15歳の寺子屋 ゴリラは語る

著者 :
  • 講談社
4.19
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (98ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062176804

作品紹介・あらすじ

自分の姿をじっくり見るには、鏡が必要です。同じように、人間がどういう生き物なのかを知りたいときに、よき鏡となってくれるのが、ぼくたちと祖先を同じくしているゴリラなのです。恋と友情の間で悩むのは、なぜ?家族の役割って、なに?戦争をするのは、なぜ?自然が必要なのは、なぜ?そんな難しい問いに、ゴリラはヒントをくれます。ゴリラたちの姿を通して、世界の見え方が変わる体験をしてみませんか?ゴリラの家にホームステイしてだいじなことを教わりました。

感想・レビュー・書評

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  • 山極先生の著書はよく見かける。15歳向けとあって読みやすくまとめられている。ゴリラに人間の生き方を学ぶという山極先生。その通りだ。自然がなくては人は生きていけない。人はもっと冷たく、そして懐を深く持つべきなのだという意見に大賛成です。シンプルに生きたいものです。

  • 先日読んだ本の中「人生を考えるのに遅すぎるということはない」
    の 中で 気になった著者の本です。
    この本は 中学生を対象に書かれているので 
    とてもわかりやすい言葉で書かれています。

    しかも、先日の本はこの本の内容をピックアップしてまとめていたようで、読んだ記憶が・・・・

    とは言え、ゴリラの生態など 未知の分野ですので
    なかなか面白いです。

    最後に 自然が必要な意味をまとめていました。
    例えば 街中を歩いていても 突然なにかが起こるということはないけど、
    ジャングルでは 何がおこるかわからない。 突然蛇が出てきたり・・・
    そういう時に 咄嗟に何ができるか。
    そういう柔軟な頭を育てるには 自然の中でもまれるのが 良いでしょうという事です。

    人は文明が発達して 他の生き物たちより 優秀だと勘違いしているようですが
    ジャングルなどに入ったら 手も足も出ない弱い生き物なのですから
    他の生き物たちに 敬意を示して 地球上で 良い関係で共存していきたいですね。

  • 初めて読む山極先生の本として、わかりやすくまとまっている。

    私が読んで思うのは、ゴリラって優しいってこと。人間より圧倒的に体格、力ともに上だけど、敵に対して警告はしても、いきなり致命傷を与えるような攻撃はしない。人間は残念ながらいきなり発砲したり切りつけたりする者がいる。それどころか直接自分に害を与えない人間さえ殺すことがある。
    「でも、彼らと共通の先祖を持っている人間も、かつては当たり前のようにいろんな生き物たちと、森でいっしょに暮していました。だから、敵と思えるような悪さをする動物とも共存できることを忘れてしまっているだけで、人間も本当はそういう心を持っているはずだと、ぼくは思うのです。」(p29)

    ゴリラの日常は(人間に脅かされない限り)非常に平和で満ち足りている。
    朝起きると食べものを探し、朝食。そのあとは遊んで、昼寝。夕方に木の枝や葉っぱでねぐらを作って寝る。子どもは大人に甘えたり叱られたりしながら社会性を学び、親はうまく子離れをする。読んでたら、ああ私もこういうゴリラ社会でゴリラとして暮らしたい、と思ってしまった。しかし、もちろん他の動物、とくに人間に脅かされることはある。密猟者にいきなり銃で撃たれたり、命を支える森を伐採されたり焼き払われたりすることもあるから、完全に幸せなゴリラ生っていうのも少ないのだろう。

    言葉を使わず気持ちが通じ合える集団は人も類人猿も10~15人(頭)というのも面白い。これはスポーツチームの人数とほぼ等しい。(p54)顔と名前が一致するのは150人くらいまでで、これは狩猟採集民の共同体の人数。これを超えた人数と交流できるのは「言葉」があるから。(もちろん書き言葉の役割は大きい)しかしそれによって、個々の関りは希薄になる。

    戦争の原因を考えるところ(p75~)も、子どもにとって刺激的な学びとなると思う。

    ダイアン・フォッシーとの交流についても書かれていた。彼女のことは『サルなりに思い出すことなど』で人となりと研究者としてどうだったかが(愛情をこめて)書いてあったことを思い出した。

    ジェンダー的に気になるところがちょっとあったが。

  • *推薦者 (農教) K.H
    *推薦文 ゴリラの家にホームステイした?研究者の熱さが伝わってきます。15歳の…とついていると手に取るのを躊躇してしまうかもしれませんが,逆にそれだからこそ,著者の思いがストレートに伝わってきます。自分ってどんな人間?って悩んでいる時には、他の霊長類から見るとヒトってどんな?と考えると教わる事が多いようです。
    *所蔵情報 http://opac.lib.utsunomiya-u.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00326171&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  •  数年前に、土曜の午後のラジオを聞いていたら、山極先生がゲストで話をされていた。ゴリラの群れにとけこんで調査をしていて顔見知りになったゴリラと、その数年(十数年?)後に再会したときに、山極先生だけでなく、そのゴリラも、やぁしばらくだなぁという感情を持ったというような話だった。
     最近、山極先生は「家族進化論」という本を出された。それも読みたいと思っているが、まずは入門編として、この「ゴリラは語る」を読んでみた。ゴリラ同士のけんかが、あまりひどいけんかにならないのはなぜか、など人間社会の変化と対比すると面白いことが書いてあった。

  • 霊長類学者・山極氏がアフリカでゴリラ一家にホームステイ、彼らを人間の「鏡」にして、人間の見方を変えるという主旨で書かれた本。
    学校とは違う「出会い」の場として、様々な知識に関心を持たせるための「15歳の寺子屋」のシリーズの中の一冊である。
    この本から学んだ点を以下にメモしておく。
    ・ほとんどのゴリラはリーダーとなるオス一頭と複数のメス、子どもの10頭ほどで集団生活している。
    ・オスは13歳ぐらい(人間でいうと20代前半)から背中の毛が白くなる。集団の中心になる背中の白いオスを「シルバーバック」、まだ、背中が黒いままのオスを「ブラックバック」と呼ぶ
    ・フィールドワークをしていると、ゴリラの間にルールのようなものが存在していることがわかる。
    ・ゴリラはサルと異なり、顔を覗きこまれても視線をそらさず、目と目を合わせる。
    ・ゴリラの会話の中でいちばん特徴的なのは、「グコグコグコ」という笑い声
    ・母親は見事に子離れするため、子どもは父親を頼りにする。父親はケンカの仲裁に入ったり、許容力が高く、懐が深い。
    ・ゴリラはケンカが始まれば群れの誰かがすぐに止めに入る平和で穏やかな動物
    ・人間は「土地」を所有することに執着するようになっから、衝突やトラブルを起こすようになった

  • 「からだの美」で紹介されていて、読みたくなった本。
    15歳の寺子屋というシリーズだから、それくらいの年代向けなのだろうけど、大人も面白い内容だった。
    ゴリラは人間の「鏡」という表現が好きだった。山極先生のゴリラへの愛と人間であることの謙虚さが伝わってきて、心洗われる。

  • ゴリラの集団の中に入って観察する。
    リーダーはシルバーバック
    集団で生きる動物は乱婚、つがいで生きる動物は単婚。人間は集団で生きてるのに単婚という独特な生きた方なので歪みがあるのでは。
    ケンカもするけど暴力にはならない。自己主張はするけど他のゴリラが止めにきて終わる。
    エコツーリズムで雇用にもつながる。

  • 15歳の寺子屋シリーズの山極寿一さんバージョン
    2012年の作品ですが、2014年には京都大学の総長になっています。また現在では退任されていますが、2020年の任期まで勤められたようです。

  • ゴリラの研究者である著者の生い立ちからはじまり、ゴリラから学んだ数々の教えが、わかりやすい言葉で語りかけるように綴られている。

    会話や遊びを通して他人と共感すること。自分のことばかりでなく、人のために生きるということ。争いは平和のためにあるということ。自然を大切にするということは何に繫がっているのか?エコ・ツーリズムに抱く希望について。
    身近な家族、そして他者との関わり(友人や恋愛)について思い悩む思春期の人達へのメッセージ、15歳の寺子屋シリーズの一冊。男女関係なく、大人にも是非読んでもらいたい。

    人間社会では父の存在感が薄い。ゴリラの国では、オスはメスや子に認めてもらうこと無くして成長しないという観察眼に心打たれた。個→家族→集団。どこに属しているのか、自分の立ち位置を把握してこそ、日々を生きられる。ゴリラは私たち人間の鏡である。

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著者プロフィール

第26代京都大学総長。専門は人類学、霊長類学。研究テーマはゴリラの社会生態学、家族の起源と進化、人間社会の未来像。

「2020年 『人のつながりと世界の行方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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