南部芸能事務所

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 305
感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062183642

作品紹介・あらすじ

親友に誘われ、そのバイト先の先輩が所属する「南部芸能事務所」のライブを見に行くことになった新城(20歳)。たちまち魅了され、その夜のうちに芸人を志す。だが相方が必要だ。先輩の「ものまね女芸人」津田ちゃん(25歳)は、事務所スタッフの溝口(20歳)と組むといいと言うのだが……。いまは笑われてもいい。いつか笑わせられるなら。「新鋭ハタノ」の4冊目は、弱小プロダクションの芸人たちを描く超絶連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 弱小芸能プロダクション、南部芸能事務所。
    お笑い芸人専門の芸能事務所だ。
    漫才師デビューを目指す大学生の二人。
    デビューはしたが、いまひとつ波に乗り切れない若手三人組。
    数年前までは持て囃された時期もあったが、今では斜陽の中堅漫才師。
    その漫才師のおっかけをしている女子高校生。
    大御所と呼ばれる女性師匠。
    それぞれの立場から、お笑いとの関係が綴られる。
    淡々とした筆致で、とりたてて笑いの要素がある訳でもない。
    というより、どこかもの悲しくて、ほろ苦い。
    芸とは何か、笑いとは何か。
    そんなテーマを深く掘り下げているわけではないのだけれど、
    心に沁みる、しみじみとした世界に入らせてくれる物語。

  • 新城と溝口を応援。漫才師として成功するといいな。ということで続きが気になるので次巻も読もうと思います。

  • 登場人物の名前に南武線の駅名が使われている。
    お笑いライブ好きなので楽しく読んだ。続編も読んでいこう。

  • ベテランから若手まで、芸人を抱える弱小芸能事務所「南部芸能事務所」の物語。
    私の中で数十年ぶりにお笑いブームが起こっているので、この本を手に取ってみました。

    芸人の内部のことはよく分からないけど、ファンの子の話は結構リアルだったなぁ。
    出待ちの文化って今でもあるんだろうか。
    私自身は出待ちしたことなかった(勇気なくて)けど、お笑い好き繋がりでネットで知り合った子が出待ちしてたから、当時を思い出してなんだか懐かしかった。
    ライトノベル感覚でさくっと読める。
    シリーズものなので、また読んでみようと思います。

  • 今時の、体温の低い感じの文体にも関わらず、先へ先へと引っ張られる。
    繰り出される言葉が、描かれる感情がとても生々しい。
    一つ目の「コンビ」という短編で登場する新城くんは、底の浅いいい加減な子なのかと思わせておいて、実は才能も熱意もある。ラストの「サンパチ」との呼応が、むずむずするような嬉しさを呼ぶ。
    ナカノシマの話も、スパイラルの話も、津田ちゃんの話も、そして保子師匠の話も、取り立ててドラマチックではないのにじっくりと心に波が立つ。
    保子師匠はどうしても実在のあの方を思い浮かべてしまうのだけれども、だからといってそれに乗っかって弾けるわけでもなく、やはり全編に「祭りのあとの虚脱感」が漂っている。その穏やかさが哀しいし、でもなんとなくほっとするような気になる。

    同じような芸人の話でも、「芸人交換日記」からは焦りや憤りやいら立ちのような熱いものを感じたのだが、本作からはそういう直接的な熱さは感じられず、何重にも隔てられたところにある熱源からほんのり熱さが感じられるような(つまり冷めているわけではないということ)、もどかしくけだるい雰囲気が伝わってくる。
    それが作者の年代特有のものなのかどうなのかはわからないけれども、少なくとも今の中高年が持つような熱さがなくて、私はそういうところが好きだと思った。

    最近気がつくと作者と同年代くらいの人の作品をよく読んでいる。そしてなぜか共感してしまうのだが、私はもっと上の年代なのである。
    たぶん私の年代が「しらけ世代」と呼ばれていたことと、何か関係があるのかもしれないし、全然関係ないかもしれない。

    とりあえず、シリーズ化するということなので、第2弾を楽しみに待とう。

  • お笑いと読書がこんなに好きなのに
    どうして今まで読んでなかったのか。
    最高です。

    珍しくシリーズものに手をつけたけど
    じゃんじゃか読めそうな予感。

  • 表紙がインパクトあり。
    みんなに知られる芸人になるということは並大抵のことではないと思う。それでも、劇場でそう思ってしまったのなら、自分が納得できるまで頑張ってみるしかないよね。
    やってみてから考えても遅くないはず。そう思いたい。
    これだ! 自分にはこれしかない! と思える何かに出会えるって素敵だと思う。

  • 最初のエピソードの主人公が最後まで続いてほしかった。連作短編も好きだけど。

  • よくある感じのお話でした。
    物足りない。

  • お笑い芸人の群像劇。
    大きな盛り上がりが来る前に話がスッパリと切れてしまう。読みやすくもあるし、飽きずに読むことができる。
    一本の話のスピンオフでこういう話があっても面白いかと思ってしまった。

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著者プロフィール

1979年東京都生まれ。2010年「国道沿いのファミレス」で第23回小説すばる新人賞を受賞。13年に『海の見える街』、14年に『南部芸能事務所』で吉川英治文学新人賞の候補となる。著書にドラマ化された『感情8号線』、『ふたつの星とタイムマシン』『タイムマシンでは、行けない明日』『消えない月』『神さまを待っている』『大人になったら、』『若葉荘の暮らし』などがある。

「2023年 『トワイライライト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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