図書館の魔女(下)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 913
感想 : 146
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  • Amazon.co.jp ・本 (810ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062182034

感想・レビュー・書評

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  • ついに話が動きだした。上巻では本読んで指話作って地下水道を探索しただけのマツリカ様が大活躍!
    戦争を回避すべく3カ国の和睦会議を開くことに。
    ニザマ側にはニザマ帝の病気の治療に必要な薬草を、アルデシュ側には穀物の不作に対する案を提示する。主導するのはもちろんマツリカ。やっと主人公っぽくなってきた。
    会議をまとめ終わるとすぐに自身の左手を封じた催眠術師、「双子座」を倒しに向かう。
    道中ゾンビやら猛毒犬やら身体能力オバケの山の民に襲われるも、なんとか退け憎き刺客と対面する。
    ここで双子座の正体が明かされるのだが、それが何かは読者には知らされない。そこにはただ、「双子座は文字通り双子だったのだ」の文のみ。その後の説明は一切なし。
    (あれ、読み飛ばしたかな?)と思い数ページ戻るも状況は変わらず。ここでの真相は200ページ後くらいに語られるのだが、それまでずっとモヤモヤしっぱなし。
    まさか腕を切断したヴァーシャルヘイがねえ。。
    そのヴァーシャが海へ身投げし、助けに出たマツリカ、キリヒト、傭兵2人のシーンはいいね。
    海面でのマツリカの説法、泣くヴァーシャ、穏やかに揺れる海面。美しい。
    その後の船内で寒さに震えるマツリカとキリヒトが暖め合う場面は、普段恋愛モノなんて読まない自分に心地良かった。純粋ってこういうのだよな、と。
    思春期の男心を持っていないと書けないシーン。作者の精神はきっと童貞だろう。
    そして、一ノ谷へ帰還してからのキリヒトとの別れ。
    見送りに行かず
    「会ったら行くなと言ってしまう」と漏らすマツリカは最高に可愛い。
    それでも手紙は渡す。
    手紙にはキリヒトの昔の名前「アカリ」が縦読みで書かれていて、昔一度だけ口にした自分の名前を覚えていてくれたことに驚くキリヒト。
    「また戻ってきます。必ず」と言い残し一人旅立つ。
    振り返って高い塔を見つめるキリヒトで締め。
    爽やかな作品でした。次作も読みます!

  • 図書館そして言葉を舞台装置にするだけあって、このファンタジーは豊かな語彙で綴られる。知悉に富むマツリカが敵国の農地政策を立案し、穀倉回復を条件に戦争を回避せんとする随分知的な筋立ての上で、マツリカの従順な共人であり、天性と修練による破格な殺戮手腕をもつキリヒトが痛快な戦闘で惹きつける。ただ、場面描写をときに無駄に延ばしすぎでしょ。終盤とて、ヴァーシャの身投げと救出シーンをあんなに長々と、そもそも要る?それよりミツクビの始末とはいかないまでも、タイキに先代キリヒト、そして春宮殿下の描写がもう少し欲しかった。

  • とても、大切な読書体験をありがとうございます。本書に出会えて、とてもラッキーです。
    ファンタジーと思えないような、散りばめられた言語学の講義も、マツリカの発言にも、納得し感動させられました。
    また、最後の「ヴァシリー・ヴァザレリ」と「新しい名は囁かれる」の対比は、彼らの生き方に(今後も含めて)奥深く心に沁みる。
    印象的なフレーズは、
    ★知恵や知識は増えれば増えた分だけ新たな知恵や知識を呼び求めるようになるもので、これは仕方のないことかもしれない。知的好奇心には満腹というものがない。
    ★書物の価値というものは繙くものが、読んでその場で作ってゆくものであるから
    ★読まないでも価値があるかないかが判らなけりゃ司書をもって任じる甲斐がない
    ★どんなに強い札を抱えていても、対戦相手が先に降りてしまってはそもそも勝負にならない
    ★秘密は漏れてなお武器になることがある
    ★現場がわかってないですね。信頼ってのは確かなことが先にあって、信じられるから信じるんでね。無条件なものではないです。
    ★高い塔に踏み込んだ者たちは皆善かれ悪しかれ生涯の岐路を知る。今まで知らぬ世界をいくつも知ることになり、…、地理も言葉も時代の壁すらもやすやすと乗り越えてしまう人の智慧が凝り固まってそこに待っている。図書館の中で世界は時も所も超えて広がる。

  • キリヒトの真実を知った後のマツリカの想いが真っ直ぐな感じがする。

  • ファンタジー好きにはおすすめ

  • 長かったけど、読み終わってしまうのが残念な程おもしろかった。ぐんぐんと引き込まれていった。先が気になって気になって細かい描写や難しい言葉は飛ばし気味でストーリー読みしてしまったので、また読み直したい。

  • 「ことば」を身につけゆくキリヒトと、「ことば」を操る図書館の魔女・マツリカ。二人だけの秘密が、互いの距離を近付けていく。だが、一方で、周囲の強国との緊張関係は高まるばかり。発言力を持つがゆえに、一ノ谷と図書館は国内外から牽制され、マツリカを狙う刺客まで遣わされる。迫る危険と渦巻く陰謀に、彼らはどう立ち向かうのか

  • 下巻では、陰謀渦巻くハラハラドキドキの冒険ファンタジー小説の色彩が濃くなる。上下巻併せて1,450頁は、通勤時間に持ち運んで読むのは若干骨は折れるが、それを凌駕するに十分の満足感を与えてくれる作品。

  • マツリカに使われたい。
    時間かかってしまったから後でもう一度読み直しして言葉を味わいたい

  • 外交で戦争を止める、「戦は嫌でござります」と言うだけではだめで、戦役を起こす原因の解明とその解決策を見つけ、相手に納得させる手管が要る。実に面白い。

    上巻にもあったがバイオテロに「恐水病」を使うことができるんだろうかと考えてしまった。現実問題として日本の野生動物に感染が見つかれば大問題であろう。

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著者プロフィール

2013年『図書館の魔女』(第一巻~第四巻)でデビュー。デビュー作が和製ファンタジーの傑作として話題となり、「図書館の魔女シリーズ」は累計32万部を記録。著書に『図書館の魔女 鳥の伝言』(上下)がある。『まほり』は著者初の民俗学ミステリ。

「2022年 『まほり 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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