ふたつの月の物語

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著者 : 富安陽子
  • 講談社 (2012年10月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062178808

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ふたつの月の物語の感想・レビュー・書評

  • 奇妙な里子の条件に一致した美月と月明は湖畔に建つ湖月荘へ行くことに。里親の津田さんに迎えられるがふたりを歓迎しているようには見えない。
    津田さんが留守の間に湖月荘を探り開かずの間を発見。開かずの間にあった資料には、昔湖の底に沈んだ弓月村の年中行事や風習、そして不思議な神事について書かれてあった。津田さんはふたりを湖月荘に呼んで何をしようとしているのか…?

    章のタイトルとタイトルの下にある少しずつ満ちていく月の絵が私の心をくすぐる。
    弓月村で昔起こった事、津田さんの過去がわかった時、津田さんのしようとする事が見えてくる。津田さんの選んだ道は正しいものではないかもしれないけど、きっと私も同じ事をすると思う。それは哀しく切ないけどハッピーエンドと思いたい。

    児童書とあり物足りない感じもしたけど、この仄暗く悲しいにおいがする物語は暫く心に残るだろう。

  • 捨て子で、育ての親に先立たれた少女、あかり(月明)と、養護施設で育った美少女・美月。彼女たちは津田節子という老婦人から突然『養子にしたい』と言われ、手始めに夏休みを津田の別荘で過ごすことになる。
    ひと夏を森の中で過ごすことになったあかりと美月は、次第に老婦人の秘密に迫っていく。

    夏の杜というある種独特の閉鎖空間が舞台になっており、その整った舞台に引き込まれた。
    そんな不思議な舞台で、あかりと美月がだんだん仲良くなっていく過程が微笑ましい。
    津田節子が二人の少女を何かの犠牲にするつもりなんじゃないかと気が気じゃなかったんだけど、それどころか、この老婦人は悲しい過去を背負った人物だった。
    最後に彼女が選んだ道が切ない。

    余談だけど、夏という季節はタイムリープと合うよなぁ。何でだろう。ちょっと考えてみるか。

  • おもしろかった。
    謎めいた条件の中、養子候補として見つけ出されたみづきとあかりの二人は、やがて出生の秘密や里親の事情を知ることになる…。
    表紙のイメージからして、ミステリアスで静かなお話になるかと思ったけど、半分外れた。みづきは正にそんな感じの美少女だったけど、あかりは実に普通の子って感じだったので、おっと意外、と思いつつおかげで安心して読み進められた部分も大きかったような気がする。

  • 生き別れのふたごの少女。ふたりに秘められた力。ダムに沈んだ村と、そこにあった秘められた儀式。などなどワクワクする要素がぎゅっと詰まっています。
    ひと昔前の少女まんがを思わせる展開に心を奪われました。なにせ、身寄りのない少女が、謎の富豪の養子候補として別荘に呼ばれるという、いかにも! な幕開けですし。そういう仰々しさは扱いいかんによっては寒々としたものになりますが、この作品ではまず酒井駒子による表紙絵が、その仰々しさを受け止める入り口として作品を盛り立てる役割を担っています。あとは僕がこの手の物語が好きだから、余計に楽しめたというのは大きいでしょうが。
    ファンタジーを土台にホラーで味付けし、SF要素に繋がるエンターテインメントの幕の内弁当的な作品です。本を読むことが面白くなってきた頃合いにオススメしたいですね。

  • 養護施設で育った美月(みづき)と、たった一人の家族だったおじいちゃんを亡くしたばかりの月明(あかり)を、養子にと申し出てきた老婦人がいた。
    老婦人の出した不思議な条件に、二人の出生が合致していたのだ。

    老婦人の湖畔の家で初めて対面した二人は、お互いの持つ不思議な力に戸惑いながら、謎の多い老婦人が二人を選んだ理由を探り出す。

  • “月”に纏わる名前を持つ身寄りの無い二人の少女が、資産家の老婦人の元に引き取られ、そこで解き明かされる奇妙な事実…。児童書だけれど大人も十分に楽しめる、完成度の高いミステリアスなお話で、続きが気になって一気読みでした。

  • 気になっていた本だけど、夏まで待ってました
    ちょうどいい季節 長野や岐阜あたりのダム湖の静かな感じ
    駒子さんの雰囲気がまたあってます
    そう、狼関連でトラクを思いだしました
    あの物語も夏に読んでたんだ

    主人公の二人は、うまく再会できたかな
    節子さんは、悔やんでいたことを反故にできて本当によかった…

  • すごい話だった。全体的に悲しみに覆われているけれど、読み進めずにはいられなかった。
     養護施設で誰にも心を開かずに育った美月(みづき)と、お寺のおじいちゃんに拾われて愛されて育った月明(あかり)。二人で出生の謎を探っていく過程はドキドキした。その秘密は暗くて悲しくて、ちょっと怖そうだったから。
    でも、冷静で聡明なみづきと、明るくて行動的なあかりの対比は楽しい要素だった。
     最後はやっぱり悲しくて、涙が出てしまった。
    みづきとあかりには、湖月荘での記憶は残っているのかな? 残っていて欲しい。せっかく絆が生まれたんだから。

  • 読み始めたところから最後まで「わくわく」して
    読むことができた。
    二人の特殊能力がどのように発揮していくのか、
    二人を集めた老婦人は何を期待しているのか、
    読み進めるたびに引き込まれる感じがした。
    最後はせつない話ではあるが、果たしたいという
    願いが叶い、読み終わったあとにほっとした。

  • 【図書館】富安陽子さんの作品のファンになり、表紙が、酒井駒子さんだったので、手にした。延長→返却→再貸出→で、やっと読了した。切なくて哀しい物語でした。

  • 富安作品をあまり読んだことがないので、表紙と神様が絡むということでこれを選びました。

    養護施設で育った美月(みづき)と育ててもらった住職のおじいちゃんが亡くなり行くあてのなくなった日明(あかり)。

    この二人を里子にしようというのが、70歳の津田節子。
    彼女が出した条件は、
    1 14年前の4月の生まれた子どもであること
    2 両親および血縁者がひとりもいない、あるいは所在が不明であること。
    3 出生場所、出生時の状況が不明であること
    4ただし出生につながる手がかりを有していて、その手がかりはなんらかのかたちで月に関連していること

    二人は夏休みの一か月間、

  • 孤児院で生まれ育った美月(みづき)と、
    育ての親を亡くしたばかりの月明(あかり)。
    奇妙な里子の条件に一致した二人は
    謎の富豪・津田節子の別荘に招待されるが…

    表紙に惹かれて読んでみました。
    和風ファンタジー、というよりは日本文化に
    沿った王道ファンタジー。
    生き別れになっていた双子の少女、
    ダムに沈んだ村、村で信仰されていたという
    狼の姿をした「真神」、村で行われていた儀式
    禁忌の儀式のために辿った哀しい結末…

    児童書なので大人が読むとやはり物足りない
    感じは否めませんが…
    ただ、明るいファンタジーではなく
    「命が生まれるのは奇跡で、やがて死ぬのは必然」
    など、ちゃんと考えさせられるテーマも
    書かれていますので、本を読み始めて
    色んなジャンルを読んでみたいなと
    思い始めたくらいの年頃の子供さんに
    オススメしたい良い本でした。

  • 名古屋が誇る児童書専門店、メルヘンハウスさんにて完全なるジャケ買い。酒井駒子さんの描く哀しげな双子らしき少女の表紙がきれいで、手に取らずにはいられなかった。

    双子の少女の物語って神秘的で好きです。離れ離れにお互いを知らず、全く異なる環境で育った 美月と月明、どちらも月にまつわる名前が付けられている。そして、二人とも不思議な力を持っている。

    里子に招かれた二人が不思議な別荘と、ダムの底に沈んだ村、神社、の女主の秘密を少しずつ知り、自分たちの出生の秘密に気づきいてしまう…

    こういう、日本の文化が背景になったファンタジーっていいですね。中学生くらいのお嬢さんにもおすすめしたいです。

  • とても雰囲気がしっかりしている物語だった。
    世界にほころびがないというか・・・
    表紙の絵にふと気持ちがひかれて、そのまま物語の世界に入っていけた。
    無数にのびた可能性の枝から、最終的に選ばれた未来も、これで良かったと思えるもので、うん。良かった。

  • 二人の月に関する名前を持った女の子の話。出生の秘密、集められた理由、秘密の欠片が集まっていく。心に残るいい話であった。

  • ことばづかいが適切で、簡潔なのに奥が深い物語を紡ぐ。ストーリーテラーというのはこういうことだと思う。いつも巧みな物語で惹きつけられる富安さんなのに、子ども向けの話ということで、知る人が少ないのがもったいない!
    出生に秘密をもつ双子の女の子、美月(みづき)と月明(あかり)は、ある目的のために、別荘に招待される。秘密が明らかにされるが、その裏に、かなしい物語が隠されていた・・・。もういちど、この魅力的な二人にぜひ会いたい。

  • 富安陽子が得意な「ふしぎなもの・こと」をめぐる、女の子ふたりの「出会い」の物語。作者のなまえを見ずに読みはじめたら、富安陽子の作品だとは最後まで気がつかなかったかもしれない。これまで読んできた彼女の作品とは雰囲気が異なり、「おもい」ファンタジー。酒井駒子の装画も「おもさ」を伝えている。対象年齢も主人公の女の子ふたりと同じ中学生以上からだろうか。

  • 十五夜読書にて。
    謎めいた幕開けから引き込まれました。
    不思議な力を持つ2人の少女、湖底に沈んだ村、月読神、大口真神、魂呼び、、、と私の好みのツボを付いてくる作品でした。
    民俗学的要素の絡め方も巧くて魅力的に描かれています。
    QEDとか好きなので薀蓄てんこ盛りも大好物ですが、くどくならない程度に自然と物語に組み込んでくるこういう作品もとても好きです。
    ”お調子者=ポップコーンの匂い”とかの表現も面白い。
    最後の節子さんの決断は少し哀しさが残りますが、良い幕引きだったと思います。
    美月と月明のその後の物語が読みたいな。

  • あかちゃんの時に捨てられ、それぞれ養護施設とお寺で育てられた美月と月明は、14年前に捨てられ月に関する印(名前)を持つ女の子という条件で里親を希望する女性の山の家に行くことになる。初めて出会った二人は、互いの中に惹かれあうものを感じ取る。

    ダムに沈む村にまつわる言い伝えを元に、過去と現在を行きつ戻りつ、二人が呼び寄せられた真相に迫る。

    ミステリアスなファンタジー。

  • 2人の月を名前に持つ女の子の話。

    と言いつつ、2人の女の子を引き合わせた
    津田さんのお話でもあるんじゃないかと思った。

    狼とか神様とかの神話の要素が入った
    ファンタジーがすごく好きなので、とても面白かったです。

  • 個人的に好きな物語。
    読み終わった後、切なさが残った。

  • 表紙からして暗かったので、少し読むのをためらいましたが、読んで正解でした。
    話の展開は、割と早いです。でもそれが読んでいてちょうど良い感じでした。
    物語は昔話と、神話と、ファンタジーが入り混じった感じで、明るく楽しい話ではないけれど、こういった雰囲気は好きです。
    最後は物足らない気もしましたが、あとを想像させる良い終わり方でもあるように感じます。

  • 施設育ちとお寺の養女、ふたりの女子中学生が主人公のファンタジー。
    身寄りのないふたりが、面識のない富豪の老女から養子にしたいと請われ、夏休みを彼女の別荘ですごすことになる。
    ダムの底に沈んだ村、湖のそばの別荘、出生の秘密…

    「花の館に」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4061956442や「帰命寺横町の夏」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4062171732を彷彿とさせる雰囲気。
    だからもっと徹底的に“どこかのおはなし”にしてくれればワクワクできたのに。
    半端に現代日本っぽいから、現実と比べてしまう。

    たとえば施設に金持ちの代理人がきて、条件によって抽出した子供をろくに会いもせずに養子にしようとする。
    しかも14歳の女の子を、いきなり長期間遠くの別荘に滞在させたいという。
    寄付金をつかませてこちらの条件は詮索するなという。
    そしてそれがまかり通る。
    いやそれ人身売買だよね?

    こういうのは、おはなしの中の「養女にとる」ならありだけど、実際の児童養護施設や「養子縁組」を連想させる書き方だとぞっとする。
    実際にある状況を雰囲気だけで描くと、実際にそういう状況にある人たちの姿をゆがめてしまう。

    キャラクターも、みるからに物語世界の住人なみづきの隣では、がんばって「いまどきの中学生」にしようとしたようなあかりが浮く。
    女子中学生の身長は成人女性とそんなにかわらないのに、もっと子供だと思っているようだとか、
    民俗学、心理学、脳科学の組み合わせは珍しいほどの越境じゃないとか、いろいろと違和感がある。

    津田さんの選択は、結局自分のことしか考えてない。
    彼女が自分と同じように苦しむとは思わないのか。
    姑根性の嫌がらせだろうかとまで邪推してしまった。

    年号も特定せずに、もっとファンタジーに徹してくれれば楽しめたと思うんだけどな。
    主人公も10歳くらいっていわれたほうがしっくりする。
    面白くなりそうなだけにすごく残念。
    表紙は素敵。

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ふたつの月の物語の作品紹介

養護施設で育った美月と、育ての親を亡くしたばかりの月明は、中学二年生の夏休み、津田節子という富豪の別荘に、養子候補として招かれる。悲しみのにおいに満ちた別荘で、ふたりは手を取りあい、津田節子の思惑を探っていく。十四年前、ダムの底に沈んだ村、その村で行われていた魂呼びの神事、そして大口真神の存在。さまざまな謎を追ううちに、ふたりは、思いもかけない出生の秘密にたどりつく…。

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