ルカの方舟

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著者 : 伊与原新
  • 講談社 (2013年6月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062183758

ルカの方舟の感想・レビュー・書評

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  • ミステリの原点が横溝正史と江戸川乱歩で、ぽーんと飛んで新本格派、のわたし。なので、鍾乳洞の迷路や菊人形やマントの怪人や妖しいアミューズメント孤島やヘンな館などが大好物。
    でも、いわゆる「理系ミステリ」も好きなのです。

    理系ミステリでよく見るのはコンピューター関係か医療、生化学あたりだけど、本書は宇宙科学の研究センターが舞台。ライトなスターウォッチャーでもあるので、そこに興味を引かれて手に取った。

    パタゴニア北氷床で採取された火星由来の隕石「HYADES1201」に生命の痕跡が発見される。研究論文を発表したのは、帝都工科大学アストロバイオロジー研究センターの笠見教授のチーム。
    一躍「時の人」となった笠見教授。だが、彼を取材していた科学雑誌「プリズム」の記者・小日向のもとへ、当該論文のFFPを告発するメールが届く。差出人は「ルカの末裔」。
    FFPとは、Fabrication(捏造)・Falsification(改ざん)・Plagiarism(盗用)の頭文字を取った言葉。
    翌日アストロ研を訪ねた小日向が見つけたのは、実験室でこと切れた笠見と方舟の形の黒い物体。黒い物体は高温電気炉で融かされた「HYADES1201」だった。

    笠見教授の死は事故なのか。なぜ「HYADES1201」は方舟型にされたのか。
    ルカの末裔が告発するFFPは事実なのか。ルカの末裔とは何者なのか。

    センター側から真相の究明を任されたのは惑星科学者の百地理一郎。
    天才として名前を知られる彼だが、ここ数年は何を研究しているのか誰も知らないというちょっと変わった科学者。三日月形の目を細めて「あは!」と笑うのが癖(?)。
    クセはあるけどアクはないので、キレッキレの探偵や天才がお好きなかたには物足りないかもしれません。
    やる気があるんだかないんだかわからない会話や行動が天然っぽくて、わたしは好きです。調査に協力することになった小日向とも、百地とはちょっとした縁がある科学警察研究所の佐相とも、よいコンビ(時にトリオ)。

    理系ミステリといっても特に難しい話はなく、専門的な用語も都度都度もしくは少し後に説明される。
    パンスペルミア説、磁鉄鉱、生体磁石、酸素同位体比などなど、聞いたことはあるけど自分では説明できないことがよくわかっておもしろかった。
    研究者の世界の闇の話もあり、いつでもどこでも何の世界でも一番たいへんなのは「現場」の人間だなぁとなんだかやるせなくなった。だからといって不正はよくないけれど。
    そんな暗い闇も百地のキャラのおかげか、とことん重苦しくならない。
    文体もさらりとしているので、文字通りさらさら読める。
    一同を集めて事件の解明の場面と、その後のエピローグ的な部分は丁寧に書かれており――正直少し冗長に感じた。けれど、最後にドタバタして慌しく収めるよりは好印象。(って、偉そうですみません)

  • おもしろかった。
    しっかし、今読むとどうしてもスタップ細胞を思い起こしてしまう。
    発行は去年なので、
    こーゆー問題はもとからあったことなのね、と思う。
    難しいよなあ。
    研究ってやっぱりそれなりの情熱、だとかがないとできないんだろうが、結果が出るとは限らないわけで、
    今や世の中全てが結果至上主義、とゆーか、
    利益がでないと意味ない、とゆーか。
    ムダにみえることがいつか、大きなことに繋がる可能性ってのもあるんだろうに、その不確定なものに懸ける余裕ってのが、人にも社会にもなくなっている気がする・・・。

    ブラックすぎるはかせのはなし、は実際にネットに載ってたのを引用したみたい。
    うう、こわいわあ。
    地道に頑張っても報われない。
    そんなことは世の中ザラにあることだが、それでも
    いつかはちゃんと報われて欲しいんだがなあ。

    百地先生の、「あはっ」な笑顔がくせものすぎて笑える。天才って、キャラクターとしてはとても魅力的だけど、側にいたらいらっとさせられることも多々あるのかも。

  • この作品にも、「天才名探偵」が登場する。

    「天才」と呼ぶには、やはり、その推理力と、そして、キャラの魅力度が重要な要素となる。

    この作品は理系、特に宇宙、人類史、鉱物などがテーマとなっているが、文系のワタシとしては、初めて触れる事柄が多かった。

    あとは、キャラの魅力度。ウ~ン、心がぐっと掴まれたかというと、あと一つ、何かが足りないような…。

    変人そうでまともであり、今一つかな…。

  • ロマンを感じさせる理系ミステリでした。直前に読んだ著者の磁極反転は後半陳腐な展開になり、失速した感が強かったですが、これは最後まで読ませてくれました。面白かったです。

  • もっとSFチックな物語かと思ったら、ただの(舞台はアカデミックだけれど)退屈なミステリーだった。
    よく練ってあるストーリーだったけれど、複雑に練りすぎていて、解答を読んでも理解が追い付かない。なるほど!と思わない。鍵となる何人かのキャラの印象が弱いせいもあると思う。ここへきて新事実を出されても・・・というのもある。そのくせ探偵役の百地先生がすべてお見通しのスーパー探偵すぎてちょっと白ける。お前はコナンかよ。
    それに室賀先生、なんであんなに謎めいた設定なんだ?ミスリードさせたかったのかな?

    好奇心をくすぐるタイトルと舞台設定だったけれど、それをうまく生かせなかったという印象だけが残った。

  • 正直、読んでいて、面倒くさいと感じる小説だった。
    ストーリー的には、それほど悪くないとは思うが、とにかくこれでもかとばかりに、隕石やら鉱石やらのうんちく話っぽい話が続く。
    まあ、多少は仕方ないかもしれないけど、最後まで続くのは、辟易させられた。
    こういう専門的な知識を絡める小説ってよくあるけど、その加減を調節してくれないと、読むほうが持たない。
    そういう小説だった。

  • ミステリーとして読んでいたのだが、どうしてもSTAP騒動と重なって、半分ドキュメンタリーのような感覚で読んでしまった。STAP騒動も死人が出たわけで、もしかしたら真相は自殺ではなくて殺人事件だったのかも! などとかなり妄想を入れながら読んだ。

    そのせいなのか分からないが、純粋なミステリーとして楽しめたかというと少し疑問がある。謎を解く人(シャーロック・ホームズやポワロのような役割の人)のキャラも弱い気がする。実は、最後の方まで、この人が謎を解くお話なんだということが分からなかった。それは自分の理解力のなさから生まれたものなので、物語の面白さとは関係ないが、もしかしたら同じ感覚を持ってしまう人がいるかもしれない。

    まあ、でも純粋にお話を楽しめばいいと思う。理系な人はものすごく楽しめるから。

  • 生命の誕生の秘密に関わる論文について取材していた編集者の小日向だが、その論文に捏造があるかもしれないという。しかも論文を発表した教授が亡くなってしまい・・・。 学会の現状や地質学や天文学などの様々な知識をわかりやすく、ミステリーが展開されています。理系のことはあまり得意でないという方にもわかりやすく書かれています。

  • 「FFP」=不正行為 (捏造、改ざん、盗用)が題材で、ある意味タイムリー。
    謎や謎解きの魅力ではなく、理系ミステリィとして読み応えと目新しさを評価。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/12512849.html

  • 普段知ることのない学究の世界が舞台。しかも理工系と言う専門性が高い世界、素人と博士がタッグを組んでどこかゆったりと犯行を暴く、という設定は「バチスタ」シリーズを彷彿とさせる。理工系の様々な知識やガジェットも配されていて最後まで楽しく読める。ただ残念なことに犯行の動機が弱い。北極で発見された隕石を南米で発見されたことにしてその功を独占しようという話は分かるが、しかしそれをわざわざ説かしたり殺人に及ぶ説得力は弱い。ここらがハッキリしていれば意外性もあるからもっと面白くなっただけに残念。しかし百地のキャラは面白いのでハードルは高いかもしれないが、シリーズ化してほしい。

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ルカの方舟の作品紹介

人類史を変える謎。究明は、一人の天才に託された。
火星からの隕石に、生命の痕跡が発見された。そんな折、一通のメールが科学誌ライターの小日向に届く。それは、火星隕石に関する論文偽装を告発するメールだった。研究室に赴いた小日向は、教授の遺体を発見する。保管庫には、方舟の形をした黒い個体が残されていた。黒色の物体を鑑定した科学警察研究所の女性研究者・佐伯は、それが火星隕石であったことを証明する。天才惑星科学者・百地が語る衝撃の真相とは!

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