クエーサーと13番目の柱

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 343
感想 : 65
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062177696

作品紹介・あらすじ

元写真週刊誌の記者・タカツキリクオは、謎の雇い主カキオカの依頼のもと「Q」と呼ばれるアイドルのパパラッチを行う、モニタリングチームの一員。最新機器を駆使し、綿密なチームプレイで最新のターゲット、ED(エクストラ・ディメンションズ)のミカを追い詰めてゆく。ところが、新たにメンバーに加わったニナイケントという男が少しずつ不審な動きを見せてきたのと同時に、チームのメンバーたちが次々と何者かの襲撃を受け始める。敵の正体もわからないまま、一転して追われる側になったタカツキが取った行動とは――!?

感想・レビュー・書評

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  • うーん、中堅芥川賞作家なのに久々に外れました・・・
    一気に読めるからつまらないとは言えないのかもしれないけど、なんだかなあ・・・
    前情報でTVや書評が「スリルとサスペンス!手に汗握るノンストップエンタメ長篇!」みたいにいうから期待しすぎたな。

    主人公はパパラッチで、資産家からアイドルの監視を依頼される話です。
    序章で、ダイアナ元皇太子妃の事故死について詳しく語られるから、それがどう繋がるのと期待させられるんですけど、結局しょぼーいオチでした。
    スリルとサスペンスも半端だし、かといって著者の主張も伝わってこないし、雰囲気作りに終始した中身のない小説に感じてしまった。途中で主人公の視力が回復する意味もよくわからなかったし、登場人物の名前がすべてカタカナ表記だし、雰囲気づくりのために色々してるのはわかるけど読みにくかっただけなんだよね。

    この著者の本初めて読んだけど、これが実力?一番有名な「ピストルズ」読んで判断したほうがいいかな?

  • 神町サーガではない阿部和重。リアルとフィクションの境目が曖昧になる絶妙な加減。その辺りのグレーゾーンの描き方が好きな作家である。著者のアイドルヲタクっぷり(?)が反映されたかのようなキャラクターが蠢くNPNやIPのような寒色の似合う物語。タブーに切り込むという意味ではNPNに似ている。

  • 現代音楽を聴いた時のような感じ。新しい、高尚そうな雰囲気だけで、結局新しいのか何なのか…

    正直なところ、全く面白さは分からなかった。
    最初の方の細かい行動説明は退屈で、断念しそうになりながらも何とか読み進めた。
    何か意図があるのだろうとは思っていたが、どうやら、疾走感や緊迫感を出す狙い?(帯や星多い方のレビューから)全く感じなかった…
    後半、やっと話が進展したが、でしょうね、という展開と急過ぎる主人公のチート能力。

    なんか、新しいジャンルに触れたのかな?(面白くはないけど)という感じはしたので、星2つ。


  • 伊坂幸太郎さんとの共著で知った人。この人の本ちゃんと読んだの初めてだったが、全てにおいてこんな感じなのか?正直面白さが分からなかった。

  • 私の好きな阿部さんのくどくどした面白さがあまりない作品。
    映画のような面白さはあるけど、これを小説で書く必要があるのかなと、正直読みながら感じてしまった。
    でも、章が変わるたび、何年何月、時間、場所などが記録のように明記され、読者である自分が作中の人物たちをモニタリングしているような感覚になる。
    それを意図してこういう書き方になってるのかな…?
    引き寄せの法則。彼が救い出したもの。あっ…解った、ような気がしたけど、やっぱりうまく理解できなくて自分にもやもや。
    エンディングが余韻を残します。

  • 面白くなかった。
    残念。

    物語として読むと損するので、こういう文章もあるのかと考えて捨てる本。

  • 雑誌記者を辞め、若手投資家に雇われてアイドルの私生活を監視する『タカツキ』だが、周りで『引き寄せの法則』という言葉を耳にするようになってから歯車が狂い始める。


    会話以外は状況説明に徹する文章は脚本を読んでいるかのよう。これには慣れるが、思惑があってのことなんだろうけど、登場人物名が全てカタカナ表記なのは読みづらい。
    冒頭はかのイギリス王妃だった故ダイアナ妃の事故の描写から始まる。ちなみにあの事故でぶつかったのが13番目の柱。クエーサーとは準恒星状天体(非常に離れた距離に存在し極めて明るく輝いているために、光学望遠鏡では内部構造が見えず、恒星のような点光源に見える天体のこと)だそうだ。これがどう絡んで行くのかと期待していたのだがちょっと興ざめ。引き寄せの法則に関しても同じことが言える。
    主人公の朝の様子が何度か出てくるが、まるで同じような光景が描写される。これは繰返しや追体験を印象付けるためなのだろうか。
    道中のチームでの監視活動はそれなりに楽しめたが、唐突感のあるラストと全体的に素材のまとまり感が無くしっくりこなかった。

  • 2014/6/16購入
    2020/4/5読了

  • わけのわからんものを、わけのわからんもののまま押し切ってストーリーにしてしまう、阿部節の真骨頂な感じ。オチは賛否ありましょうが・・・初期のABC~とかインディビジュアル~が好きならお勧め。

  • なかなか辛辣な感想が多いようだけれど読んだらしっかり面白かった。旬の短い設定の上に、ごちゃごちゃ散漫なセンテンスから無理矢理のこじつけで意味を見出し、暴走するドライブに乗って収束するラストまで衒いない図太さで押し切る。で、いきなりトム・ヨークの左右非対称の両目の瞬きを想起させてぷつんと終わった。唐突なクローズアップは反則技だけどそんなの全く構いやしない。そうだったのか、あの眼差しで二つの意味のQを観察していたのか‥と妙に納得してみたり。強引さと優しさの交わりがあの瞬きなのだね、と私も強引にこじつけてみた。

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著者プロフィール

1968年生まれ。1994年「アメリカの夜」で群像新人賞を受賞しデビュー。1997年の『インディビジュアル・プロジェクション』で注目を集める。2004年、大作『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞、第58回毎日出版文化賞、2005年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞受賞。『シンセミア』を始めとした「神町」を舞台とする諸作品には設定上の繋がりや仕掛けがあり、「神町サーガ」を形成する構想となっている。その他の著書に『ニッポニアニッポン』『プラスティック・ソウル』『ミステリアスセッティング』『ABC 阿部和重初期作品集』など。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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