あなたにだけわかること

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著者 : 井上荒野
  • 講談社 (2013年5月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062183383

あなたにだけわかることの感想・レビュー・書評

  • お得意の不倫ものだけれど、今回はちょっと趣向が違った。
    主役は不倫をしている男女それぞれの子供、駿と夏。
    大人が秘密の時間を持つ間一緒に過ごした二人。
    ほんの小さな子供だった二人は人生の時折ふと交わる。
    それは愛なんかじゃない、情でもない。
    共犯者に近いと思う。
    そんな二人の関係性が妙にリアルだった。

    親のしていたことが何だったのか理解する年頃になっても、親を責めたり反抗したりしない二人の姿が痛々しかった。
    どうしようもない親をじっと見てきた二人は、どうしようもない大人になる。
    人生の道々で時折交わる二人は因縁から抜け出せないようにも見えるし、それが必然のようにも思える。

    いい人ばかり出てくる小説はどうも好きになれない。
    空々しくて。
    むしろこの作品のように欠陥を抱えているけれどなんだか憎めない人達にどうしても共感してしまう。
    よくよく考えてみるとまともな人が誰一人出てこない。
    それぞれの親も、恋人も、その子供たちも。
    だめな人間だからこそ愛おしいんだと思う。

    井上さんの作品は好き嫌いが分かれそうであまり勧められないが、この小説はよかった。お勧めできるかも。
    独特のざらざらした感覚を残しつつ、サラッと読める。
    そして何といっても最後の最後が切なくて。
    余韻がじわーっと残る作品だった。

  • それぞれの父と母の逢瀬に連れていかれていた幼い少女と少年。
    大人になった2人は、なるべくなら思い出したくない関係、でもときどき思い出してしまう関係になった。

    夏と駿、2人の異常とも言える関係、そこに絡めた2人の人生が、とても興味深く、好みの作品でした。

    2人が成長していく過程で出会った人たちとの繋がり、それぞれへの思い、根底あるのは親の存在。
    幼少期の親の影響力の強さを思い知らされる思いでした。

    最後まで一気読み。
    面白かったです。

  • *密会を重ねる父母の情事のあいだ、それと知らず共に過ごした幼い駿と夏。以来、思い出したくない記憶を封印するも、なぜか人生の曲がり角ごとに出会ってしまう。まるで、互いのおろかな恋愛の証言者のように…。男と女の“恋愛よりも深い縁”を描く長篇小説*
    駿と夏、それぞれの数年ごとの人生が交互に書かれているので、飛ばされた数年の経緯を想像する楽しみがあった。”恋愛より深い縁”はあまり感じられなかったけど。薄幸感漂う、つらつらと不思議な作品。

  • 何人もの人生が一冊につまってしまうのが小説。
    愛の記憶というには、動物的で時に嫌悪感を感じずにはいられない。
    性ほど生々しいものはないが、人の核になりうる。

    人が亡くなったら、その人を巡った感情はどこに消えていくのだろう。人にはすすめないけど、好きな本です。

  • 2016.5.28 読了


    なんというか、淡々とした話だった。

  • 父と母が不倫関係にあることで
    奇妙な幼馴染として育った、駿と夏
    二人は父と母が、情事を重ねている間待っている。
    同い年の二人は、兄弟のように馴れ合うこともなく
    何年か時間をおいて、二人が家庭を持ち
    親になるまで交流を続ける。

    互いにどこか意識しているが、決して恋愛の様な
    情は無いが、二人だけしかわからない
    事が確かにある。

    夏の父が、痴呆症になったあたりから
    駆け足の状態だったのが残念だった。
    娘の里香が中絶し、最後には若い娘らしい
    明るさを取り戻しているけれど
    里香の今までの性格でどんなふうにああなったんだろう。

    駿と夏は、家庭を持ったけれどいずれも
    失敗してしまっている。
    幼少期から不幸すぎる様な。

    不倫を重ねてきた駿の母の死の間際
    駿の父が漏らした、死んだ人間の感情は
    どうなるんだろう。みたいなニュアンスの言葉
    には、考えさせられる。
    どうなるんだろう?

  • うーん 曖昧な尻切れトンボみたいな感覚 好きでないな!因果報酬

  • 表紙がきれい。

  • 幼いころに、それとは知らずに親の不倫現場に居合わされていた駿と夏。特異な環境で育った同い年の二人の人生。
    厳しい状況を淡々と語り継ぐふたり。何故か静けさの伝わる小説。

  • 14/01/12

    P170
     わたしは追いかけなかった。もう無理だと思った。このときが来るのをずっと待っていたような気もした。わたしはずっとわかっていたのだ。あれほどわたしを大事にしてくれた千秋が、こうもあっさりわたしを捨てるということ。ひとはひとを愛するときと同じだけのどうしようもなさで、ひとを捨てるのだということ。わたしはそれを見てきたし自分でもしてきたのだから。

  • 左岸右岸みたい

  • う~ん‥‥よく分からない世界観。装丁がステキだったのと、設定が面白いかなと思って読んでみたが、何だか心に何もひっかからず、う~ん‥‥なんだこの曖昧な感じ?と思った。

  • 2014.6.21読了
    何だかゆっくりと年月が流れるような、そして哀しい子供たちの成長が痛々しくもあり。(図書館)

  • ずっと見てたよ。あのとき、同じ天井の下にいたあなたを。

  • 小さい頃から大人になる過程を書いてました。
    鬱々としていて、両親と子供の複雑な関係の話です。

    斜め読みでしたが、途中で不倫や浮気で面白くなったので、また読み返したいです。

  • 鬱々としたものを抱えて屈折しながら成長してゆく過程が生々しい。
    過去のトラウマが、長い年月をかけていつしか身体の一部のような暗い穴になっている。
    ふたりの間に好意はなかっただろうけど、そこに空虚なものを感じている者同士、愛情に似た親近感があったのかなと思う。
    むしろそこが似ていたからこそ、恋にはならないのか。求めるものを、自分と同じように相手は絶対に持っていないと確信してるから。

  • 「あなたにだけわかること」井上荒野:読了。風化せず熟成している関係性。滅多に会わないけど会うといつも「昨日も会ったじゃん」的になる人。しんどい時にその人の顔が浮かんで思わず苦笑してしまったり。互いを無意識下で支えあってた感覚、記憶は大人になった今でも心の支えになっている。

  • 表紙にひかれて手に取ってみたけれど、登場人物にいまいち感情移入できなかったのが残念。ラストも余韻が残ると言えばそうなんだけど、投げっぱなしって言った方が正しいように思う。
    最初から最後まで、すっきりしないまま終わってしまった。

  • 読後感が妙な物語だった。
    母とその息子の駿と母の恋人とその娘の夏。
    その二人の幼少期から中年までの物語。
    語り手が駿と夏に交互にかわる。
    二人が恋愛関係になるかと言えば、ならない。
    でも人生の節目節目に思い出したように
    連絡をとり、何かを確認しあう。
    その微妙な空気感が題名である恋人でも妻でも夫でもない
    その相手、駿と夏の間だけでわかることなのかな。
    でもふあーっとした内容で、何が一番伝えたいことなのか
    あまり伝わってこなかった。
    夫に隠そうともせず恋人に夢中になり
    恋人と別れた後は恋人相手に何かしら問題点を
    みつけてからみつこうとする
    ちょっとエキセントリックな駿の母親が病気になり
    死に近づいて、駿の成人後離婚した父がいう、お母さんの
    こういう感情も死ねばなくなるんだな、不思議だな
    という言葉が心に残った。
    極端な話、尼崎の殺人事件で自殺した犯人の
    ものすごいどす黒い感情だって自殺してしまった後は
    突然消えてしまうんだ。それが自分も子供の頃から
    死んだら感情はどこへいってしまうんだろうって考えていた
    その怖い気持ちと一致してなんかはっとした。
    読み返しなし、読後感はうーん可もなく不可もなく。
    読んで良かったどうかもわからない作品だった。

  • この人の作品にありがちなのだけど、ぼんやりとしてつかみにくいのと、登場人物に感情移入が全くできませんでした。
    登場人物が、みな不倫や浮気をしていて、人間不信になりそうなお話。

  • 母と父が愛人関係にあったことで、奇妙な幼なじみとなった駿と夏。
    本当の愛は、いったいどこにあったんだろう?
    たぶん、どこにもなかったんだろう。

  • オトナの恋愛に振り回される子供たち…残酷で汚い世界なのだけれど、美しい文章の荒野ワールドに引き込まれました。駿と夏の戦友みたいな友情が愛おしく感じられました。

  • 駿と夏。
    幼少期、親同士が会う時に一緒に過ごした2人は、特別の因縁でつながっている。

  • 図書館にて。
    出だしから不穏な空気が漂う。
    もしかして、という悪い予感通りの、気持ちの悪い人間関係からのスタートだ。
    完璧な人など1人もおらず、いいところも悪いところも影響しあいつつ年を重ねていく。
    さまざまなことがあるけれど、結局は時間とは同じに流れていくのだなと思う。
    行き死にすら淡々と流れていくようにみえる。
    その中で、この題名のように、それぞれの関係の二人の中でしかわからないことがあるだろう。
    主人公である峻と夏の関係だけではない。
    二人の父と母の関係も、それぞれも夫婦の関係も、親子の関係もそうだろう。
    1人1人、それぞれに「あなた」とその人とだけわかることを共有しながら、いいことも悪いことも全部一緒に時間が過ぎていく。
    もう少し年を経て振り返った時、人生はこんな風に見えるのだろうか。

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あなたにだけわかることの作品紹介

直木賞受賞作『切羽へ』をはじめ、大人の恋愛と一筋縄ではいかない関係を描いて独自の魅惑的な小説世界を展開する著者が、男と女の「愛ではないけれど、愛よりもかけがえのない関係」を描く長編小説。
桐生駿と野田夏が初めて出会ったのは共に5歳のとき。夏の父に恋をした駿の母が、密会のため息子を連れて夏の家に通ったからだ。親同士の情事の間、それとは知らず階下で待っていた幼い二人は、やがて親たちの関係を知る。以来、別々の人生を歩み始めた二人は、互いに「できれば思い出したくない相手」と感じながらも、なぜか人生の曲がり角ごとに出会ってしまう。まるで、互いの恋愛の証言者のように・・・。それぞれおろかな恋愛を重ねながら、人生における愛のどうしようもなさを受け入れていく男女の関係を描く長編小説。

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