- Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062179829
感想・レビュー・書評
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淡いけれど、確かに存在した思春期の女の子の気持ちをより濃くした感じがした。
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思春期の不安定な心持ちがどーんと前面に出てて苦しくなるくらい。
こんな時期を過ごしたな。
そして自分の娘をこんな時期を迎えるのかと思ってぞっとした。
もう一編の水の花火は希望が感じられて良かった。 -
■ 1513.
〈読破期間〉
2015/2/1~2015/2/2 -
男の友情の爽やかに比べて女の友情は濃密で粘り気がある。なんらかのきっかけで突然距離を近付けた2人はお互いに自分の体を預けすぎ、一見それはバランスが良い様に見えるが実は違う。どちらかが気を抜けば儚く壊れていくほど本当は不安定なバランスなのだ。それに2人は気付かず、かつ自分の体だけでなく心も預けすぎてお互いを滅ぼしていく。そしてボロボロになった2人の心体はついに離れる。
女の子はある時期いきなりくっつき、いきなり離れるということがよくあるが、時が経って思い返すとその期間というのはかなり不思議だ。なぜあんなにもずっと一緒にいたのか、離れた今では分からない。ただ不思議な引力で磁石のようにパートナーを見つけ、くっついた。きっとあの時期、わたしにはあの子が必要であの子には私が必要だった。そして必要な時期がすぎ、磁力は弱まり自然と離れていった、七緒と雪子の関係もそんな感じである。 -
女子同士の濃密さと苦しさ。先の見えないことにもいつか巡ってくる平穏を信じて待っている。ほか、「水の花火」一遍。言葉がとにかくきれいで切なくて悲しい。きれい、きれい、きれい。
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思春期の女の子の友情ってこんなもんだよね〜ってそういうどす黒さ。どんな理由であっても自らを傷つけることは正当化されるべきではない。
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ヒリヒリと心が痛くなる表題作と2001年のデビュー直後に書かれた「水の花火」の二編を収録。虚言癖のある友人・七緒と、以前の学校でいじめにあい転校してきた雪子。ふたりの近づけば近づくほどに遠くなる、お互いが理解できなくなっていく表題作は少女時代特有の悩みや痛さが書かれている秀作。七緒は友人だと厄介なんだろうけど彼女はそうでもしなきゃ自分を保てなかったんだろうなぁとも思う。島本理生の書く少女はやっぱり痛々しい。2013/151
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あとがきにとても納得した。雪子は七緒のまっすぐとは言えないSOS、求愛を受け入れるには孤独すぎた。学生時代のことが蘇ってきて、あの一瞬のきらめきをとても愛しく思った。
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・七緒のために
藻屑と渚を思い出した。少女同士の危うい関係性が好き。求めてほしいから無理をして、無理をしたから求められなくなる七緒も、自分は全てうまくできていると大事な友達を小ばかにして自分を保っている雪子も見てて痛くなるけれど愛しい。
・水の花火
こっちを表題作にすればいいのにってくらい好きな作品。叶わない恋とかそんなんじゃなくて、始まっているのかもわからない亡霊みたいな恋、終わってしまったのが納得いかないような友情、言葉にすると陳腐なものになってしまうけれど、うう。男の趣味がいいのも好印象です。好きな友達を通してみていたのかな、ってあるよね。通してる友達と仲いい時点で自分のことなのに。