島はぼくらと

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062183659

感想・レビュー・書評

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  • 四人の高校生の青春。島で生きる人々。とても爽やかで心の奥からじんわりと感動がわいてきました。
    「生きる」ということがぎっしりつまっています。
    島の人間関係の濃さは、助け合わないと生きていけないから、すごく濃いです。
    村長、網元、Iターンの人々、主婦たちまさにいろんなひとが集まった坩堝です。そんな中を生きる4人は都会の子よりもとても大人。たくさんの人と人生を共有してるからでしょう。
    「生きる」ということはこうなんだとリアルに描かれています。

    現代、こうした体験の薄さは「孤立」を生む社会に密接に関わっていると思います。逆に島での生活は人間関係が固定化されるので上手くいかないとドツボでしょう。

    たくさんの人の中に埋もれながら揉まれていくのがよいのか。
    狭い固定化された人間関係の中で濃く生きていくのが良いのか。どちらも一長一短です。

    本作品では登場する全ての人の生き方が躍動していました。人との繋がりが生むダイナミズム。人生の中でふと立ち止まったときに読みたくなる本でした。


    • アールグレイさん
      ちゃたさん★こんばんは
      そして、初めまして
      でも、フォロワーさんだったような気がしています。Twitterとブクログの両方ですが、どうぞよろ...
      ちゃたさん★こんばんは
      そして、初めまして
      でも、フォロワーさんだったような気がしています。Twitterとブクログの両方ですが、どうぞよろしくお願いします!
      島はぼくらと、この本は私の好きな本。
      辻村深月推しです。
      今は絵本を見たりしています。ポプラ並木さん推薦の本で迫力のある絵本ですよ!
      (^_-)-☆
      2022/10/30
    • ちゃたさん
      アールグレイさん、こんばんは
      こちらこそどうぞよろしくお願いします。絵本まであったのですね!いろいろとご存じですごいです。今後ともオススメの...
      アールグレイさん、こんばんは
      こちらこそどうぞよろしくお願いします。絵本まであったのですね!いろいろとご存じですごいです。今後ともオススメの本など教えていただけると嬉しいです。
      2022/10/30
  • 昔から離島の暮らしに
    憧れがありました。

    四方を海にかこまれて
    のんびりと気ままなる
    暮らし。

    隣近所と家族ぐるみの
    つきあい。

    しお風に吹かれながら
    夕焼けに染まる堤防を
    友だちと歩いたり。

    まさしく憧れの世界が
    臨場感一杯に描かれて
    いて、

    まるで体験をしてきた
    ように満足です。

    でも暮らしって綺麗事
    だけでは成り立たない。

    食べていかないとだし、
    老いも病もある。

    人間関係のいざこざに
    巻き込まれることも。

    出会いや別れ、友情や
    恋愛、挫折や逃避、

    いずこに暮らそうとて
    ドラマはあるし、

    思い悩みも尽きないん
    でしょうね。

  • 直木賞受賞後の作品。
    瀬戸内海の小さな島に住む高校生4人を中心にした話。
    島ならではの問題もあるけど、基本的にはさわやかに読めました。

    瀬戸内海に浮かぶ人口3千人の小さな島、冴島。
    朱里、衣花、新、源樹の4人は、フェリーで本土の高校へ通っている。
    フェリーの時間の関係で、部活は出来ないので、帰るのはいつも一緒。
    朱里の母は、食品加工会社の社長。といっても、公民館に集まって仕事のある季節だけ皆で作業する会社で、くじ引きでトップになったのだ。
    朱里は見た目にはあまり力を入れていない。親友の衣花が誰が見ても群を抜いた美少女で、いつも彼女が目の前にいたからだ。
    クールな衣花は地元で一目置かれる網元の家の跡取りだが、そのために島の外へ出ることがまず出来ない運命も背負っていた。

    リゾートホテルを親が経営する源樹は、Iターン組。とはいえ、源樹は島育ちなのだが。
    やや派手な雰囲気の源樹に比べると平凡に見える新は、実は文才がある。
    フェリーに乗って露崎という脚本家の男性が現れ、島を引っ掻き回しそうになる。
    幻の脚本を探しているというのだ‥
    4人は、彼を追い出そうと計画し‥?

    この件だけではなく、島での揉め事と高校生たちの成長がかなりゆっくりと描かれます。
    気持ちよさそうな島の風景と、町おこしを目指す町長、地域活性デザイナーとの関わりなど、その土地ならではの事情が展開します。
    悪気のない子供たちの感情がさわやかで、広い対象に読んでもらうことを意識した作品だと思いました。
    エピローグで大人になった衣花が幸せそうで、明るい未来を感じさせる結末。
    心地よい読後感でした。

  • 青い!青くてキラキラしてて、
    本当に瀬戸内の海を山から見たときのように、透き通ってて美しい。
    最後にうまく行きすぎてるから
    本当は☆3.5って感じだけど装丁も素敵なので☆4

  • 同じ著者の「名前探しの放課後」のように、若者を主軸に進むお話が読みたい…そんな時にイラストが目にとまり読み始めました。

    高校生が主軸ではあるのですが、舞台の冴島の大人もたくさん登場し、高校生の祖父や祖母まで幅広く描写されます。登場人物多いなあ…と思ったのもつかの間で、色んな人の視点で島の暮らしや在り方を見れて楽しかったです。
    日常のシーンが多くて読みやすいですが、ちゃんとミステリというか隠し要素はあるため考えながら読んでも楽しいと思います。赤羽環の活躍、とてもかっこよくてテンション上がりました。

  • 行ってきます。お帰り。が、これ程 素敵な言葉だったのかっと気付かされる。

    衣花と新
    朱里と源樹

    その後どうなるのかなぁ~ って……
    きっと辻村深月だから 何処かでまた彼らに出会えるんだろぅなぁ……

  • 舞台は瀬戸内海に浮かぶ冴島。
    本土までフェリーで20分のところにある。

    この島に住む4人の高校生たち。
    明るく、素直で、人が寂しさや辛さを抱えているのをほっておけない朱里。
    美人で、少し冷めたところのある、衣花。網本の一人娘であるが故、島から出ることはできないとあきらめにも似た気持ちを抱えている。
    子どもの頃に移り住んできた、少々不良っぽい、源樹。
    演劇に対する深い思いを持ちながら、フェリーの時間の制約のために部活動に打ち込むことができない新。


    島と本土とを隔てる海によって、島の生活は一見穏やかに守られているように見える。けれど海は、高校を卒業してこの島を出て行った者と残った者との間をその距離以上に隔てているようだ。

    母親が経験した友人との思わぬ別れによる寂しさを、祖母には味わってほしくないと朱里は奔走する。人が抱える辛さを思いやることができる彼女は、本土における別れ以上に、島から出ていく人との心理的な距離を敏感に感じている。島を取り巻く自然環境や特有の生活環境が高校生の彼らを少しばかり早く大人にさせるようだ。


    海がなくても、距離が遠くなくても、会わずにいる人が何人もいる。年賀状に書かれたコメントへの返事を次の年の年賀状に書いたりして。

    『会いたいね』ではなく、せめて今年は『会おうよ!』と書いてみようかなあ。

  • 島で暮らす同い年の高校生が島での生活を通して、自分の進路に進んでいく。
    幼い頃からの大好きな友達が、自分一人を島に残して旅立って行くのは寂しいよね。
    島で暮らすということ、島を出ていくということ、そこに暮らし・暮らしていた人は覚悟を持って生きていたのだ。

    4人それぞれの淡い恋心が話の中に見え隠れするが、その恋の結末は分からない。
    もどかしい終わり方で、それが余計にドキドキしてしまった。
    最終的にそれぞれ想いあった人と結婚して、島で仲良く暮せればいいのに、とまで思ってしまった。

  • 母子手帳の件は悔しいが泣けた。祈るように「げんきでいてね、どうか、どうか…」と母子手帳に書きながら不倫相手を捨てられない親どうなの?ふざけんなって思ったけど。親の罪を軽くしてあげる言葉を言ってあげられる17そこらの男子高生、めちゃくちゃかっこいい。

    島つながりでコトー先生が見たくなった。

  • いままで辻村さんの作品では、地方にうまれた子が、その狭い場所から抜け出せない葛藤を描いていたりしたんだけど、今回の作品の高校生たちは、それを苦しみではなくてとてもあかるく前向きにとらえてて、そこからさらっと解放されててちょっと驚いた。
    新しい世代ってことかもしれないなあ、と。
    現実的に、地方在住でもネットがあるからわりと仕事はできたりするし。
    そんで、地方を活性化させるためのコーディネーターもキーパーソン的に配置されてて、それも地方の新しいあり方を提示してて面白かった。

    都会が華やかな勝ち組で、地方がさえない負け組みたいな価値観はもういまや古いんだろうなあ。

    あと、辻村さんって人と人の関係性を描くのがすごくうまくて、今までは、どっちかというと狭くて濃い関係の中でみえてくる、人間のどうしようもないいやーな部分を絶妙に描いてたりしたんだけど、今回は逆に、わりと閉ざされた人間関係の中なのに、それがしがらみではなく、むしろ強い結びつきっていう好ましいものとして描かれてるのも、いい意味で意外でした。
    ちょっといやな奴でもむしろそのマイナス部分までおおらかに包み込んでいて、心底いやな奴ってのは出てきません。

    ので、島の海のさわやかな雰囲気ともあいまって、どっかすこーんと突き抜けたようなあかるさがあり、希望にあふれた作品になっていました。

    「スロウハイツの神様」のあの人も登場したりする、ちょっとうれしいサプライズも。

著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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