海賊とよばれた男 下

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著者 : 百田尚樹
  • 講談社 (2012年7月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062175654

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海賊とよばれた男 下の感想・レビュー・書評

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  • 昭和22年から56年までが描かれる下巻。

    石油を自由に売ることのできる世の中を目指して仕事に邁進する国岡であったが、メジャーと組んだ企業や通産省からの横槍もあり、一向に思うようにはならない。
    次から次へと押し寄せる難題をひとつひとつ解決していくものの、石油を売るということの難しさ故か、本質的な解決への道のりは長く険しい。

    日本のエネルギー政策が後手後手に回った結果、第2次世界大戦への道を選ばざるを得なかったという辺りが、上巻に書かれていた。食料やエネルギーなどライフラインに関わることは、それが断たれると国の存続に大いに影響する重大事で、長期的な視野をもって粘り強い交渉していかなければならない。明治以降、ずいぶん長い間うまくいかないまま、現在に至っているように思う。
    そんな中で、国岡の先見性とその手腕には驚くばかり。何に着目し未来を予想するのかといった、卓越した見識と新しい視点はどのような分野においても一目置かれるに違いない。

    経済界における剛腕。
    ノーベル賞受賞者が排出されるような研究環境。
    今まで日本人が苦手としていたプレゼンテーション。

    同じ国に生まれた一人として、少しばかり誇りに思えることが続くうれしさ。

    ただひたすら、前へ前へと道なき道を切り拓いてきたが、別れた先妻が亡くなったことを後になって知り、一緒に暮らしていた頃を懐かしく思い出す。国岡は幸せな現在の暮らしを肯定しながらも、苦楽を共にした先妻と別れたことは間違いだったのでは、との思いが一瞬頭をよぎる。
    そして、あらためて次のように考えるのだった。

    人生は一度きりだ。二つの道はない。(P350) 

    これには平凡に暮らしている私も激しく同意した。
    日々淡々と過ごしても、後になってその選択が正しかったか?と思い返すことは少なくないものだ。
    それでも、今を肯定できるのならば、そこにつながる無数の点も肯定しよう。
    ひとつの道だからこそ、尊く愛おしい。

  • 読み終えジーンとしている。

    最後はあっけなく終わる。
    読者の感傷など全く煽らない。
    国岡鐵造の潔さ、天年を全うした最後に相応しく素晴らしい読後感を残す。

    国岡鐵造(出光佐三氏)の経営方針は普通と違いすぎる。
    タイムカードなし、出勤簿なし、定年なし、労働組合なし、残業手当もない。
    「社員を信じる」経営方針の徹底であった。

    普通の会社では到底真似できない。
    さらに数百、数千、数万人の会社にはコンプライアンスという枷も加わり輪をかけて社員を縛り会社を縛り、結果的に顧客、国へ提供する価値を減じている。

    国岡鐵造が闘った実話に、実話だからこその緊張感がページをめくるスピードをどんどん速めていった。

    ページをめくるスピードはどんどん速まるが、伝えていく想いはゆっくりと私の心に刻まれていく。
    国岡鐵造をただ信じきった日田さんの器の大きさ、その魅力に取り憑かれる。
    そして日田の最後の言葉を聞いた時に駆け巡ったであろう国岡の胸中を想像すると、自らの胸をも痛めた。
    あー、なんて遠いところまで連れてきてしまったのだろう。
    あー、なんて遠いところまで見つめていてくれたのだろう。
    人を育てる素晴らしさが胸に満ちた。

    そして、ユキ。
    国岡の最初の妻だった人。
    この人の物語。妻だった人への想いが綴られる箇所は短い。
    短いが深く染み入るものがあった。

    本書は壊滅的な境遇、私利を追求する敵を打破していった成功譚だけの物語ではない。
    「人」をみつめていく根源的なものを思い出せてくれる。

    読んでよかった。

  • 思わず、ふわっとあくびがでそうになるのは

    夢の話と
    自慢話である。

    出光興産の創始者
    国岡てつぞう氏
    の生涯は大波乱に満ちながらも
    国内屈指の大きな会社にまで成長させたのだから

    後世に生きる者への
    夢物語としてでも
    出世物語としてでも
    いいはずなのに
    全く違う。

    むしろ(そんな物語なのか…)
    と、ちら、と思いをよぎらせたりしたならば

    どっかん!!!

    と、でかい雷が落ちてくる事は必至。

    (何を見聞きしていたんじゃ?!お前は一体何をっ!)

    今の日本に彼の様な大和魂を持った豪傑はいないけど、
    読後はしっかり守護神として心に鎮座して頂ける。

    人生に迷った時、悩んだりした時は
    「人を頼らず、自分の意志をつらぬけよ!」
    と、
    大きな声が聞こえてきそうだ。

  •  出光興産創始者である出光佐三の生涯を描いた、歴史経済小説下巻。
     民族経営を行う国岡商店に襲い掛かる外資の魔の手。その手を断ち切るためにてつぞうが求めた、一振りの太刀。
     それが、巨大タンカー「日章丸」。

     てつぞうは、この日章丸を用いて、アメリカや、メキシコの石油を輸入する。しかし、国際石油資本メジャーに南米を抑えられたてつぞう。彼の次なる地は、イランー。国有化したてのイランという国から、石油を輸入した始めて国が、この日本であったなんて。

     こんなに、素晴らしい人たちが存在し、日本を造り、そして現在に導いてくれたことを、私は今までちっとも知らずにのうのうと生きてきた。なんということだ・・・
     家族のために、店員のために、そして日本国民のために誰も成し得ていなかった新天地に足を踏み入れ、そのいばらの道を開拓し、後世の日本の地位をここまで上げた国岡さんを始めとする彼らに、心からありがとうを言いたい。
     そして、私にも、この素晴らしい人たちと同じ血が流れていることを、心から誇りに思いたい。

  • さすがに読み応えがありました。
    下巻は日章丸事件の全貌。
    石油の話は私の頭じゃちょっと全部理解できなかったけど、
    会社を愛し、日本を愛した国岡は凄い人だ。

    地元の話が後半出てきて、そうだったんだ~と感慨深い。
    国岡、出光佐三さんの事を知る事が出来て百田さんに感謝したい。

  • 上巻の特に後半を読んでいる時はこの調子が延々続いたらもう読めないかもと思ったが、そんな不安を吹き飛ばす勢いでした。面白かった。

    イギリスの圧力により経済が停止状態にあったイランを救うべく、そして日本の発展を考え、イギリスに攻撃されることも恐れずに日章丸をイランへ向かわせた場面がピークでした。感動した。

    鐵造もかっこいいけど、東雲さんがいいんですよね。いやでも武知もなかなか捨て難いかっこよさ。
    でも、「出来が悪いというだけで家族の縁を切ることがないように、国岡商店も首にはしない。むしろそういう店員をいかにして教育していくかということが会社の使命」と言うわりに出来の悪い社員がひとりも出てこなかったのがちょっと嘘くさいっていうか、面白味に欠けたかなと思います。

    最後まで読んでみて百田さんがこのタイミングで国岡鐵造...出光佐三の物語を書こうと思ったのかがよく理解できました。
    ビジネスマンや政治家に血眼で読んでもらいたい一冊。

    (帯に安倍総理も愛読!ってあったけど、特別嬉しくなかったしいっさい期待も持てないのはなんでだろう...苦笑)

  • モデルのある作品だけに、賛美一辺倒、作家の主観入りまくりが引っかかった。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/11783131.html

  • やっと読めたー。
    出光興産の創始者・出光佐三の伝記ともいえる、熱く真っ直ぐな男の生き様であります。
    主人公の国岡鐡造も凄まじい人だけど、彼の魅力を解する日田氏や会社の同志、決断力のある銀行や政治家や周りの人たちも素晴らしい。
    ぞくぞくする感涙ものです。

    個人的にもなかなか興味を惹かれる内容だったのですが、これはすごい歴史でありドラマである。
    上巻はそこまで夢中になれなかったけど、下巻は一気でした。
    これがビジネス書や社史であったならば読むことはなかっただろうと思うと、こうして小説として読むことができてよかったなと思います。

    出光関係者の人によると「だいたい社史と同じ話だけど、小説として面白くなるように大げさになってるところはあるね。あと、実名の人とそうでない人がいるからややこしい」と言ってました。
    そうは言ってもかなり没頭して読んだみたいだったし、私が読んでもすごくおもしろかった。
    百田氏の文章の巧さによるところも大きいのだろうけど、国岡鐡造の信念が人の心を揺さぶり、その強さが計り知れないものだったってことですね。

    日章丸事件がメインだと思っていたら、それ以外のところもすごく多くててんこ盛りでしたが、最後まで疾走感は途切れることなく読み切れました。
    そんなうまくいくわけないよーと思いたくなるような展開も、多少の誇張があるとしても史実なんだから。
    高度成長期って時代の持つエネルギーがすごかったんですね。

    この本が今の時代に出て本屋大賞をとるってのは、すごく納得というか必然であるような気さえしてしてしまう。

  • 出光興産創業者“出光佐三”を題材にした小説。

    石油をめぐる利権争いに対して、
    世界を敵に回しても怯むことなく正論で突破する。

    日本的家族経営の終焉が訪れた現代においてこそ、
    この作品が世に問うものがクローズアップされる。

    長期的なビジョンを持ち、困難に立ち向かい、
    正しいことをやり遂げる。
    そんな気概を持つ経営者の不在こそが、
    日本経済低迷の主因なのではないのか?

    日本人としての誇りに心が熱くなる作品。

  • 高3の姪が、「この本読んでみたい」と言う。タイトルにひかれたのか、それとも本屋さん大賞に選ばれたからなのか、理由は分からない。

    でも、下を読んでいる途中だった私は、
    「やめときな。時間がもったいないよ。ほかのにしな」とアドバイス。
    タイトルの「海賊とよばれた男」の由来と、何故、薦めないか簡単に話したら、納得していた。

    現代の日本は、自称経営者たちによって、働く者たちが労働から不当に疎外され、人間として最低限の生活する保障・権利すら奪われている。特に、今、この日本を背負って立つ若い世代の人たちに、労働疎外が顕著に現れている。

    そんな、嘆かわしい現実にぶつかって、「首切りのない人間尊重」の企業が、この日本にあったなんて……。誰もが、つい、信じてしまいがち、というより、日本にあって欲しいと一縷の望みを託したいのだが……。

    これは、出光のパブリシティに過ぎないお話、小説の物語に過ぎません。どこまで、信じていいのやら。小説だったら、何とでも書けるだろうに。

    ……定年退職した団塊のおじさんの「愚痴」でした。

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海賊とよばれた男 下の作品紹介

敵は七人の魔女、待ち構えるのは英国海軍。敗戦後、日本の石油エネルギーを牛耳ったのは、巨大国際石油資本・メジャーたちだった。日系石油会社はつぎつぎとメジャーに蹂躙される。一方、世界一の埋蔵量を誇る油田をメジャーのひとつアングロ・イラニアン社(現BP)に支配されていたイランは、国有化を宣言したため、国際的に孤立し、経済封鎖で追いつめられる。英国海軍が警戒する海を、一隻の日本のタンカーがイランに向けて航行していた――。
「日章丸事件」に材をとった、圧倒的感動の歴史経済小説、ここに完結。

海賊とよばれた男 下の文庫

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