習慣の力 The Power of Habit

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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062184458

作品紹介・あらすじ

「消臭剤のファブリーズはなぜ突然ヒット商品になったのか」「アルコール依存症はなぜ治せるようになったのか」「大手アルミメーカーのアルコアはダメ会社から突如優良企業に変貌を遂げたのか」「スターバックスのスタッフを責任感の強いリーダーに育てるプログラムとは」。本書の著者によれば、これらはみな、「習慣」をうまく活用した成果であるという。
普段、私たちは自分の意志で行動を決めていると思っているが、実はそうではない。人間の全行動の4割は「習慣」、つまり脳で考えることなく、無意識に身体を動かしているのである。したがって、この習慣のメカニズムを知ることで「良い習慣」を増やし、「悪い習慣」を減らすことができれば、人生は知らず知らずのうちに好転していくのだ。
本書は「個人の習慣」「成功する企業の習慣」「社会の習慣」の3部で構成されている。第1部で「習慣の仕組み」について分析し、「習慣」が「きっかけ」「ルーチン」「報酬」の3つの要素から成り立っている点などについて詳細に分析している。
第2部、第3部では「習慣」を、企業や組織が上手に活用した実例をとりあげる。
巻末では、個人が「習慣」を変えるための方法についても具体例を挙げながら説明している。

感想・レビュー・書評

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  • いいルーチンを作りましょう、という話。
    各分野のいいルーチンを延々と紹介している。

    個人的にはアルコアのオニールの話が良かった。

    変化するのが当たり前という雰囲気を持つ現場では
    良い組織的習慣が成功を生み出している。
    失敗するか成功するかは、こうした習慣で決まると感じていた。
    最高の組織はルーチンの重要性を理解している。
    最悪の組織のトップは、それを理解しておらず、それでいて、
    なぜ誰も命令に従わないのか不思議に思っている。

  • 「キー・ストーン・ハビット」という言葉が紹介されている。
    これは「習慣(一連のお決まり動作)」を引き起こす最初の動作のこと。ボーリングのセンター・ピンのような存在と言える。次々倒れるピンがその後に続く動作だ。

    このセンター・ピンを発見・特定して自分がこの「一連のお決まり動作」から何の報酬を得ているのかを言語化するのが「悪習慣」を遠ざける時に立ちはだかる最初の壁だ。これがなかなか難しいのである。

    虫歯が社会問題になっていたにも関わらず、歯磨き習慣を国民に定着させることができなかったが、ハッカのスッキリ感という報酬が発見されると、普及が進んだ。同様に、ファブリーズも、悪臭の原因菌を除去するだけではヒットしなかったが、香り付けという報酬が発見されてから人気商品となった。このような成功事例が本書で紹介されているが、これらは答えを聞いてしまえば納得だが関係者らは何ヶ月も何年も悩み続けてたどり着くのである。紀元前から親しまれているアイスクリームが「コーン」に出会うのが1904年だったようにね。

    このように困難は伴うだろうが、悪習慣を遠ざける具体的な手順は本書の巻末「付録」を参照してほしいが、ポイントは次の通り。

    ①ルーチン(止めたい悪習慣)を特定する
    ②報酬を変えてみる(報酬の魅力度下げる)
    ③キッカケを見つける
    ④計画(if-then planning)を立てる

    ルーチンを特定した後に根気強くいろんな報酬に変えてみながら内省を繰り返して行動変容が起こるまで計画し直し続ける必要がある。これは本書の第一部で紹介されている人々のように、「心の底から今の悪習慣を遠ざけたい!」との想い、願い、誓いの真剣さ、深刻さがエネルギーの根源となるだろう。

  • 前もこのような本を読んだが
    実験がひたすら書かれていて
    わかった、わかったって感じになった

    習慣系の本をよく読む人にとっては
    分かりきったことが書かれていて特に発見はない

  • ”長い.”

  • ・その変化を起こしたのはカイロへの旅行や離婚や砂漠横断ではなく、リサが「喫煙」という一つの習慣を変えることに専念したためだと、研究者たちは考えている。その調査の対象となった他の人たちも、同じような過程を経ていた。一つの習慣に狙いを定めることで、他の行動もプログラムしなおすことに成功したのだ。

    ・その少佐がクーファの市長に会ったとき、不可解な提案をした。食べ物売りの行商人を広場から排除できますか?
    もちろんだと市長は答えた。それから2~3週間たち、クーファの大モスク近くに少数の集団が集まっていた。午後になるとどんどん人が増えていく。怒りのスローガンを叫ぶ人々もいた。イラクの警察は不穏な空気を察し、米軍に出動を要請した。夕暮れになり、群衆は疲れて空腹になり始める。いつもなら広場にたくさんいるケバブ売りを探すが、その日は行政の力によってすべて排除されていた。野次馬は立ち去り、スローガンを叫ぶ人々も元気がなくなる。午後8時になるころには、誰もいなくなっていた。

    ・毎朝、何百万もの人々が、こうした複雑な作業を頭で考えずにこなしているのは、車のキーを取り出すとすぐに脳の基底核が働き始め、脳に保管してある習慣の中から、車をバックで道路に出すことに係わるものを見つけ出すからだ。それが習慣となり考えずにすむようになると、脳の活動が低下するか、他の思考を追うようになる。それで頭に余裕ができて、息子が弁当箱を家の中に忘れたと気付けるのだ。
    …しかし脳の労力を節約することには落とし穴がある。脳のパワーが低下するタイミングによっては、重大なこと、たとえば茂みに隠れている天敵や、スピードを上げて近づいてくる車などを見落とす恐れがある。そのため脳の基底核は、習慣にバトンタッチするタイミングを決める巧妙なシステムをつくりあげた。
    …ラットの神経活動の左のグラフをもう一度よく見てみよう。脳の活動は、迷路の始まり、仕切りが開く前のクリック音が聞こえたとき、そして最後にチョコレートを見つけたときに、もっとも活発化している。
    この大きく反応している部分で、脳は「いつ習慣に主導権を渡すか」「どの習慣を使うか」を決めている。
    たとえば仕切りのうしろにいるとき、自分がなじみのある迷路にいるのか、戸棚の中にいて外では猫が待ち受けているのか知るのは難しい。
    この不安に対応するため、脳はある一連の行動を始めるとき、多くの労力を使って、どの習慣を使うかを決めるためのヒント―きっかけ―を見つけようとする。
    もしクリック音が聞こえたら迷路を抜けるための習慣を使う。もしも猫の鳴き声が聞こえたら、違うパターンを選ぶ。そして行動の最期に報酬を手に入れると、脳はまた目覚めてすべてが予定通り運んだことを確かめる。

    ・クロード・ホプキンスは美しい歯を打ったわけではない。彼が売ったのは感覚だった。ひりひりするような、ひんやりした感覚を人々が求めるようになったからこそ、つまりその感覚を葉がきれいになったことととらえるようになったからこそ、歯磨きは習慣になったのだった。

    ・悪い習慣は完全には改められない。むしろ習慣を変えるには、前と同じきっかけで、前と同じ報酬を使いつつ、新しいルーチンを組み込むべきなのだ。

    ・意志力は単なるスキルではなく、筋肉のようなもの。腕や脚の筋肉と同じように、使えば使うほど消耗し、他のことをする力がなくなる。
    (焼きたてクッキーとラディッシュを並べて置いて、片方しか食べないように言う。半分はクッキー、半分はラディッシュ。5分経った後、食べ物の記憶が消えるまで、15分待って下さいと言い、その間に時間つぶしのためにパズルを解いているように言う。そのパズルは‘解けないように’できている。クッキーグループのパズルに取り組んだ時間の平均は19分、ラディッシュグループは8分だった。)

    ・意志力は鍛えられるのか。被験者を2ヵ月間運動プログラムに参加させ、ウェイトリフティング、筋肉トレーニング、有酸素運動などを行ってもらい、その量をどんどん増やした。するとほとんどの被験者がカウチポテト族だったにも関わらず、身体的な面だけでなく生活の別の面も健康になっていたのだ。ジムで過ごす時間が長くなると、飲酒、喫煙、カフェイン、ジャンクフードの摂取量も減った。家で仕事に取り組む時間が増え、テレビを見る時間も減った。また気分が落ち込むことも少なくなった。
    もしかして運動の成果であって、意志力と関係が無いのではないか?しかし、4ヶ月の「金銭管理プログラム」も「成績向上プログラム」も同様の効果があったのだ。
    「無理してでもジムに行ったり、宿題を始めたり、ハンバーガーでなくサラダを食べるようにすることは、自分の考えを変えることでもあるのです。そうすると人は自分の衝動をコントロールするのがうまくなります。誘惑から気をそらす方法を学ぶのです。そしてそれが決まった行動になると、脳もあなたが目標に向かってまっしぐらに進むのを助けるのがうまくなります」

    ・自制心を必要とする作業を頼まれたとき、それが自分自身の望みでもあるとき―自分で選んだと感じられる、あるいは誰かの役に立つ作業なので満足感が得られるなど―は、苦しいと感じる度合いが減ります。しかしただ命令に従っているなど、自分の意志がまったく反映されていない場合は、意志力の筋肉が消耗するスピードが速いのです。
    (実験者から実験の意義を説明され丁寧に協力をお願いされるのと、ただこうして下さいと説明だけするのでは集中力を保てる時間が異なる)
    …同じことがスターバックスにもあてはまる。現在、同社は従業員に、「決定権を持っていると感じさせること」を重視している。現場の社員に、エスプレッソマシンやレジをどのように配置すべきか尋ね、客へのあいさつの仕方や、商品をどこに並べるかを自分たちで決めさせる。ブレンダーをどこに置くか、店長と店員が何時間も議論するのは珍しくない。

    ・スロットマシンはニアミスが多く出るようにプログラムされている。また、ほぼすべてのスロットマシンに共通する細工としては、賭け手に「勝っている」と思わせるために、少額を払い戻すというものがある。
    (病的ギャンブラーは勝ったときに一般の人より賭けていなくても興奮しがちで、ニアミスの時も勝ちと同じように脳が興奮する。)

  • 面白く読みやすい。習慣についての脳科学?的な解説があって、そこのところはわかりやすい。習慣化された行動は、脳の処理の負担も少なく、きっかけを与えられると、ルーティーンで行動ができる。その先に報酬があって、それが習慣化につながる。これはネズミの学習とも同じ。
    企業や社会の習慣、これも変えるのが大変。要の習慣、キーハビットが重要。アルコアの例。
    商品も爆発的ヒットのために、習慣と報酬で解釈できるものもある。ファブリーズや歯磨き。
    習慣を変えるためには、
    ルーチンを特定する。報酬を変えてみる。きっかけを見つける。計画を立てる。報酬を変えながら、3つのことを書く。きっかけを見つけるために、場所、時間、心理状態、自分以外の人、直前の行動を記録する。

  • 脳の働きと習慣の関係を明らかにしている。
    何かしら脳の機能を欠損したとしてもルーティンとなっている行動が維持されることがある。
    それは脳の機能として行動と記憶は別であるからという。

    実際に習慣を活かしてフットボールで輝かしい成績を上げた事例もあれば、ギャンブル中毒や夢遊病・夜驚症のように本能的な部分に左右されてしまう事例もある。

    本書で得た学びとしては、きっかけ→ルーチン→報酬→きっかけ…というサイクルの力である。
    アルコアの例にもあるように順回転させることで、通常にはない力を発揮することがある。

    きっかけを突き止めるためには報酬を変え、ルーティンを変えることが必要となる。
    そのきっかけを突き止めること、そして習慣化する中では周囲のサポート・帰属があることが必要。

  • 人が行動する源泉である習慣とは何なのか?そこに対してどういうアプローチをすればいいのか?が分かる。
    週間というものを論理的に捉えて、仕事に活用できるととても強いんだなという風に思える。

  • 私たちの生活は習慣の集まりであることを、複数の事例、エビデンスを用いて説明している本。事例はかなり長編となっており、時間の無い方は要点をまとめた付録を読めば概略を短時間で把握出来るのではないかと思う。
    習慣の核となるループは、きっかけ→ルーチン→報酬→きっかけのくり返し。
    ルーチンを特定し、報酬を変えて確認することで、きっかけを特定する。そして計画を立てることで習慣を良い方向に変えることができると述べられている。

  • わたし自身も2年前、ダイエットを決意し、20kg痩せることができたので、習慣の力を信じています。危機がきっかけになる、報酬(目的)を明確にする、小さい変化から始める、集団の力を利用する、自分の意思を信じる、といったことが特に印象的でした。ギャンブル依存症の話はとても怖く、自分も数年前ゲームアプリの課金にハマっていたので、当時を思い出しました。あと、全体的に少し文章が読みにくいと感じました。

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著者プロフィール

「ニューヨーク・タイムズ」紙記者。1974年生まれ。イェール大学、ハーバード大学ビジネススクール卒業。ビジネス関連の記事を中心に執筆。これまでジェラルド・ローブ賞、ジョージ・ポーク賞ほか、ジャーナリズム関係の受賞歴多数。講演活動も積極的に行っている。著書に『習慣の力 The Power of Habit』(渡会圭子訳、講談社)。

「2017年 『あなたの生産性を上げる8つのアイディア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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