年金詐欺 AIJ事件から始まった資産消失の「真犯人」

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著者 : 永森秀和
  • 講談社 (2013年6月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062184564

年金詐欺 AIJ事件から始まった資産消失の「真犯人」の感想・レビュー・書評

  • 企業年金を追いかけてきたジャーナリストが、AIJ事件に端を発する厚生年金基金の諸問題をえぐるノンフィクションです。

    AIJ事件はわたしの関心領域に近かったことから、元取締役の九条清隆氏による『巨額年金消失。AIJ事件の深き闇』(角川書店:2012)と本書を併せて読みました。当事者目線と第三者目線というちがいがある以上、当然ではありますが、事件や問題の本質についてよくまとまっているのは本書、AIJ事件の実態をヴィヴィッドに描いているのは『巨額年金消失。AIJ事件の深き闇』だと思います

    この2冊を読むまで、わたしは「厚生年金基金」のことは全く知りませんでした(当然、厚生年金保険との区別もつきませんでした)が、ようやくその「世界」が見えてきたように思います。

    本書に、厚生年金基金をゼネコンに例えている個所があります。本書においては「運用は下請け、孫請けに外注する、ただし監督責任は負う」ということを説明する文脈でした。しかし、わたしが強く思ったのは、厚生年金基金とゼネコンは、抱えている問題の構造も似通っている、ということでした。

    ガバナンス体制の機能不全、儲かっているのかどうか分かりにくい、接待が多く人間関係で受発注が決まる、最近は官・民の協調にほころびが目立つ、バックにいる政治家が何かと口を挟む・・・等々、どれも過去にゼネコンに対して言われていたことに似ているように思えます。

    本書の白眉を上げるとすると、やはり昨年2月に行われた浅川元社長へのインタビューでしょうか。最後の「制度はもともと破綻しているでしょ」、「下げ相場ではムリなんですよ。普通に運用していたら、やっていけません」という浅川氏の言葉がこの事件のすべてを物語っているように思えました。

    また厚労省主導で行われた制度廃止構想について、"年金という将来にわたる希望の象徴を、国である厚労省が国民よりも先に"消失"してしまったように思えてならなかった"、という著者の嘆きには、一読者という立場ながら、共感を禁じえません。しかし国としては万策尽きている。他人事みたいな言い方になってしまいますが、「続きが気になる」本でした。

  • AIJ事件を発端として浮かび上がった年金制度、主として厚生年金基金制度にかかわる問題に始まり、厚生年金基金の廃止を巡る行政の姿勢に言及する。

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年金詐欺 AIJ事件から始まった資産消失の「真犯人」の作品紹介

AIJ事件とは、投資顧問会社が保有していた年金資産2000億円を消失させるという前代未聞の詐欺事件だった。情報誌『年金情報』編集部は、早くからAIJ投資顧問の不自然な運用成績に目を付け、潜行取材を続けていた。その結果は誌面にも発表して、業界に警鐘を鳴らしたが、事件は容易に表面化しなかった。事態がようやく動き出したのは2012年2月。AIJに処分が下り、浅川和彦社長らが詐欺容疑などで逮捕された。      
政府はこの事件を受けて、2012年9月、突然、厚生年金基金制度の廃止を決定した。国民の「老後の安心」を支える責任がある厚労省、年金官僚たちは、なぜ「豹変」したのか。その背景には、AIJ事件によく似た構図の資産消失事件や、運用に失敗して財政を悪化させている多数の厚生年金基金の存在があった。
日本の年金制度は大丈夫か。厚生年基金制度廃止は「年金制度の終わりの始まり」ではないのか。『年金情報』編集長として、AIJ事件など年金消失事件の深層を取材し、年金制度について知り尽くした著者が書いた、これからの年金受給者、年金受給者必読の書。
●本書の「読みどころ、ポイント」
・AIJ事件をめぐるAIJ投資顧問vs.『年金情報』編集部の「壮絶な情報戦」
・「野村證券史上一番の天才」浅川和彦、「24億円横領、107億円消失」年金基金事務長ら、詐欺師の「意外な素顔」
・MRI事件など、これからも次々と明らかになる資産消失事件の裏側がわかる
・浅川和彦求刑が、6月20日過ぎに予定されている
・年金制度取材20年の「著者」が年金制度とは何か、その仕組みをわかりやすく解説
・いまこの国の官僚が、「年金制度をどう変えていこう」としているかが、みえてくる

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