誰も戦争を教えてくれなかった

  • 1003人登録
  • 3.47評価
    • (31)
    • (77)
    • (70)
    • (31)
    • (4)
  • 96レビュー
著者 : 古市憲寿
  • 講談社 (2013年8月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062184571

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヴィクトール・E...
古市 憲寿
國分 功一郎
池井戸 潤
三浦 しをん
古市 憲寿
佐々木 圭一
有効な右矢印 無効な右矢印

誰も戦争を教えてくれなかったの感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 他の著作よりは本当っぽい。

    この書評が一番合っていると思う。
    http://mercamun.exblog.jp/21402450/

  • これでハワイ行きを決めた。

  • ときおり各所で批判とボヤ騒ぎで話題になる古市サンですが、
    私は彼のノリ大好きです☆
    自然体なところとふてぶてしさに、ユニークな才能があると思うので、応援したいです。

    「なぜそれでも日本人は戦争を選んだのか、日本軍が敗れた失敗の本質はどこにあったのか、どうして敗北を抱きしめなくてはならなかったのか。そんなことには興味がなかった」

    っていう冒頭のくだりが笑いのツボにはまりました。
    いずれも真摯に戦後の問題を考察している本のタイトルじゃないですか。
    こういうスカした態度のセンスが大好きです。

    本書では米国、ドイツ、中国、韓国など世界各地の戦争博物館および沖縄戦や広島原爆、東京空襲などの日本の博物館を巡り、各国が自分たちの歴史をどう展示しているのかをゆる☆ふわに比較考察しちゃってる本です。あくまで学生の海外旅行の延長線っぽい軽いノリで、というのがポイント。

    リアル保存にこだわるアウシュビッツやエンタメ感満載の韓国、やけに明るいノリの真珠湾。
    一方日本の、「右翼にも左翼にも批判されないように配慮しまくった」結果、無味乾燥の残念感満載の無数の博物館たち。
    ここ完全に同意という感じでした。

    もうちょっとちゃんと世界を回って考察すれば立派なダークツーリズム本になったのにねっていう残念感から星ひとつマイナスしました。でもそれが彼の本らしさなのかもしれないですが。

  • 本をめくると保守おやじが眉にしわを寄せて起こりそうなフレーズがある。

    「僕たちは戦争を知らなくていい」

    この作品は戦争の記憶をどう「繋いでいるのか」という現在の我々をフィルターにしながら、戦争博物館を訪ねるという紀行記を描くことで、過去を描き、その過去を“体験”として継承することの難しさをあぶり出し、そして未来の戦争すら描いてみせる。

    ディテイルにこだわることで、世間にあふれる“常識”にツッコミを入れていく社会学の文法。これは雑な議論で感情論をぶつけあっている今の思想界には必要な視点。

    各国にある戦争資料館は“あの戦争”の記憶を継承していこうと苦心している。それは記憶を残すということよりも、人間の業と戦っているようにも見えた。

    そして、我が国はその記憶の継承という戦いすら放棄しているのか、継承する言葉を持たないのか・・古市くんの博物館をめぐる旅は結局のところ、我が国の大人が“あの戦争”の記憶を伝えることを放棄してきたのだということを浮き彫りにする。

    しかし、著者の古市氏はその我が国の現状を嘆いて終わる憂国記としてこの作品を終えない。

    それが最初に記した“未来”の記述だ。

    未来の戦争の形。

    あまりに過去の継承にこだわりすぎるあまり、いま現実に変わりつつある戦争の姿を見失っていた。これは読んだ私の衝撃にも近い感覚。

    文体は古市氏のひょうひょうとしたキャラクター全開で、クスッと笑ってしまう脚注も魅力の一つだ。旅をしながら考える。データを客観的に分析しながら考える。どれも面白い“気づき”を与えてくれる。

    そんな中で最終章には驚いた。

    急に小説になるのだ。紀行記であり社会評論であり続けたこの作品のラストは小説に変わって終わる(ホントはももクロとの対談が本当の最後だがそれはアンコール扱い)。

    この最後の“小説”こそ、ミソではないか。

    この作品で見えてきたことと未来についての考察がブレンドされて近未来のある一日が出現する。ここにこそ嫌悪の正体が描かれていた。


    “あの戦争”は体験は出来ないが、結局我々の現実と“地続き”なのだ。そしてそのまま我々はなんとなく未来を迎える。


    そこからは・・・。
    「記憶」を残すとはどういうことなのか。

    そして、我々にはいま残さなければならない「記憶」があるのだということに気づいて本を閉じる。

  • 最近、テレビ番組で活躍されている若き社会学者古市憲寿さんの作品。個人的には彼のテレビにおける歯に衣着せぬ発言が結構好きなため、今回の本もそれに期待して購入した節がありました。
    古市さんの戦争観というものを期待していたのですが、今作品に関しては戦争博物館訪問記といった側面が強かったです。世界各国の戦争博物館に行って、各国が戦争のどの部分にフィーチャーしているのかを見出していくという趣旨のものであり、広島の戦争博物館しか行ったことのない自分にとっては「同じ戦争博物館でも国によってこんなに違うのか」と新しい見方を提供してくれるものでした。しかし、内容に関しては「この国の博物館はこんな感じ。この国の博物館はこんな感じ。」と非常に淡々としたものであり、面白味という点に関して言えばイマイチという印象を持ちました。

  • 1985年生まれの社会学者である筆者当時28歳は「僕にとって戦争は、あまりにも遠いものだった」と始める。そんな筆者が「戦争の残し方」の違いに注目し、博物館をめぐりそこに残されている「記憶」に関して考察をしていく。様々な国の「戦争博物館」を訪れた筆者自身のフィールドワークが土台となっているため、非常に引き込まれる1冊。

     この本の第1章で、気付かされたことは「博物館」というものの立ち位置だ。私自身は、旅先で博物館を巡ることが好きだ。しかし、これまで博物館の展示をただ受け取るだけで、その展示のあり方に注目をしたことはなかった。筆者は言う。「博物館はありのままの過去や、たった一つの真実を展示する場所ではない。博物館に展示されるもの、展示されないものの線引きは常に恣意的であり、そこに展示されないものは、その世界に存在しなかったことになる2728頁」。つまり、博物館という場所には、その国の「思い」が映し出されているといえる。

     また、最後には筆者独自の視点でまとめられた「戦争博物館ミシュラン」が載っており、興味深い。そこには、シンガポールの博物館も3つ紹介されているため、現在シンガポールに住まわせてもらっている一人として、一度訪れなければならないと思わされた。

  • 「戦争、ダメ、絶対」と繰り返しながら、僕たちはまだ、戦争の加害者にも被害者にもなれずにいる。
    右の人も左の人も、もちろん市井の人も、皆その就縛から逃れることが出来ていない。

    先の大戦から学ぶにには時代も戦争の形態も武器も変わり過ぎており、参考には出来ない。
    だとしたら、戦後70年近く続いて来た「平和ボケ」とも言える現実から思想やシステムから学んでいくしかない。

    詰まる所、誰にも戦争というものの本質を知ることは出来ないし、だから子孫に教えることも出来ない。
    だったら、いっそ戦争なんて知らない方が良い。

    僕たちは戦争を知らない。
    そこから始めていくしかない。
    背伸びして国防の意義を語るのでもなく、安直な想像力を働かせて戦死者たちと自分を同一化するのでもなく、戦争を自分に都合よく解釈し直すのでもない。
    戦争を知らずに、平和な場所で生きてきた。
    そのことをまず、気負わずに肯定してあげれば良い。


    ※以上は全て本書より抜粋、一部勝手に改稿。

  • 古市の戦争論。戦争論ではないか。世界の戦争博物館を巡りながら、過去の戦争を考えている。いつも通り飄々とした古市節が健在で、軽妙な軽口と皮肉が印象的。

    個人的に古市の好きなところは、ある出来事との時間的、心情的距離感を素直に描いているところ。彼の専門(?)は若者論だと思うが、現代の若者がとらえる「今」を視点として、時代をプラグマティックの見つめ直す。ここがいい。

    今回の戦争にしても、日本という国のアイデンティティにしても、強い思い入れがある人からすれば軽薄で無礼極まりない物言いだと思う。しかし有形無形に関せずあらゆるものは風化する。それをありのままに残そう、国の記憶として継承しようという努力はもちろん否定しないし、それがあってこその共同体だと思うが、それでもやはり抗えずあらゆるものは風化する。それは存在としての形も変化させ、それが持つ意味自体を確実に変えていくのだ。

    そういう現実にさらされている人間であることの地平に立って見つめたとき初めて見えるものがあるはず。だからこそより意味のある解釈が成り立つはずだ。

    彼の感性は、恣意的ではないにしろそういうものを教えてくれる。でも彼がメディアで用いられる原因がそこにあるとは思わないけど。


    17.6.18

  • 評論と呼べるのかどうかわわからないが、日本の置かれた状況と諸外国の戦争に対する考え方がよくわかると同時に、今の若者は、戦争にならないように動くのではないかと、かすかな期待を抱かせてくれる。

  • 誰も戦争を教えてくれなかった。
    だから僕は、旅を始めた。

    広島、パールハーバー、南京、アウシュビッツ、香港、瀋陽、沖縄、シンガポール、朝鮮半島38度線、ローマ、関ヶ原、東京……。

    「若者論」の専門家と思われている28歳社会学者。
    そして「戦争を知らない平和ボケ」世代でもある古市憲寿が、
    世界の「戦争の記憶」を歩く。

    「若者」と「戦争」の距離は遠いのか、
    戦勝国と敗戦国の「戦争の語り方」は違うのか、
    「戦争、ダメ、絶対」と「戦争の記憶を残そう」の関係は歪んでいるのでは――。

    「戦争を知らない」のはいったい誰なのか、
    3年間にわたる徹底的な取材と考察で明らかにする、
    古市憲寿、28歳の代表作!

全96件中 1 - 10件を表示

誰も戦争を教えてくれなかったを本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

誰も戦争を教えてくれなかったを本棚に「読み終わった」で登録しているひと

誰も戦争を教えてくれなかったの作品紹介

誰も戦争を教えてくれなかった。
だから僕は、旅を始めた。

広島、パールハーバー、南京、アウシュビッツ、香港、瀋陽、沖縄、シンガポール、朝鮮半島38度線、ローマ、関ヶ原、東京……。

「若者論」の専門家と思われている28歳社会学者。
そして「戦争を知らない平和ボケ」世代でもある古市憲寿が、
世界の「戦争の記憶」を歩く。

「若者」と「戦争」の距離は遠いのか、
戦勝国と敗戦国の「戦争の語り方」は違うのか、
「戦争、ダメ、絶対」と「戦争の記憶を残そう」の関係は歪んでいるのでは――。

「戦争を知らない」のはいったい誰なのか、
3年間にわたる徹底的な取材と考察で明らかにする、
古市憲寿、28歳の代表作!

◆オビ推薦:加藤典洋氏
「一九八五年生まれの戦後がここにある。」

◆週末ヒロインももいろクローバーZとの1万2000字対談を収録!
「5人に『あの戦争』に関する全20問のテストを解いてもらったら……」

◆巻末に「戦争博物館ミシュラン」まで付録!

ツイートする