七緒のために

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著者 : 島本理生
  • 講談社 (2012年10月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062179829

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七緒のためにの感想・レビュー・書評

  • この間、久々に中学校の友人と会い、お互いのだけでなく同級生の
    近況報告もしていたところ、意外に当時のことって覚えているもので。

    「あの頃、みんなちょっとおかしかったよね」
    「中二病というか思春期だったんだろうね」
    「みんな今は落ち着いたもんだよね」

    …と意見が一致しました。

    当時は仲良かったはずなのに、卒業以降は一度も会ってない子もいたり、
    つまらないことで仲違いをして、卒業のころには口もきかなくなっていたり。
    今なら傷つけあわない距離を保って、落ち着いた関係が築けるのかな。

    ふわふわとした不安定な時期。
    何であんな小さなことを一日悩んだりいざこざの種にしていたのだろう。
    つまらない見栄は今だってはってしまうけれど、中学生のときのそれは、
    自分の居場所を作るための必要な過程で。
    嘘吐きだって蔑まれても、それをやめることができない。
    あの頃の私たちの中にも「七緒」はいたんだろうと思う。

  • 島本さんにしては珍しく女の子二人のお話。読みやすかった。


    七緒と雪子は多感な中学生。
    珍しくダメ男が出てこなかった。(来栖先生が、かなりあやしかったけど)


    自分たちの思春期の頃、こんな感じで
    昨日までべったりだった子が、些細なことで手のひらを返したように
    「絶交」になり、もう卒業まで話さない。
    卒業間近になって、なんであの子と絶交になったのかさえ
    忘れてしまって、でももう甘い関係は戻ってこない。
    All or Nothingな世界。危うい時期。


    現在はもっと複雑で過激で・・・。
    信じられないような事件が多くって・・・、鬱積、抑圧された
    行き場のないおもいが ちょっとしたボタンのかけ違いや
    言葉一つで引火・爆発して
    凄惨な事件に発展してしまうような気がする。 
    自分の子供を社会に出すのがこわい世の中になってしまった。


    私は「七緒」みたいだった時期がある。
    「雪子」だったこともある。
    七緒のまさかの「超能力者」発言に私は笑えなかった。痛いくらい
    気持ち分かるから悲しい・・・というか、切なかった。

    『最も悲惨な貧困とは孤独であり、愛されていないと感じることです。』
    という、マザーテレサの言葉を思い出しました。

    二人とも生まれて「祝福」を受けることなく、両親から愛も与えてもらえなかったんだろう。
    きっと心も体も「嵐」でもみくちゃ状態だ。

    七緒は小さな女の子が泣きながら「私だけを見て」「頭を撫でて」
    「ぎゅっと抱きしめて」「愛していると言ってよ、パパ、ママ」
    と、幼子が駄々をこねて、すねているようなイメージ。
    (七緒 丸ごとインナーチャイルド)

    「いつか大人になる日まで」の朝子をソフトにしたような
    そんな印象を受けました。

    30歳前後なのに、10代の頃の気持ちが分かったり
    そのまま引きずっているのなら、生きづらいだろうな・・・島本さん。
    「七緒」の原型が島本さんなんだろうなぁ・・・と勝手に思ったりしました。


    「水の花火」は瑞々しくって「きみが降る日」のライト版のような・・・。
    結構スキだな~と思ったら、デビュー直後の初期作品だったようです。
    こういう新旧の組み合わせ新鮮でいいと思います。


    デビューしてまだ10年くらいしか経っていないのに
    この成長っぷり。。。すごいわぁ~。

    どーしても受け付けない「ナラタージュ」読んで、
    長くて疲れそうな「アンダースタンド・メイビー」読んで
    島本さん作品コンプしたい。


    最近「あとがき」が素直で素敵な島本さん、成長しているなと
    感じる、親戚のおばちゃん目線な私です。
    帯の辻村深月さんの紹介文も素敵です♪

  • 境界性人格障害なんて言葉で語るのは大げさで、興醒めだけど…そういう少女達の物語。
    多島斗志之『症例A』、サラ ウォーターズの『半身』を思い出した。
    彼女のような女の子は同じ空洞を抱えた女の子を見逃さない。だって、求めていた理想のオーディエンスだから。そして次第に狂気は感染していく。互いに同じ周波数で共振し、嘘をついついるのはどちらか、狂っているのはどちらなのか、わからなくなってくる。どちらにしても、一人称の小説のなかの「嘘」は注意してかからないと。

  • 表題作は完全に愛着障害の物語。
    終わり方がとてもリアル。どうしたらいいかなんて真っ最中には難しい。
    『水の花火』はタイトルすごいなあ。

    島本の作品、親の居るんだけど居ない感じは変わらない。いまの世の中、いっぱい居るんだろうな~そういう子。島本もわたしも含めて。

  • 女同士の友情って、難しい。その上、うっとおしかったりもする。
    微妙な駆け引きや、強がり合い、探り合い、ヤキモチ、わがまま・・・
    例えば、一緒にトイレに行くような仲良しごっこがすごく苦手だったから、この本を読んでいるあいだ、重苦しく、気が塞ぐ感じだった。
    ここを通り過ぎて、もう戻らないでいいというのは、私にとって大きな救いだ。

  • カッターが出てきたあたりで読むのをやめました。こういうのは無理でした。ナラタージュの柚子ちゃんの手紙でも痛い描写がありましたが、こちらもいやですね。
    「女の子どうしの濃密な友情」ってレズ系かと思いましたが、そうでもない。

  • いつも感じるような息苦しさに似た切なさとは少し違う感じ

    なんかただ漠然と伝わってくるような・・こないような(笑)


    痛いところに無理やり押し入られる苦しさと
    痛いところに無理やり押し入る苦しさは等しいのかもしれない
    -水の花火-より

    この本を集約すると上記の一文になるかもなって私は感じました

  • 面倒くさいけど、読後感は爽快だった。まるで謎かけのよう。二人とも面倒くさい(笑)。でも、思春期の女の子ってそういうものなのかもしれない。
    決して好きなお話ではないんだけど、嫌いでもない話。
    似ているけど、まだ水の花火だっけ?二作目の方が七緒が出てない分(笑)読みやすい。

  • ●七緒のために

    嘘をつきつづける女の子と壁のある女の子、思春期の女の子ふたりきりの世界がリアルに描かれています。
    思春期独特の世界の狭さ、一度対応を間違うとドミノのように全てが崩れてしまう感じ、腫れ物にさわるような周囲の対応。
    どれをとってもリアルで、いい意味で居心地の悪さを感じました。

    ●水の花火

    最も仲良くしていた女の子が暴行被害に合って転校してしまった後の、親友の話。
    背景は重いけれど、水や花火、猫などのモチーフのおかげかどこかさっぱりした読み心地でした。

  • (たぶん)初めて島本さんの小説を読みました。

    ○七緒のために(☆5)
    印象的だったのは主に2点。
    まず、七緒の家を訪ねたシーン。七緒の作話に気づくところでは、こちらも背筋が凍ると言っては大袈裟だが、ぞっとするような感じがした。その後は、七緒がしゃべる度に、悲しかった。彼女の意図や気持ちを汲みかねることが続いたので。

    それから、最終盤。七緒の話で進んでいったストーリー、翻弄された私(そして読者)。それが私に還ってくる。この気づき、すぐにはわからなかったが見事。

    ○水の花火(☆4)
    表題作に比べ苦味が少なくストレートで読みやすかった。
    「そんなのは誰と一緒にいたって同じことだよ」
    「今から友達になるには近すぎる」
    優しい人なのだろう、草木君も川本さんも。

  • 痛々しい。七緒も、雪子も。
    どろどろした感情が渦巻いて始終気分が悪かった。
    確かにあの頃のわたしたちには"七緒"や"雪子"が居たんだろうな。
    時が経つとこんなにも遠いもののように感じてしまうけど。
    共依存。どんな形でも傍に居てほしいと願う痛々しさに苦しくなった。
    そしてそれは絶対に壊れるとわかっていながら。

    "女の人は、けっして女の人を心から好きにはなれないんだよ"

  • 「水の花火」の雰囲気がすごく好きだな~と思ったら、島本さんにはまるきっかけになった初期の頃の作品だった。なるほど。

  • 淡いけれど、確かに存在した思春期の女の子の気持ちをより濃くした感じがした。

  • 思春期の不安定な心持ちがどーんと前面に出てて苦しくなるくらい。
    こんな時期を過ごしたな。
    そして自分の娘をこんな時期を迎えるのかと思ってぞっとした。

    もう一編の水の花火は希望が感じられて良かった。

  • 「七緒のために」
    家庭環境の複雑さのせいで思春期特有の痛々しさが黒歴史レベルで神がかっている女の子とそんな彼女を救おうと見せかけて逆に彼女を自分に無償の愛を与えてくれる存在に仕立て上げたかった女の子のドロドロした話。
    しかしその家庭の描写がわざと極端に削り落としているせいでとっつきにくい。
    いい意味で気持ち悪くなった。

    「水の花火」
    お姉ちゃんに似ているから好きだったと思い込んでいたけれど、単純に好きなものや趣味が似ていたから一緒にいた、そんな親友が恋をした男の子に対しても、親友を介した膜からしか見れない。もう親友はいないのに。
    こういう不安定な、つっついたら弾け飛んで終わっちゃいそうな関係は大好きです。

  • ■ 1513.
    〈読破期間〉
    2015/2/1~2015/2/2

  • 男の友情の爽やかに比べて女の友情は濃密で粘り気がある。なんらかのきっかけで突然距離を近付けた2人はお互いに自分の体を預けすぎ、一見それはバランスが良い様に見えるが実は違う。どちらかが気を抜けば儚く壊れていくほど本当は不安定なバランスなのだ。それに2人は気付かず、かつ自分の体だけでなく心も預けすぎてお互いを滅ぼしていく。そしてボロボロになった2人の心体はついに離れる。

    女の子はある時期いきなりくっつき、いきなり離れるということがよくあるが、時が経って思い返すとその期間というのはかなり不思議だ。なぜあんなにもずっと一緒にいたのか、離れた今では分からない。ただ不思議な引力で磁石のようにパートナーを見つけ、くっついた。きっとあの時期、わたしにはあの子が必要であの子には私が必要だった。そして必要な時期がすぎ、磁力は弱まり自然と離れていった、七緒と雪子の関係もそんな感じである。

  • 女子同士の濃密さと苦しさ。先の見えないことにもいつか巡ってくる平穏を信じて待っている。ほか、「水の花火」一遍。言葉がとにかくきれいで切なくて悲しい。きれい、きれい、きれい。

  • 思春期の女の子の友情ってこんなもんだよね〜ってそういうどす黒さ。どんな理由であっても自らを傷つけることは正当化されるべきではない。

  • 思春期特有の少女の感情はどろどろとしていて、今も、きっと同年齢の頃に読んでいても、居心地の悪さを感じただろうと思います。
    ふとした風景描写に既視感を覚えるなあ、と、そんなさらりと読ませる作風は好きです。

  • ヒリヒリと心が痛くなる表題作と2001年のデビュー直後に書かれた「水の花火」の二編を収録。虚言癖のある友人・七緒と、以前の学校でいじめにあい転校してきた雪子。ふたりの近づけば近づくほどに遠くなる、お互いが理解できなくなっていく表題作は少女時代特有の悩みや痛さが書かれている秀作。七緒は友人だと厄介なんだろうけど彼女はそうでもしなきゃ自分を保てなかったんだろうなぁとも思う。島本理生の書く少女はやっぱり痛々しい。2013/151

  • あとがきにとても納得した。雪子は七緒のまっすぐとは言えないSOS、求愛を受け入れるには孤独すぎた。学生時代のことが蘇ってきて、あの一瞬のきらめきをとても愛しく思った。

  • ・七緒のために
    藻屑と渚を思い出した。少女同士の危うい関係性が好き。求めてほしいから無理をして、無理をしたから求められなくなる七緒も、自分は全てうまくできていると大事な友達を小ばかにして自分を保っている雪子も見てて痛くなるけれど愛しい。

    ・水の花火
    こっちを表題作にすればいいのにってくらい好きな作品。叶わない恋とかそんなんじゃなくて、始まっているのかもわからない亡霊みたいな恋、終わってしまったのが納得いかないような友情、言葉にすると陳腐なものになってしまうけれど、うう。男の趣味がいいのも好印象です。好きな友達を通してみていたのかな、ってあるよね。通してる友達と仲いい時点で自分のことなのに。

  • 「わたしたちは恋人同士になって抱き合うことはないかもしれない。けれど、今から友達になるには近すぎる。」
    表題作はメンヘラ少女二人の友情とその崩壊。共依存からの脱却はひどい痛みを伴う。二度と交わらないことを覚悟しなければ離れられない、それほどに深く交わってしまっている。相手を好きなのに信じられない。一緒にいたいのにかみ合わない。苦しむばかりの関係にしてしまっているのは自分たち自身なのに。
    もう一話は片思い。すべてを珠紀の向こうに見てしまう。乱暴な方法で珠紀を取り上げなければ、主人公の意志は自立しなかったかもしれない。それでも別れることの苦しさは本物。

  • この本を、中学生の私が読んでいたら、一体どのように感じたのだろう。
    私はきっと、雪子のような女だ。心の中ではいつも嘘ばかり吐いて、表ではひたむきにそれを隠している。なぜだか、そんな風に見えてしまった。

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七緒のためにの作品紹介

二度と還らない友情のきらめき、そして痛み。純粋さゆえに傷つけあう少女の日々を描く、珠玉の物語。

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