占、そして収奪」という戦前の帝国主義が復権しつつあるとみています。

    閑話休題。

    さて肝心の本編ですが、出光興産の創始者「出光佐三氏」をモデルとしており、
    形式は架空の人物名でありながらも、日章丸事件はそのまま使われています。

    経済小説に分類されるとのことですが、歴史物語として読んでも面白い。
    途中、"0(ゼロ)"を感じることができるのもまた、なかなかに。

    "筋"を通すとはこういうことか、国を、人を愛するとはこういうことか、
    戦後、日本がどこかに置き忘れてきてしまった「価値観」がこれでもかと迫ってきます。

    信念を貫くに、相手を問わず、諦めることなく、天地に恥じることなく、
    そういった日本人の失われつつある心性を感じながら、読み進めました。

    そして、そんな出光氏(劇中は国岡氏)を偲んで一つの歌が残されています。

     国のため ひとよつらぬき 尽くしたる
           きみまた去りぬ さびしと思ふ

              (出光佐三逝く 三月七日 昭和天皇御製)

    この一事を見るだけでも、本当に日本を国を愛していたのだなと、実感できました。

    こういった逸話こそ、歴史教育の中で伝えられていくべきと思うのですが、
    不思議と戦後の話は省略されることが多いのではないでしょうか。

    これは、GHQの赤い部分の意向が強く働いた結果とも言われていて、
    それらが戦後に日教組や自治労との形をとって、侵食し続けている証左なんでしょう。

    確かに汎用的な評価が難しいとの側面はありますが、、
    現在を生きる者にとって、卑近の歴史こそ大事とも思います。

    それをしてこその、学問であり教育だよなぁと、あらためて実感です。
    ん、生涯学習との切口で、立ち向かってみようと感じた、そんな一冊。

  • 1人の人生にスポットを当てるだけでなく、俯瞰で書かれている部分が多いので、今まであの戦争について書かれたものに触れた中で、一番わかりやすかった気がする。ぼんやりしていた点が国岡鐵造の人生に沿って線に繋がった。
    そして、日本にこんな侍はもういないよなぁ、と。即断即決、意志を貫く強さ、怯まず正々堂々と意見を述べる強さ、利権にとらわれない奉仕の精神。
    そんな人には今まで一度も会ったことはないし、これからの人生で出会うことなどあるだろうか。
    そんな胆力を身に付ける環境も発揮する場も、私の周りには無いが。

  • 正直、そんなに?というのが一番の感想。

    先入観やこの時代や石油に関心が持てなかった私自身にも問題があると思うけれど
    美談美談の連続と、いきなり時代を遡りはじめたのは出鼻を挫かれたような気がしました。

    書きたいこと盛り込みすぎて、欲張りすぎ感が否めません。
    でも日曜劇場あたりで連ドラとかにしてくれたらちょうどよさそうな容量でもある。

  • 目先の利益しか追求出来ないような人間や
    個人的で感情的な人間関係の中でしか動けないような人。
    代表と呼ばれる立場の中の残念な感じの人が
    今も昔も変わらないように感じてしまった。
    物語だから、
    大なり小なりはフィクション的な所もあるんだろうけど、
    この対する人々の小悪人的なイメージが拭えない。
    主人公のような人は現在出て来るものかなあ。

    商売、営業、そこには不屈の心構えがないと
    本当はやっていけないものなのかも。
    自由競争という名前だけ掲げたような場所で、
    商売の場を荒らすこの人は善か悪か。
    下巻楽しみです。

  • 物語としては面白いけど、実際身近にこんない人いたら大変そうだなぁなんて事考えながら読み進む笑。大変な時のトップは独裁者な面もないと上手くいかないのかな。結果的に上手くいった人の会社が生き残っているんだろうけど、この主人公もかなり紙一重な事を考えると、運というか偶然で世の中成り立ってる部分も多いのかな。会社としても、戦後は良かったかもしれないけど、今の時代でこの働き方したらちょっと、、、みたいな。

    戦争と石油の関係性を知って、新しく戦争を捉えることができたのは面白かった。戦争も、色々な視点から見ると見え方が違ってみえるのかもな、なんて思ったりして。

    すごく面白い!次が読みたい!みたいにハマった本では無いけれど、色々考えさせられた。

  • 国岡鐵造もすごいけど、日田重太郎の懐の深さに驚き。
    そして、宮部も登場!ヾ(*´∀`*)ノ

  • 国岡鐵造・・・出光の創始者がモデルとのことだけど、中途半端に架空の名前と実名が入っていて、ごちゃごちゃしている。
    でも、事実をもとにしているので、ストーリーとして独創性は全くない。
    歴史というほど正しくもなく、創作というには目新しさがなく、中途半端。
    でも、ストーリーは面白い。
    だから何となく悔しい(?)というか、小手先の文章構成力だけで書いている感じがする。
    「作」家ではなく、物書きって感じ。
    この著者、好きじゃないなぁ。。

  • 素晴らしい作品。著者がこの人じゃなければ満点。その意味で非常に悔しい。

  • 本屋大賞 受賞作。
    いや、確かにこの人はすごい人。
    なんだけど、どうなんだろう。こう淡々と書かれると、もう一つ感情移入できないなぁ〜。
    下巻に期待しよう!

  • 。この時代に国岡鐵造がいなければ、この雪国では凍死していたかも

著者プロフィール



「2022年 『橋下徹の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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